今回紹介するのは、第6回本屋大賞5位に選ばれた百田尚樹さんの「ボックス!」
2008年に発行され、市原隼人さん主演で映画化もされています。
タイトルである「ボックス!」は、アマチュアボクシングの審判が試合を再開するときに使う言葉です。
「box=ボクシングをしろ」という意味。
この単語を聞いたときに、私の頭の中で、審判の”力強い”掛け声が響きました。
大阪弁のテンポ、ボクシングの軽快なフットワーク、双方のリズムが心地よい作品です。
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『ボックス!』のあらすじ
電車でマナーの悪い不良が乗客に絡むところからはじまる。
同じ車内で様子をみていた、天才ボクサー・鏑矢義平(かぶらやよしへい)は、不良のもとに近づき風のように一瞬で倒してしまう。
一緒に乗車していた幼少期からの友人・木樽優紀(きたるゆうき)。
たまたま友人と出かけていた女性高校教師・高津耀子(たかつようこ)。
主にこの3人でストーリーが展開されていく。
恵美寿高校ボクシング部に所属している、鏑矢は「高校最強ボクサー」を目指している。
対象的に、木樽は授業料免除の特進クラスにいた。
ある日とあることがきっかけで、木樽がボクシング部に入部する。
それぞれ大きな壁が立ちはだかり、やがて”ライバル”となる。
『ボックス!』を読んだ感想
たくさんの青春小説がある中、ボクシングを通して男の汗・熱さが感じられます。
学生時代、何かに打ち込んでいた人は懐かしくなるでしょう。
私は、今までボクシングをテレビで目にすることはあっても興味はありませんでした。
どちらかが殴られて、ボコボコになるところは”見たくない”と思っていたからです。
ですが、不思議と勝敗関係なく、「男らしい」とも感じていました。
ストーリーの中に、女性教師の高津耀子(たかつようこ)が登場します。
高津は、今までボクシングとは無縁の生活をしてきて、急遽ボクシング部の副顧問をすることになりました。
私自身を高津先生と重ね合わせることで、アマチュアボクシングについて知ることがでました。
そして、私も恵美寿高校のボクシング部に所属し、一緒に成長しながら戦っている気持ちになりました。
プロのボクシングとアマチュアボクシングについてよく知らなかった私は、アマチュアボクシングの方がなんとなく優しそうなイメージがありました。
プロとの違いは、ヘッドギアをつけ、3分3ラウンドというルールです。
ラウンド数は少ないが、同じボクシングをすることに変わりありません。
日々、地味できついトレーニングが必要であり、精神力も試されます。
高校生で体が未熟とはいえ、大人同様のトレーニングが必要です。
試合のシーンを読んでいると、3分がとても長く感じます。
相手のパンチを判断し、自分の攻撃を考える。
短い時間の中で、決断の連続です。
一瞬、一瞬が細かく書かれているので、臨場感があります。
パンチをもらった時のダメージ、勝利した時の喜び。
自分のことのように辛く、そして嬉しい。
この本を読んで、学生時代特有のぐらぐらした気持ちを味わい、何度でも立ち上がる姿を羨ましく思いながら充実した時間を過ごしました。
いつも片手に持っているスマホを本に変えて、通勤時間を有意義に過ごしてみませんか?
この春、新しい生活をはじまる方には、おすすめの1冊です。
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