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『最後のポケット』感想|眉村卓が描くクスッと笑えるショート・ショート

「今自分がいるこの世界、はたまたこの宇宙のどこかで、どこかの誰かは何をしているんだ

ろう・・・遠い北極ではシロクマがあくびをしていたり、空のずっと向こうには宇宙人が今

にも地球を目指して飛んできていたり!?」

そんなことを考えたことはありませんか?

眉村卓のこの作品にはそんなもしもがショート・ショートとしてたくさん詰め込まれています。

「もしかしたらこんなことあるのかも・・・」と読みすすめていくうちに、こんなことあるわけないと、クスッと笑いながらもその世界にのめり込んでしまうはずです。

もしもこんなことがあったら・・・そう思った瞬間あなたも最後のポケットの世界に足を踏み入れているかもしれません。

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『最後のポケット』の概要

出典:Amazon公式サイト

タイトル最後のポケット
著者眉村卓
出版社角川文庫
出版日1985年6月10日
ジャンルショート・ショート、SF

テレビドラマ化され映画にもなった「なぞの転校生」「ねらわれた学園」、記憶に新しい映画化され話題となった「僕と妻の1778の物語」など数々の作品で知られる眉村卓。

この小説は本人がDJをつとめたラジオ番組、FM大阪「男のポケット」のために書き下ろされました。

「ショートショート」というコーナーにて、毎回番組のテーマにそって書きあげたものを読むので、大変苦労する作業だったと述べています。

それらをまとめたものが順に

  • 「ぼくたちのポケット」
  • 「ポケットのABC」
  • 「ポケットのXYZ」
  • 「最後のポケット」

となって書籍化され発売されました。

ラジオのために書き下ろされ、目からではなく耳から入ってくる話なだけに、わかりやすく、しかしながら腑に落ちるようで落ちない、読者がその先を考えてしまう物語が後味を引きます。

『最後のポケット』のあらすじ

全148編、一話完結のショート・ショート。

主人公が、男だったり、女だったり、宇宙人だったり、何者?というわけのわからないものだったり、読んでいくうちにいつの時代の何者か、どこの時代にもいない眉村卓が作り上げた生物なのか、頭の中に映像が広がっていく・・・そこがこの本の魅力です。

そこはどこ?スケールの大きさ

それは登場人物だけではなく、物語の背景も同じで、日本の話なのか外国の話なのか。

宇宙の話なのか、どこでもないどこかなのか、独り言のように頭の中の話なのか。

場所さえも一体それはどこの世界の話なの!?

と眉村卓本人に聞きたくなるような物語の数々に、頭は一瞬パニックになるかもしれません。

でもそういうときに、伏線を回収させながら簡単に読み返せるのも短編ならではの面白さです。

ズンバッタ?

「ズンバッタ」これは148編の中のタイトルの一つです。

この言葉を聞いて何を思い浮かべるでしょう?

バッタ?生物?んー食べ物の名前?

一日に何回も着替え、ひどい時には一分単位で着替えをしなければいけないほど、温度変化に敏感な生物・・・「ズンバッタ」

この言葉が少しでも気になったら、ぜひ手に取ってみてください。

一つの言葉からこの物語を作れる眉村卓はやはりすごい小説家なのだと改めて感じた一編です。

最終回とあとがき

本の最後に「最終回」と「あとがき」というタイトルのショート・ショートがあり、眉村卓本人が「ぼく」として登場します。

148編のほとんどの主人公が「ぼく」なので、最後まで読むと、この本に出てきた「ぼく」とはすべて眉村卓、もしくはその分身だったのではないか?とまた読み返したくなります。  

そうするとまた違った物語としてあじわい深いものとなり、眉村卓の面白さ、ショート・ショートに込められた想いを感じることでしょう。

『最後のポケット』を読んだ感想

初めて読んだときの感想は、誰かにこの本の面白さを伝えたい。共有したい!というものでした。

面白いテレビ番組を見た次の日に「昨日のあれ見た〜!?」という感覚で盛り上がりたい!そう思いました。

眉村卓の頭の中はどうなってるの?

読み始めてすぐに、この作者の頭の中はどうなっているんだろう。

私もたまにありもしないことを考えることがあるけど、こういうふうに何を考たっていいんだ!とまだ10代だった私に、ある希望のようなものを見出させてくれました。

考えること、想像することの自由を与え、少しの間だけ別世界へ誘ってくれます。

聞いたことのない言葉たち

「ヘイヨー、ガライトじゃない。トントントーンです。アワイからヘロイへ、これがホッチャイのナナトール。学校をペンサクしよう!」

「・・・耳。それから空間の奥。おのずから湧いてくる浜辺の音。あなたは知っている。知らないはずはないヘンショー。あなたのヘンショー」

これは「ショウモナイ話」というタイトルに実際に書かれていた一節です。

学校をペンサクしよう?ヘンショー?なんのこっちゃ!ですよね?

私もそう思いますし、何度読みかえしても笑ってしまいます。

聞いたこともない言葉を巧みに使い笑わせてくる、お気に入りの一編です。

自分も書いてみたくなる!?

先ほど紹介したように面白い言葉を読んでいると、自分も適当な言葉を書いて人を笑わせる作品が書けるのでは?と思ってしまいます。

もちろんそんな簡単なことではないのですが、もしもこんな言葉があったら?と人物や場所だけでなく言葉までも、もしもの類にしてしまう眉村卓。

私はこの本で眉村卓が大好きになりました。

『最後のポケット』はどんな人におすすめ?

この本は今まで紹介した通り、読みやすく幅広くたくさんの人に読んでいただきたい作品です。

特に以下の方におすすめです。

  • 本を読むのが苦手な人
  • 短編ものが好きな人
  • SFが好きな人

私自身もともと本を読むのが苦手でした。

でもこの「最後のポケット」に出会って、面倒くさがっていただけで、物語を読むことが好きだと気づきました。

長編の本だと開くのが億劫になったり、いつか時間がある時にゆっくり読もうとしてそのまま忘れたり…読みかけていたことを忘れ、もう一度始めから読み直したり…でもショート・ショートはそんなことはありません。

一編ずつが、約2~3ページと短いので、忙しい方、または通勤時間などちょっとした時間にもおすすめです。

本は読まないけど、SF映画なら観るという方にもおすすめで、次のページ、次のページへと読みすすめていくうち、予想だにしなかった展開に引き込まれてしまいます。

さらにその先の展開を想像したりするのもよいでしょう。

おわりに

私がこの作品を初めて読んだのは学生の時でした。

母から借りたのですが、難しすぎるところがなく、この作者はなんて面白いことを考えるんだろう。と「クスクス」と笑いながら読んだことを思い出します。

読み終わった後は、母と気になった作品について話し、笑い合いました。

あれから何年も経ちますが、今でも眉村卓の話をすると、二人のお気に入りの作品を思い出し、盛り上がっています。

家族などと貸し合って読むのもいいかもしれません。

きっと会話が増えますよ。

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この記事を書いた人

本が大好きな『休日の本棚』運営者です。

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