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『そして五人がいなくなる 名探偵夢水清志郎事件ノート』感想|児童書と侮るなかれ、本格ミステリー!

出典:pixabay

夢水清志郎という名前を、聞いたことがありますか?

今回ご紹介する本は1994年に刊行された、名探偵夢水清志郎事件ノートシリーズの第一作目となります。

現在も名探偵夢水清志郎の事件簿と名前を変え、第二シーズンが刊行されている人気シリーズの始まりの物語です。

亜衣、真衣、美衣の三つ子三姉妹と名探偵夢水清志郎の交流を軸に繰り広げられる本格ミステリーは、子どもだけではなく大人も唸らせることでしょう。

はやみねかおるの代表作、あたたかく不思議なミステリーをお楽しみください。

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『そして五人がいなくなる 名探偵夢水清志郎事件ノート』の概要

出典:Amazon公式サイト

タイトルそして五人がいなくなる名探偵夢水清志郎事件ノート
著者はやみねかおる
出版社講談社
出版日1994年2月
ジャンル児童書

シリーズ300万部突破の大人気シリーズの第一作目です。

第一シリーズを通して物語の軸となる、三つ子の三姉妹と名探偵夢水清志郎の出会いが描かれています。

著者のはやみねかおるは、小学校の教師でした。

クラスの本嫌いの子ども達が好きになれるような本を探すうちに、自ら書き始めます。

名探偵夢水清志郎シリーズは、はやみねかおるの名を世に広めることになった代表作と言えるでしょう。

『夢水清志郎事件ノート』のあらすじ

よく晴れたエイプリルフールの日。

三つ子の三姉妹が住む家の隣に引っ越してきたのは、名探偵、だったのです。

出会い

隣の洋館に引っ越してきたのは、家の中でも黒い背広と黒いサングラスを身に付けた少し怪しい人でした。

特に変わっているのは、表札や名刺に自ら名探偵夢水清志郎と書いていることでしょう。

三つ子の姉妹は彼が本当に名探偵なのか、調査に乗り出します。

3日間に渡った作戦ののち、わかったことがありました。

彼には常識がありません。自分の生年月日さえ覚えていないのです。

食事をすることも忘れます。そのくせ、とてもいじきたないのでした。

彼は名探偵ではない、そう踏んだ三姉妹でしたが、4日目、再び洋館に足を運ぶと状況が一遍したのです。

彼女達の仕組んだいたずら、もとい、調査は全て、彼の推理によって見破られていたのでした。

そっくりな三つ子の姉妹、亜衣、真衣、美衣は、この忘れっぽい迷探偵のことをちょこっとの尊敬も込めて、教授と呼ぶことにしたのです。

そして五人がいなくなる

教授は毎日寝るか、本を読むか、とにかくゴロゴロしています。

本人曰く、事件が起こらないから頭を休めているそうです。

見かねた三姉妹は、隣町にできた遊園地、オムラ・アミューズメント・パークに教授を連れだすのでした。

悪魔のジェットコースターと呼ばれる恐ろしいアトラクションにハマってしまった教授は、何度も何度も一人でリピートしています。

付き合いきれない三姉妹がテーブルで休んでいると、銀色の瞳のピエロが近づいて来ました。

ピエロからもらったビラには「大マジックショー」と書いてあります。

演じるのは「伯爵」という人物。

怪しいピエロに訝しんでいると、教授が戻ってきます。

遊園地のマジックショーを盛大に馬鹿にする教授でしたが、自ら披露した500円玉消失マジックで三姉妹の策に嵌り、大人しくマジックショーに同行することになりました。

伯爵が行うマジックは宙に浮いた箱の中から人を消すという消失マジックです。

ショーが始まると、伯爵以外のマジシャン達による演技が繰り広げられました。

ついに伯爵の出番です。ショパンが流れ始め、ドライアイスが立ち込めました。

伯爵の投げたバラが、どこか見覚えのある女の子の膝に落ちます。

伯爵は優しく女の子を抱き上げ、箱の中に入れました。

そして、伯爵のスリーカウントで女の子は消えてしまったのです。

すると突然、伯爵が壊れたおもちゃのように笑い始めたのでした。

伯爵は自ら箱の中に入り、扉を閉め、カウントを取ります。

次の瞬間、箱は炎を噴き上げ、バラバラに壊れてしまいました。

伯爵がいなくなり、静まり返っていた観客が騒ぎ始めます。

女の子はどうなったのか、伯爵はどこに行ったのか、本当の誘拐だったのではないかとパニックになっていました。

マジックショーの責任者は警察を呼び、捜査が始まります。

この事件は自分にしか解けないと意気込む教授でしたが、上越警部から追い返されてしまいました。

しかし、教授、まさかの警視総監とお友達だったのです。

晴れて捜査権を得た教授は、鑑識や、他のマジシャン達、遊園地のオーナーに話を聞くことにしました。

謎は解けたという教授でしたが、謎解きするには早すぎると真相を話してはくれません。

遊園地の閉園が迫った頃、パークの電光掲示板に伯爵の新たな犯行予告が届きました。

