今回ご紹介する絵本は、かいじゅうに生まれながらも、大人しくて礼儀正しいかいじゅうの子どもが主人公です。
かいじゅうの子どもは、保育園で人間の子ども達に出会いました。
でもその子ども達、一筋縄ではいかない、かいじゅうな子ども達だったのです。
小さな子どもと関わった経験がある方なら激しく頷きたくなるような、元気いっぱいの子ども達。
みんな、友達と一緒にどんどん大きくなっていきます。
かわいく愛しいかいじゅう達の成長を、あなたも見守ってみませんか?
著:藤本ともひこ
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『こんなかいじゅうみたことない』の概要
出典:Amazon公式サイト
タイトル | こんなかいじゅうみたことない |
著者 | 藤本ともひこ |
出版社 | WAVE出版 |
出版日 | 2013年12月10日 |
ジャンル | 絵本 |
『いただきバス』でお馴染みの藤本ともひこによる、ユニークな成長物語です。
保育園に入園したかいじゅうが、人間のかいじゅう達と出会い、かいじゅう一年生になるまでの姿が描かれていました。
著者の藤本ともひこは、保育現場での経験を活かした、子どもに響くユニークな作風が人気です。
絵本以外でも、童話や遊び歌作家としても活躍しています。
『こんなかいじゅうみたことない』のあらすじ
かいじゅうと言えば、どんなかいじゅうを想像しますか?
恐い?乱暴?いじめっこ?
この絵本の主人公のかいじゅうは、ちょっと違っているかもしれません。
こんなかいじゅう、見たことありますか?
こんなかいじゅうみたことない
かいじゅうの男の子は、いつもお母さんやお父さんに怒られていました。
絵本なんか読んではいけません。ビルでも壊しなさい。
部屋を片付けてはいけません。もっと散らかしなさい。
靴を揃えるのもやめなさい。かいじゅうは靴なんてはかないの。
そう、このかいじゅうの男の子、全然かいじゅうらしくなかったのです。
困ったかいじゅうのお父さんとお母さんは、かいじゅうの男の子をある所に預けることを決めたのでした。
保育園
かいじゅうの男の子が預けられたのは保育園です。
そこには、人間の子ども達がいっぱいいました。
しかもこの子ども達、実は小さなかいじゅうだったのです。
- 泥遊び大好きなどろんこかいじゅう
- なんでもビリビリちらかしかいじゅう
- ブロックどーん!ぶっこわしかいじゅう
かいじゅうの男のもびっくりのかいじゅうっぷりです。
でも、小さなかいじゅう達は暴れるだけではありません。
なんだかちょっぴり優しかったのです。
かいじゅう一年生
かいじゅうは、ちょっぴり優しいみんなのことが大好きになりました。
もちろん、みんなもかいじゅうのことが大好きです。
ブランコをしたり、ブロックで遊んだり、遠足に行ったり。
かいじゅうと保育園のみんなは、一緒にたくさん遊びました。
そして、月日は流れ、あっという間に卒園式です。
かいじゅうは、立派なかいじゅう一年生になりました。
でもこのかいじゅう、なんだかちょっぴり優しかったのです。
『こんなかいじゅうみたことない』を読んだ感想
この絵本を読んだ、私の感想をご紹介します。
愛すべきかいじゅう達
どろんこかいじゅう、ちらかしかいじゅう、ぶっこわしかいじゅう。
おそらく、誰もが納得の子どもかいじゅう達が揃っているのではないでしょうか。
我が家の子ども達も例外ではありません。
公園に行けば砂まみれ、家の中はおもちゃが散らばり足の踏み場もありません。
下の子が上の子の作品を壊して大喧嘩など、兄弟あるあるなのではないでしょうか。
でもこのかいじゅう達、誰かを困らせるだけじゃないのです。
絵本の中でも、なんだかちょっぴり優しいことをしていました。
どんなに怒り心頭でも、このちょっぴり優しいことで、こちらも少しだけ優しくなれる気がします。
そしてこのちょっぴり優しいところが、彼らの憎めないところではないでしょうか。
毎日のように私に雷を落とされている我が子達ですが、ちょっぴり優しいところがいっぱいあります。
この絵本を読んで、まさに彼らは愛すべきかいじゅう達だなと、再確認できました。
成長する子ども達
主人公のかいじゅうの男の子は、絵本が大好きでお片付けも上手な大人しい子でした。
私達の世界では良い子と呼ばれそうなかいじゅうの子ですが、かいじゅうの世界では半人前も良いところです。
