国内小説– category –
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『ふたつのしるし』感想|ふたりのハルは出会うべくして出会った
この人と出会うために生まれてきた。 あなたには、そう感じられる出会いがあるでしょうか。 人生は人との出会いによって紡がれていきます。 当たり前でありながら忘れがちなことを、あたたかく柔らかい文体で描いていくのが、この『ふたつのしるし』です。... -
『みずうみ』感想|傷ついた魂を再生させるためにふたりは歩き出す
生きることの孤独さ、寂しさ、そして他人と関わることのあたたかさ。 この本は存在をもってしてそのことを伝えてくれます。 心に傷を持つ登場人物たちの生き方、話、そのなかに見えてくる吉本ばななが言いたいこと……。 どうしようもなく孤独である人間の人... -
『鹿男あをによし』感想|奇想天外な青春歴史ファンタジー
『鹿男あをによし』は、『プリンセス・トヨトミ』や『鴨川ホルモー』などで知られる「万城目学」さんの歴史ファンタジー小説です。 第137回直木賞候補にもなり、2008年には玉木宏さん・綾瀬はるかさん出演でテレビドラマ化もされているので、目にしたこと... -
『鉄道員』感想|やさしい奇蹟が降りかかるのは大切なあの人たち
奇蹟を信じますか? 一般的に言う奇跡と〈奇蹟〉では意味がちがいます。 奇跡とは理屈などでは説明ができない不思議な現象のことで、〈奇蹟〉とは神が意思を持ち起こしたとされる自然現象のこと。 そしてこの短編集に限ってはすべてが〈奇蹟〉のうえに成り... -
『グラツィオーソ』感想|吹奏楽にかける!爽やかな青春ストーリー
「ゴールド金賞!」 吹奏楽の世界では、発音の似ている「銀賞」と区別するために、金賞受賞校がこんな表現で発表されます。 きっと吹奏楽経験者であれば、この言葉の響きに特別な思い入れを持つ方も多いのではないでしょうか。 ともに音楽を奏でた仲間たち... -
『ビタミンF』感想|読めば心が元気になる七つのビタミン短編集
最近、日々の生活に疲れていませんか? この小説はそんな人に、ぜひ読んでほしい一冊です。 作者が題名に込めたビタミンFとは、物語のテーマになっている、Fから始まる英単語の頭文字です。 それぞれ家族、父、友達、闘い、壊れやすい、運といった言葉を表... -
『あまいゆびさき』感想|どんなかたちであっても少女たちは惹かれあう
まず始めに、これは女性同士の恋愛小説です、と言っておかなければならないでしょう。 ジャンルとしては俗に言う、百合ジャンルに分類される作品です。 この作品はそんなジャンル名に恥じない美しさと気高さ、可憐さと繊細さを持っています。 同じ時間同じ... -
『流れ星が消えないうちに』感想|失った悲しみから立ち上がる強さ
あなたには、失いたくない大切な人はいますかーーーー。 この物語が描き出すのは、大切な恋人/友人を失った主人公たちの姿です。 「あの日」から時間が止まったまま前に進めなくなっている彼らを、みずみずしく、それでいて力強く描く作品です。 重いテー... -
『空中ブランコ』感想|面白くて癒される「精神科医・伊良部シリーズ」の直木賞受賞作
『空中ブランコ』は奥田英朗さんの「精神科医・伊良部シリーズ」の2作目で、第131回直木賞を受賞、ドラマ化やアニメ化もされている人気作です。 シリーズものとは言ってもオムニバス形式の短編集なので、1冊目の『イン・ザ・プール』を読まずに『空中ブラ... -
『さがしもの』感想|本に愛された人々が見つけたもの
さがしもの、探しもの、捜しもの……。 人はいつでもなにかをさがして生きています。 それは目に見える物であったり人物であったり、姿かたちのないものであったり。 目当てのものをさがし当てたそのとき、あなたが見出すのはどんな感情ですか? うれしい気...