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『とりつくしま』感想|遺してきた大切な人を見守りたいと、強く願う亡き人たち
あなたが不慮の事故などで自分の命がなくなってしまったとき、この世に未練を残すと思いますか? もし残したのならば、どうにかしてもう一度この世を見たいと思うでしょうか。 遺した家族や恋人を見守りたいと、そう思うのではないでしょうか。 本作品では... -
『アーモンド』感想|”感情がわからない”かわいい怪物の物語
人は誰でも頭の中に、見た目がちょうどアーモンドのような、扁桃体と呼ばれる神経細胞の集まりを二つ持っています。 扁桃体は「好き」「嬉しい」「怖い」などの”感情”を司る、重要な役割を持った場所です。 しかしこの本の主人公ユンジェの頭の中のアーモ... -
『ライオンのおやつ』感想|こんな穏やかな時間を過ごしたい
ある年のクリスマス。 海野雫が降り立ったのは、瀬戸内に浮かぶ「レモン島」と呼ばれる小さな島でした。 キラキラ光る美しい景色に囲まれたその島で、彼女が過ごす時間、出会う人々との交流を描く物語です。 病と向き合い、時に抗いながらも必死に闘ってき... -
『ランチのアッコちゃん』感想|人生どん底女子が5日で人生を変える!
4年間付き合った彼氏との結婚だけを目標に生きてきた主人公の三智子。 ある日たった1通のメールでフラれてしまい、食事も喉を通らない程に塞ぎこみます。 彼氏の傍に居るために全てを犠牲にしてきました。 お金も無い、趣味も無い、友達も居ない、やりたい... -
『うろんな客』感想|突然この子が現れたらどうしますか?
子供に読み聞かせをする子供用の絵本のほかに、大人が読む用に書かれている少し難しかったり感動できたりする大人用の絵本があるのを知っていますか? 大人向けの絵本の中には、子供の頃とは違い直接的な表現がなくても察することができる大人だから読める... -
『のぼうの城』感想|わかりやすさと史実の面白さを兼ねた異色の歴史小説
混乱の激しい戦乱の時、戦国時代末期。 物語の舞台は田舎武家の成田氏が治める武州忍城(ぶしゅうおしじょう)、現在の埼玉県行田市で繰り広げられます。 命が今よりはるかに軽く、強くなければ簡単に命を落とした時代にもかかわらず、不器用で、力も弱く... -
『雲』感想|一番不可解な謎は、自分自身なのかもしれない
今まで見えていた世界が全く変わってしまった––––。 そんな本と出会ったことはありますか? この小説では、主人公が旅先の古本屋で謎めいた本を発見し、自分自身の人生を追想するところから物語が始まります。 両親の死、最愛の恋人の裏切り、長い船旅、現... -
『ハーモニー』感想|”優しい世界”ハーモニーの正体とは?
”優しい世界”、まるでユートピアかのような世界を描いた『ハーモニー』。 著者、伊藤計劃さんの堂々たる2作目は、第30回日本SF大賞受賞、そしてベストSF2009の国内篇1位という、輝かしい実績を得ることとなりました。 構造的で作りこまれた舞台設定、世界... -
『ホノカアボーイ』感想|ひとたびページをめくればきっとハワイを感じられる
現在、ポータークラシックの取締役をされている作者の吉田玲雄(以下「玲雄」と称する)。 玲雄が大学を卒業したところから物語ははじまります。 ポータークラシックの作品こそ目にすることは多いけれど、その会社の取締役がどんな方 かなんて普通に過ごし... -
『赤×ピンク』感想|格闘を通して成長する女たちの物語
〈キャット・ファイト〉 それは女性同士での取っ組み合いやケンカ、格闘のことです。 だいたいの人が見たことがあるものと言えばやはり取っ組み合いのケンカでしょう。 最近ではテレビのおもしろ映像などでも流れたりしますね。 そして女子プロレスなども...