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『白いしるし』感想|自らのすべてを懸けた全力の恋、そのすえに掴むものとは
恋愛、というものに深く入り込める人はたくさん存在します。 私はそういったことにはとんと疎いのですが、この『白いしるし』は理解しようとじっくり読むほどつらくなっていきました。 恋愛を避けていた主人公が見つけた新しい想い人。 その人物に隠された... -
『六条御息所 源氏がたり』感想|世界最古の恋愛小説がより艶やかに甦る
『六条御息所 源氏がたり』は、紫式部の書いた世界最古の長編連恋愛小説を、奇抜な手法を用いて現代に甦らせた恋愛小説。 たくさんの方が、この紫式部の描いたこの物語に魅了され、現代語に訳されています。 その中でも、この『六条御息所 源氏がたり』は... -
『あのひとは蜘蛛を潰せない』感想|生きづらさを抱える人たちへ贈る、彩瀬まるからのメッセージとは
さざんか、という花をご存じですか? 初冬に咲く花で、漢字では山茶花と書きます。 花言葉はその花の色によって変わるものの、全体では『困難に打ち克つ』『理想の恋』などがあり、厳しい寒さのなか咲く花らしい言葉と言えるでしょう。 そして赤いさざんか... -
『しゃばけ』感想|病弱な若だんなと個性豊かな妖たちが難事件に挑む!
江戸を舞台にたくさんの妖が登場する、不思議で楽しいファンタジー時代小説『しゃばけ』。 妖が出てくる物語なんて怖い! と思う人もいるかもしれません。 しかしこの『しゃばけ』に出てくる妖は、親しみやすくて可愛らしい妖ばかりです。 主人公の若だん... -
『いつか陽のあたる場所で』感想|暗い過去を背負いながら新たな人生を歩もうとする女性たちの物語
人には、振り返りたくない過去があります。 決して消すことはできません。 辛い過去を抱えながら、どう生きていけばよいのでしょうか。 これは、前科という暗い過去を持つふたりの女性が、互いに支えあいながら、新たな人生を歩んでいこうとする物語です。... -
『ナイルに死す』感想|ナイル河をさかのぼる船上で起こる豪華絢爛の船上ミステリー
エルキュール・ポアロはひとり呟いた。「男を愛している女と、女に愛させている男。さあて、どうかな?私も心配だ」 今回ご紹介するのは、ミステリの女王、アガサ・クリスティーが生んだ名探偵・エルキュールポアロが活躍する豪華な旅情ミステリー。 物語... -
『この世にたやすい仕事はない』感想|クスッと笑えて身につまされる新感覚お仕事小説
「一日中コラーゲンの抽出を見守るような仕事はありますか?」 前職を燃え尽き症候群のような状態で辞めた主人公が、再就職したいのかよく分からぬままハローワークの相談員さんに放ってしまったひとこと。 きっと怒られると思いきや、「ぴったりな仕事が... -
『バベル九朔』感想|自伝的要素とファンタジー要素がつながった不思議なストーリー
『バベル九朔』は、Sexy Zoneの菊池風磨さん主演でドラマ化もされたファンタジー小説です。 作者である万城目学さんのデビュー10周年作品でもあります。 万城目学さんは「万城目ワールド」と呼ばれる奇想天外な作風で知られていますが、その中でも『バベル... -
『デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士』感想|”家族で唯一聞こえる子ども”が直面する声なき声
《デフ》や《コーダ》というワードをご存じですか? 《デフ》とは耳が聞こえない人を指す「ろう者」を意味する言葉。 《コーダ》とは「ろう者の両親から生まれた聞こえる子ども」を意味する言葉です。 著者の丸山氏は、本書のタイトル『デフ・ヴォイス』に... -
『ミステリークロック』感想|完全密室の謎に挑む「防犯探偵・榎本シリーズ」第4弾
『ミステリークロック』は、防犯コンサルタントで本職は泥棒の榎本径と、弁護士の青砥純子が密室殺人に挑む「防犯探偵・榎本シリーズ」の第4弾です。 同じシリーズには『硝子のハンマー』、『狐火の家』、『鍵のかかった部屋』などがあり、元・嵐の大野智...