あと四人、このオムラ・アミューズメント・パークで消してみせると。

帰宅後、美衣のコレクションしていた古新聞の中に、誘拐された女の子を見つけました。

大野みさちゃん、天才ピアニストです。

この記事には、みさちゃんの他に三人の天才児が紹介されていました。

翌日、みんなでみさちゃんの家に話を聞きに行きます。

すでにたくさん集まっていた報道陣を退け、家の人と接触を試みますが、教授はみさちゃんのお母さんからバケツ二杯分の水をかけられるのでした。

みさちゃんの家の捜査を諦め、オムラ・アミューズメント・パークに向かおうとしたそのとき、みさちゃんのピアノの先生と出会います。

教授はその先生と、みさちゃんが幸せになるように事件を解決すると約束をするのでした。

遊園地で上越警部を呼び出し話を聞くと、次に伯爵が狙うと思われる三人の天才児が、今日このパークに来園するというのです。

そしてその直後、皆が予想したように、天才児三人を誘拐すると伯爵から新たに犯行メッセージが届いたのでした。

教授と上越警部は、子ども達を守るために、今回だけ手を組むことを決めたのです。

上越警部は忙しい子ども達の貴重な時間を守るため、年の近い亜衣、真衣、美衣にも警備に加わることを提案しました。

三姉妹は、伯爵に狙われている三人の子ども達に一人ずつ警護に付きます。

亜衣が担当する高橋真一くんは体操選手。疲れを知らない彼には、ついていくだけで大変でした。

高橋くんはパークの目玉、教授が大好きなジェットコースターに並びます。

目立たないように護衛の警官達は散り、亜衣だけがジェットコースターに乗ることになりました。

高橋くんのすぐ後ろの車両に乗り込み、頑丈なセーフティーバーが下ろされます。

ジェットコースターが走り出した直後、高橋くんの隣に座っていたおじさんが振り向きました。

亜衣がその銀色の目に気が付いた瞬間、ジェットコースターは急降下していったのです。

ジェットコースターが終着し、フラフラになりながら前を見ると、前の車両には若いカップルが座っていました。

高橋くんと伯爵は、自分達の乗った車両ごと消えてしまったのです。

真衣が担当したのは天才モデラ―の加藤和夫くんでした。

加藤くんは、巨大な迷路になっているミラーハウスに向かいます。

警察は入口と出口にそれぞれ待機し、真衣は加藤くんを追って中に入りました。

暗闇と鏡で覆われた迷路に苦戦していると、加藤くんが身に付けていたゴーグルのような眼鏡をひろいます。

嫌な予感に襲われた真衣は、なんとか出口を見つけ表に飛び出しました。

加藤くんは出てきていないという警察に、アトラクションを止めて人数を確認するように告げるのです。

全ての客がミラーハウスから出たことを確認しますが、その中に加藤くんの姿はありません。

巨大なミラーハウスで、三人目が消失してしまったのでした。

美衣は小村社長とともに、天才棋士の鈴木智子さんを警備しています。

鈴木さんは乗り物に乗るわけでもなく、いろんなイベントを見て回っていました。

鈴木さんの警護にあたっていた警察は、高橋くんと加藤くんが消えたという報告を受け捜索に向かっています。

途中、人混みにのまれながらも鈴木さんを追って蝋人形館に向かいました。

入口が一つしかない蝋人形館で、入れ違いにならないよう外で待つことにした二人。

しかし、閉館時間になっても鈴木さんは出て来なかったのです。

その後、皆で館を捜索するも、やはり中にいるはずの鈴木さんはいません。

教授には謎が解けたようですが、いくら上越警部が詰め寄っても謎解きをしようとはしないのでした。

三人が消えてしまった夜、亜衣達の家の電話に教授あての電話がかかってきます。

伯爵からでした。

伯爵は、教授に捜査の進行状況を聞くため電話をかけてきたのです。

教授は伯爵の動機だけが理解できないとしながらも、その答えのキーワードに辿り着いていることに、伯爵は満足そうに笑いました。

そして、伯爵は明日の夜、オムラ・アミューズメント・パークのカーニバルで最後の一人を消すと予告するのです。

オムラ・アミューズメント・パークのカーニバルが始まります。

予告時間の30分前、教授と三姉妹は予告場所のセンターパレスにいました。

伯爵との最後の勝負が始まるのです。

最後の一人と夏休みの終わり

センターパレスで上越警部と小村社長と合流します。

サンバチームの演技が終わると、演技場の中心に一人の男が歩み出てきました。

黒いタキシードに黒いマント、そして赤いマスク。伯爵が現れたのです。

警察が一斉に伯爵を囲みました。

犯行時刻ちょうど、演技場のライトが一斉に消えます。

そして次にライトがついた時には、伯爵の姿はありませんでした。

五人目は伯爵自身だったのです。

事件が起こってしばらくの間、世間はこの話題でもちきりでした。

いまだに事件を解決できない警察と、テレビで大見栄をきっていた教授には、たくさんの非難の声が毎日のように届いています。

全てわかっているはずの教授は、全く謎を解くそぶりを見せず、嘘つき扱いをされていました。

