今回ご紹介する絵本は林木林さんが現代の大人へ向けて書いた大人のための絵本です。
ネット社会と言われる現代、開かれるスマートフォンの画面にはSNSを中心に発信・拡散される情報が飛び交い、私たちは日々無意識にそれらを受け取り続け、そして時に自らも発信する側となっています。
そんな情報溢れる時代で、ふと考えたことはないでしょうか?
私たちが目にする情報、それらすべては果たして真実を語っているのだろうか、と。
簡単に知りたいことが知れて、誰かに伝えることができ毎日が便利になっていく反面、私たちは投げ込まれた情報に対して疑問を抱くことが限りなく少なくなってきているのです。
この絵本は情報溢れる世界で生きる私たちに1度立ち止まって考える時間を与えてくれます。
大人へ向けて書かれたものではありますが、絵本なので個人的には小学生の子どもでも読みやすいという印象を持ちました。
ぜひ、親子で呼んでどうすれば情報に捕らわれない生き方ができるのか一緒に考えてみてください。
小さい書房
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『2番目の悪者』の概要
出典:Amazon公式サイト
タイトル | 2番目の悪者 |
著者 | 林木林(著) 庄野ナホコ(絵) |
出版社 | 小さい書房 |
出版日 | 2014年11月26日 |
ジャンル | 大人向け絵本 |
累計2万5,000部を突破したロングセラー作品です。
2021年4月26日には読み聞かせに適したB5変形サイズの大型本も登場しました。
帯には人気タレント、イモトアヤコさんの推奨コメントが載り、イモトさんご自身のInstagramで宣伝されたことでたくさんの注目を集めました。
発売から7年近くたった今でも多くの人に愛される作品です。
『2番目の悪者』のあらすじ
さっそくページを開いていきましょう。
読みやすくわかりやすい文章に加えて、庄野ナホコさんの美しいイラストに目を奪われること間違いなしです。
金色のたてがみライオン
自慢の美しい金色のたてがみを持ち、自分が誰よりも1番だと考える自信家のライオンでこの物語の主人公です。
国で新しい王様を決めることになった時も絶対に自分が選ばれる、そうあるべきだと信じていました。
しかし、自分よりも住民の信頼を集める銀色のたてがみライオンの存在を知った時、その強固な自信は崩れさり彼を貶めるための悪い噂を国中で流し始めてしまうのです。
銀色のたてがみライオン
心優しい親切な性格で困っている人を放っておけず、誰にでも分け隔てなく接します。
お金や権力に興味がなく、街から離れた森の中で1人細々とした生活を送る毎日です。
金色のたてがみライオンが流した自分に対する悪い噂の存在を知っても困った顔をするだけで自分から真実を訴えることはせず、噂が収まるのを待つ大人しいライオンでした。
住民の動物たち
脇役に位置しますが、本当の意味での物語の主人公たちと言っていいでしょう。
このお話の注目すべき点は彼ら1人1人の行動にあります。
金色のたてがみライオンが作り出した悪い噂をはじめは誰も信じようとはしないのに、住民から住民に広まることによってだんだんと嘘が真実となり、さらには自らも嘘の噂を作り出す側へと転じてしまうのです。
『2番目の悪者』を読んだ感想
実際にこの絵本を読んでみて、私が感じたことを書かせていただきます。
あくまで個人の感想となりますが、これからこの絵本を読み始める方はもちろん、すでに読み終わった方でも参考にしていただければ幸いです。
2番目の悪者とはわたしたち
住民の動物たちは、最初は金色のたてがみライオンの嘘を信じようとはしませんでした。
しかし、信じてはいないけれど、噂話には強い興味があり出所のわからない情報を集めたり、本当は間違っているとも知らずにそれを誰かに伝えてしまったりしている。
情報社会を生きる私たちにとても似て通じるところがあります。
何が真実なのか見極めることが大切
「真実は自ら探し求めなければみつからない」
絵本内で書かれている上記の1文にもあるように、残念ながら私たちが日々手に入れられる情報は全部が全部100%の真実を語っているとは限りません。
その情報が紛れもない“真実”であると言い切れるくらい自分の手で調べて発言に責任を持つ意識が得ることが大切ではないでしょうか?
今の情報化社会には私たちも“2番目の悪者”になってしまう危険性があるように思います。
ラストに残された作者からのメッセージ
物語が進んでいくにつれ住民の動物たちは自分たちが犯してしまった間違いに気づきますが、その時にはすでに手遅れでした。
最後に残ったのは何もないまっさらな更地だけで国もなくなり、動物たちも姿を消しました。
すべてを失ってしまう前に考え、正しい行動を起こさなければいけない、という作者からの私たちへ向けたメッセージのように感じられます。
『2番目の悪者』はどんな人におすすめ?
『2番目の悪者』はこんな方々におすすめです。
- SNSで日々情報を受け取る・発信する人
- 情報化社会に疲れを感じている人
- 子どもにネットとの付き合い方を学ばせたい人
1つスマートフォンを開けば様々な情報が目に入ります。
その中にはネットなしでは知りえなかった嬉しい情報が得られたり、たくさんの人と交流できたりとそれ自体はとても楽しく素敵なことでしょう。
しかし、急速にネットが発達した分、私たちはまだネットから発信される情報との上手な付き合い方を確立できていないと思います。
知らないうちに誰かを傷付けることがないよう、たくさんの人にこの絵本を読んでいただきたいです。
おわりに|2番目の悪者にならないために
TwitterやInstagramを中心に私たちを取り巻く情報は日々、数時間ごとに絶えず変化していきます。
簡単に不特定多数の人々と情報を共有できるという便利さがある一方で、仮に自分が間違った情報を伝えてしまった場合には同様にたくさんの人にそれが広まってしまうという危険性をはらんでいるのです。
何が嘘で何が本当なのか、自分の目で見て聞いて調べることの大切さを今一度考えてみませんか?
1人でも多くの人がこの絵本を読んで、生きやすいネット社会を得られることを願っています。
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