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『グラツィオーソ』感想|吹奏楽にかける!爽やかな青春ストーリー
「ゴールド金賞!」 吹奏楽の世界では、発音の似ている「銀賞」と区別するために、金賞受賞校がこんな表現で発表されます。 きっと吹奏楽経験者であれば、この言葉の響きに特別な思い入れを持つ方も多いのではないでしょうか。 ともに音楽を奏でた仲間たち... -
『ビタミンF』感想|読めば心が元気になる七つのビタミン短編集
最近、日々の生活に疲れていませんか? この小説はそんな人に、ぜひ読んでほしい一冊です。 作者が題名に込めたビタミンFとは、物語のテーマになっている、Fから始まる英単語の頭文字です。 それぞれ家族、父、友達、闘い、壊れやすい、運といった言葉を表... -
『あまいゆびさき』感想|どんなかたちであっても少女たちは惹かれあう
まず始めに、これは女性同士の恋愛小説です、と言っておかなければならないでしょう。 ジャンルとしては俗に言う、百合ジャンルに分類される作品です。 この作品はそんなジャンル名に恥じない美しさと気高さ、可憐さと繊細さを持っています。 同じ時間同じ... -
『流れ星が消えないうちに』感想|失った悲しみから立ち上がる強さ
あなたには、失いたくない大切な人はいますかーーーー。 この物語が描き出すのは、大切な恋人/友人を失った主人公たちの姿です。 「あの日」から時間が止まったまま前に進めなくなっている彼らを、みずみずしく、それでいて力強く描く作品です。 重いテー... -
『空中ブランコ』感想|面白くて癒される「精神科医・伊良部シリーズ」の直木賞受賞作
『空中ブランコ』は奥田英朗さんの「精神科医・伊良部シリーズ」の2作目で、第131回直木賞を受賞、ドラマ化やアニメ化もされている人気作です。 シリーズものとは言ってもオムニバス形式の短編集なので、1冊目の『イン・ザ・プール』を読まずに『空中ブラ... -
『さがしもの』感想|本に愛された人々が見つけたもの
さがしもの、探しもの、捜しもの……。 人はいつでもなにかをさがして生きています。 それは目に見える物であったり人物であったり、姿かたちのないものであったり。 目当てのものをさがし当てたそのとき、あなたが見出すのはどんな感情ですか? うれしい気... -
『口説き文句は決めている』感想|食と恋をやわらかな言葉で綴るエッセイ
「食と恋」というテーマを聞いて、あなたならどんなエピソードを思い浮かべますか? 初めてのデートで食べた思い出の味。同棲している彼と一緒に作った料理。振られたあとに泣きながら食べた定食。 印象的な恋の思い出には、食が結びついていることが多い... -
『レプリカたちの夜』感想|歪む世界を眺めることしかできない、むず痒さ残る物語
第2回新潮社ミステリー大賞受賞作品。 そう聞けばだれでもものすごいミステリー小説なのだろうなぁと思うでしょう。 しかしこの一條次郎によるデビュー作『レプリカたちの夜』は選考会を戸惑わせたミステリー小説でした。 だんだんと歪んでいく世界をただ... -
『東京バンドワゴン』感想|家族の大切さを再確認!シリーズ第一弾
2008年に発行されたこの作品は、東京の下町にある古本屋&カフェ「東京バンドワゴン」が舞台です。 2013年に主演亀梨和也と多部未華子でドラマ化された作品です。 東京バンドワゴンを営む堀田家は、8人の大家族。 朝ご飯ひとつでもホームドラマのワンシー... -
『本と鍵の季節』感想|爽やかさとほろ苦さが心地よい青春ミステリー
六編からなる本作は、本や鍵にまつわる謎を、まったくタイプの違う二人の高校生が推理する謎解き青春ミステリーです。 一編の長さも適度で、伏線回収もしっかりとあり、ミステリー初心者でも手に取りやすいのではないでしょうか。 また本や鍵が作品の重要...