ところが保育園に入り、かいじゅうみたいな友達と過ごしたことで、豪快に火を吹けるまでに成長をとげました。
しかも、誰かを困らせるだけのかいじゅうではありません。
保育園のたくさんのかいじゅう達がそうだったように、なんだかちょっぴり優しいかいじゅうになったのです。
そして保育園のかいじゅう達が、かいじゅうの男の子に良い影響を与えたように、きっとかいじゅうの男の子も、保育園のかいじゅう達に良い影響を与えたのではないでしょうか。
卒園式に挑む子ども達の姿は、かいじゅうではなく、とても落ち着いたお兄さん、お姉さんに見えるのです。
明確に触れられてはいませんが、きっとかいじゅうの男の子のように、お片付けも上手になって、靴もしっかり揃えられるようなかいじゅうに成長したに違いありません。
教育学部で学んでいた学生時代、子どもは子ども同士で学び合う力を持っていると教わりました。
まさに、この絵本のかいじゅう達は一緒に遊びながら、お互いに学び合い成長したのではないでしょうか。
しかもそれは、本当にあっという間の出来事でした。
お互いがお互いを大好きになるまで、思う存分遊んでいる間に彼らは成長を遂げたのです。
きっとこれは、現実の世界でも同じなのかもしれません。
我が家の長男も、まだまだかいじゅう真っ只中です。
そんな彼も、次に春が来ると一年生になります。
今は彼のかいじゅう行為に辟易している私ですが、この時間もきっとあっという間なのでしょう。
そう考えると、もう少しこの愛すべきかいじゅう達に付き合おうと思えるのです。
一番大切なのは、ちょっぴり優しいこと
この絵本のテーマの一つは、ちょっぴり優しいことではないでしょうか。
ただ人を困らせるだけのかいじゅうではなく、ちょっぴり優しいかいじゅうだから良いのです。
ちょっぴり優しいかいじゅう達は、転んだかいじゅうの子を心配して気遣いました。
この優しさが、かいじゅうの男の子の心を開いたのです。
そして、その優しさはかいじゅうの男の子を更に成長させる糧となりました。
元気いっぱいのかいじゅう一年生になった彼は、木から下りられなくなっていたネコを助けます。
ただ火を吹いて大暴れするかいじゅうではなく、困っている人を助ける、なんだかちょっぴ優しいかいじゅうに成長したのでした。
愛すべきかいじゅう達の優しさは、一人の友達の心を開き、共に温かく成長していったのです。
私も、我が子達のちょっぴり優しい良いところを大切にしようと思います。
『こんなかいじゅうみたことない』はどんな人におすすめ?
この絵本はこんな人におすすめします。
- 著者である藤本ともひこの作品が好きな人
- 小学校進学を控えた年長さん
- 保育園や幼稚園の先生方
- 子育て真っ最中のお父さん、お母さん
著者はこれまでたくさんの絵本を刊行している人気作家です。
彼の作品が好きな人なら、きっとこの絵本もお気に召してもらえるでしょう。
作中では、かいじゅう一年生に成長する物語が描かれています。
そのため、同じく小学校一年生を迎えようとしている年長組の子ども達にとっては、非常に親しみやすい内容ではないでしょうか。
保育園や幼稚園での読み聞かせにも向いている絵本だと思います。
この絵本を読んだ後、園で過ごした思い出を振り返ったり、成長した自分達に気が付くような指導をしたり、教材の導入としても良いかもしれませんね。
子ども向けの絵本ですが、子育て中の親世代にも刺さるものがあります。
この絵本を読んで、わかるわかると頷いた同士がたくさんいることでしょう。
おわりに
ちょっぴり優しいかいじゅう達の魅力、伝わりましたでしょうか?
私はどうしても親の目線でこの絵本を読んでしまいますが、子ども達にとっても、この絵本は近い未来への期待感をもたらしてくれるのではないかと感じました。
かいじゅうな子ども達も、そうじゃない子ども達も、みんな成長の可能性を秘めています。
そして絵本の展開のように、それはきっとあっという間の出来事なのかもしれません。
この絵本が、彼らの成長する力を信じさせてくれるような気がしました。
私も、我が家のかいじゅう達のちょっぴり優しいところを大事にして、彼らの成長を楽しみにしたいと思います。
著:藤本ともひこ
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