世界一強い女の子といえば、誰を思いつきますか?
私はもちろん、ピッピを思い出します。
髪はニンジンのようなオレンジ色。
肩にはサルを乗せ、ヘンテコな青い服。
そして、片方が茶色で片方が黒の長くつ下をはいています。
しかも、きまぐれ荘と呼ばれる、ふるぼけた家にたった9歳でひとり暮らし。
ピッピは、空の天使になった母親にこう言います。
「おかあさん、しんぱいしないで! わたし、ちゃんとやってるからね!」
どこまでも自由で、力持ちの、想像力豊かな女の子。
私を救ってくれたのは、この物語の主人公長くつ下のピッピです。
著:アストリッド リンドレーン, 翻訳:下村 隆一
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『長くつ下のピッピ』の概要
出典:Amazon公式サイト
タイトル | 長くつ下のピッピ |
著者 | リンドグレーン |
出版社 | 偕成社 |
出版日 | 1988年3月1日 |
ジャンル | 児童文学 |
スウェーデンで生まれた『長くつ下のピッピ』は、世界中で愛されている物語です。
読んだことがない人も、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
アニメや映画、様々なメディアで取り上げられてきました。
自分をしっかりと持ち、いつも明るく、様々なことに挑戦するピッピは、子どものためだけの物語ではありません。
まるで、付き合いの長い親友に会うような気持ちで、大人になった今再び、この物語を読みました。
今だからこそ読んでほしい物語です。
『長くつ下のピッピ』のあらすじ
ピッピは、サルのミスター・ニルッソンと馬一頭とともに、きまぐれ荘に住んでいます。
他の子どもとは、わけが違いました。
とほうもない力持ちで、学校へ行かず、気の向くままひとりで暮らしているのです。
とにかく自由なピッピ
きまぐれ荘の近くに住む、トミーとアンニカと仲良くなったピッピ。
ベランダで馬を飼っていたり、珍しい宝物を持っていたり、台所中に生地を広げてビスケットを作っていたり……。
そして何より、力持ちのピッピは、いじめっ子の男の子を撃退。
おまわりさんのことも怖がらず、追いかけっこまで始めてしまう自由っぷり。
ふたりは、愉快で勇敢なピッピを気に入ります。
怖いものなしのピッピ
あるとき、学校に興味を持ったピッピは、トミーたちの学校へ。
勉強をしたことがない彼女は、先生のいうことにいちいち質問して困らせてしまいます。
悪気はないのです。
結局、学校へはもう行かないことにしました。
それからも、空を飛ぼうとして地面に落ち、暴れまわる牡牛に乗って歌を歌い、サーカスに参加してみたりと怖いものは何もないピッピ。
そして、何と、どろぼうを捕まえて、一緒にダンスを踊ってしまうんです。
どんなときでも元気なピッピ
コーヒー・パーティーに呼ばれたピッピは、案の定、行儀よくできずに怒られてしまいます。
それでも、飄々としているその姿は、9歳とは思えない貫禄。
偶々通りかかった火事も、緊急事態をよく理解できていないピッピは、
いとも簡単に、子どもたちを救出。
トミーとアンニカとの絆も深め、ピッピの日常は続いていきます。
『長くつ下のピッピ』を読んだ感想
大人になると、物事はこうあるべきだ、とか和を乱さず生きることが大切だ、などそんな面白味もないことばかり。
普通に生きることは、確かに安心しますが、思い返すと子どもの頃は、もっと自由に考えることができたように感じます。
『長くつ下のピッピ』を私は今回、懐かしいなと思って手に取りました。
読み返してみると、大人になった今読んでも、なお面白い。
ピッピ流の生き方
自由に好きなことをして、興味を持った人やものにどんどん声をかけます。
そして、合わないと思ったら、じゃ、さよなら!と明るく叫んでお別れ。
どう思われようが知ったことではない、ピッピは大人の目から見ても羨ましい限りです。
部屋が汚れることも気に出ず、床一面でビスケットを作ることも。
眠るときは、まくらの上に足をのっけます。
どろぼうが入ってきたときは、
「あんたたちがきてくれて、とてもたのしかったわ! ほんとに、もうかえらなくちゃいけないの?」
ダンスを踊って、ごちそうします。そして、ダンスのお礼と言って金貨を渡すのです。
枠にとらわれないピッピの生き方は、時に人を救うことも。
ピッピに救われた人々
数人にいじめられていた子どもを助け、ピッピにまでつっかかってきた男の子を、ひょいと持ち上げて、枝につるしてしまうのです。
世界一強い女の子には誰も勝てませんからね。
火事を見かけたときは、どうして周りが泣いているのかわかりませんでした。
「まあ、なんてかなしそうな顔をしてるの! おなかがいたいの?」
だって、彼女ならすぐに助けることができますから。
みんな泣いてハラハラしているのに、ピッピだけは笑顔で楽しそう。
何かあったとき、普段通りでいられることがどれほど難しく、すごいことか、大人になった今ならば、よくわかります。
子どもにとってのヒーロー、そして、大人にとっての憧れ。
ピッピは、毎日を楽しく生きる術を自分が一番楽しむことで教えてくれます。
もしも、子どもの頃、近所にこんな友だちがいたら、楽しかっただろうなと何度も思いました。
大人になった今は、心が沈んでしまったときに読み返そうと思います。
数えきれないほど、ピッピは、私を救ってくれたのです。
『長くつ下のピッピ』はどんな人におすすめ?
かつて子どもだったこんな大人の方にに、ぜひ読んでみてほしいです。
- 毎日がつまらなく感じる
- 時間に追われ、イライラしている
- 本当の自分とは何か、考えたことがある
子どものときの遊びは無限でした。
想像するだけで、ただの公園が遊園地になり、新しい遊びを考えることは、わくわくの連続。
誰に言われなくても自分を持っていた子ども時代、『長くつ下のピッピ』を読んで、肩の力を少しだけ抜いてみませんか?
おわりに
『長くつ下のピッピ』は、とても自由な物語です。
どんなときも明るく、やりたいことに忠実に生きるピッピは、これからも私たちの憧れであり続けるでしょう。
彼女のように生きることは現実、難しいかもしれませんが、世界のどこかで、ピッピが走り回っている姿を想像すると、私自身、満ち足りた自由な気持ちになります。
私が救われていることを聞いても、ピッピは「どうして? へんなの!」と高らかに笑うことは間違いありません。
ピッピの生活はまだまだ続きます。
世界で愛されている、無邪気で頼もしい女の子の話を、大人になったみなさんがどう思うのかとても楽しみです。
著:アストリッド リンドレーン, 翻訳:下村 隆一
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