亜衣、真衣、美衣はくやしくてたまりません。

事件は何の進展もないまま、時間だけが過ぎていきました。

世間も次第に事件のことを忘れて、抗議の手紙も届かなくなった夏休みの終わり頃、教授の家に、一言「ありがとう」と書かれた葉書が届きます。

その葉書を見た教授は、夏休みの最後の日に事件の謎を解くと三姉妹に約束をするのでした。

八月三十日の朝、誘拐された子ども達が何事もなかったかのように帰ってきたのです。

みんな口をそろえて、誰もいない遊園地で遊んでいたと言いました。

しかし、それ以外のことは全く覚えていないというのです。

その翌日、夏休みの最終日、教授と亜衣、真衣、美衣はオムラ・アミューズメント・パークの中にある展望レストランにいました。

亜衣たちの他にも複数の関係者が集められています。

「さて――」

ついに、名探偵夢水清志郎の謎解きが始まるのでした。

『そして五人がいなくなる 名探偵夢水清志郎事件ノート』を読んだ感想

ここではこの本を読んだ感想をおすすめポイントも含め紹介します。

本格的なミステリー

児童書といえども侮ることのできない、本格的なミステリーがこのシリーズの最大の魅力と言えるでしょう。

本作も例外ではありません。

五人の人間を消失させた様々なトリックが出てきます。

教授の謎解きを聞いていると、「そういうことだったのか~」「あれかー!」と、亜衣ちゃん達と同じようについ頷いてしまうことでしょう。

今回この記事を書くにあたり、あらためてこの本を読み直しました。

すると、あらゆるところに作者からのヒントがちりばめられていたのです。

はたしてあなたは、このヒントに気づき全ての謎を解き明かすことができるでしょうか?

ぜひ、この本を手に取り伯爵に挑戦してみてください。

教授と三姉妹

本シリーズは、教授と亜衣、真衣、美衣の交流の中で物語が展開していきます。

教授との出会いが彼女達の運命を変えたといっても過言ではありません。

第一作目である本作は、その大事な出会いが描かれています。

自他ともに認めるそっくりな三つ子の姉妹。でも、教授は決して間違えない。

それは見た目ではなく、彼女達一人ひとりを丁寧に理解しているからこそ成せることです。

教授という居場所を見つけ、自信という宝物をもらった彼女達。

三つ子の一人ではなく、亜衣、真衣、美衣という一人の女の子として少しずつ変化し、成長していく、その一歩を踏み出した姿をぜひ見届けてあげてください。

優しい世界観

教授や上越警部をはじめ、この作品に出てくる多くの大人は、子ども達を一人の人間として扱っています。

本編を通して、子ども達の幸せのためなら、自分が傷つくことだって些細なこと、そんな大人達の姿が描かれていました。

それはとても優しい世界だと思います。

甘やかすのでもなく、厳しくするのでもなく、ただ一人の人間として子ども達と関わる姿は、大人になって読むと大変考えさせられるものがありました。

それはまるで、教師である作者の、全ての子ども達が幸せであって欲しいという声なき声が聞こえてくるかのようです。

きっとこの本を読み終えた後は、子どもも大人も、あたたかく、優しい気分になれるでしょう。

この優しい世界に、ぜひ触れてみてくださいね。

『そして五人がいなくなる 名探偵夢水清志郎事件ノート』はどんな人におすすめ?

この本はこんな人達におすすめです。

  • ミステリーが好きな人
  • 探偵が出てくる物語が好きな人
  • ハッピーエンドが好きな人
  • 推理小説が読みたいけど、忙しくて時間がとれない人
  • 大人も子どもも楽しめる本を探している人

ジャンルは児童書ですが、大人が読んでも十二分に楽しめるミステリー作品です。

ちょっと変わってるけど、謎を解く姿はかっこいい、そんな探偵好きには特に楽しんでもらえるでしょう。

皆が幸せになるハッピーエンドなので、推理小説が読みたいけど、ドロドロしたのは苦手という人にもおすすめです。

長編の推理ものとはいえ、子ども向けの長さにまとまっているので、さくっと読むことができるのも魅力的でした。

子どもにも大人にも読んでいただけるので、親子で楽しむのも良いかもしれませんね。

おわりに

名探偵夢水清志郎の魅力、お伝えできたでしょうか?

忘れん坊で常識知らず、もの凄く自信家だけど誰よりも優しい名探偵。

この本を読めば、もっと彼の魅力に気づいてもらえるでしょう。

そして何より、この本はミステリー小説です。

たくさんの謎があなたを待っています。

あなたも探偵となり、この本に隠された謎に挑戦してみてください。

いったいいくつの謎を解くことができるでしょうか。

優しくて精密なミステリーをお楽しみください。

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この記事を書いた人

本が大好きな『休日の本棚』運営者です。

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