2018年の5月に亡くなった絵本作家のかこさとしさん。誰でも一度は、かこさとしさんの絵本を目にしたことがあるのではないでしょうか。
数多くの名作を残されたかこさとしさんですが、その中でも、特に名作中の名作。「からすのパンやさん」をご紹介したいと思います。
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『からすのパンやさん』あらすじ
いずみがもりのからすの町に、パンやさんのお店が、ありました。
そのからすのパンやさんの家に、四羽のからすの赤ちゃんが生まれます。
かわいい四羽の赤ちゃんを育てるのに大忙しのお父さんからすと、お母さんからす。
子育てに追われて、パンを黒こげにしてしまったり、お店を散らかしたまんまにしてしまったものですから、パンを買いに来るお客さんが、どんどん減って、貧乏になっていました。
それでも、からすの子ども達は、おやつパンを食べて、すくすく大きく成長していきました。そのうち、ほかのからすの子達も、おやつパンをほしがって、子ども達は、ほかのからすの子達に、パンをあげるため、両親と共に、パン作りをはじめます。
からすの子供達の間でパンやさんのパンは人気になり、パンやさんは、たくさんの面白いパンを、次々に焼くようになります。
パンやさんで、面白いパンを焼いているという噂は、子ども達から大人にも広まっていきますが、「パンが焼けた」という話が、いつの間にか、「パンやさんが焼けた」という話に変わってしまい、パンやさんで火事だ! 大騒動だ! 大事件だ! と、大勢のからす達が、ドッと、パンやさんに押し寄せます。
そうして、押し寄せてきた大勢のからす達に、パンを売ったパンやさん達。
パンやさんのパンは、とっても面白くておいしかったので、からすの間で大評判となり、
からすのパンやさんは、立派な素晴らしいお店になりました。
……という楽しい、楽しい、お話です。
リズミカルな言葉とドキドキのストーリー展開が魅力的
まず、リズミカルな言葉が魅力的ですよね。子ども達は、リズミカルな言葉が大好きです。
「おおきな きが にひゃっぽん
ちゅうくらいの きが よんひゃっぽん
ちいさい きが はっぴゃっぽん
ありました」
二百本とか、四百本とか、八百本なんて、小さな子どもには、まだよくわからないかもしれません。それでも、言葉のリズムが楽しいので、みんな夢中で聞き入ってしまうのです。
「みんなは パンの こなを えっさかほいさか ねりました」
「ねった こなを ころころ ぽてぽて まるめました」
「まるめた こなを わっさか わっせと いれました」
オノマトペも独特ですが、響きがとても楽しくて、何より、からす達が一生懸命、がんばってパンを作っている様子が、イキイキと伝わってきますよね。
そして、後半に向けて、どんどん盛り上がっていく様子が楽しいです!
「パンがやけた」が、「パンやさんがやけた」になり、
「かじだ かじだ おおかじだ! けがにん たくさん でたそうだ!」
「ちが でて たおれて おおけがだ! しにそうなくらいの そうどうだ!」
「どろぼう あっかん ギャングども ピストル てっぽう うちあいだ!」
そんなことにまで発展して、消防自動車から、救急車から、武装警官の一連隊から、ユウヤケしんぶんから、カアカアテレビのカメラマンまで、パンやさんめがけで、ドッと飛んでくるんですから、これはどうなるんだろう! と、大人までハラハラさせられてしまいます。
その大騒動のからす達が、全員、最後には、きちんと列にならんで、パンやさんのお客さんになる様子も楽しく、心から笑えます。子どもだけでなく、大人まで、ドキドキワクワク、させられるストーリー展開は、さすが、かこさとし! としか言いようがないですね。
温かみたっぷりの絵に注目!
そして、何といっても、からすの絵が、とーってもカワイイです。独特のタッチで描かれたからすには、思わずにっこりしてしまうような温かみがあるんです。
そして、パン屋さん達が焼くパンのおいしそうなこと! からす達が、どこかとぼけたタッチで描かれているのに対し、パンは大きく、立派に描かれていて、ツヤツヤと光るパンから、香ばしい匂いが、今にもこちらにただよってきそうなくらいです。
ページいっぱいに広がるたくさんの面白い形のパンの絵に、子どもだけでなく、大人だってくぎ付けになってしまいます。
さざえパン、のこぎりパン、こねこパン、きょうりゅうパン、サボテンパン、えんぴつパン……。
子どもと一緒に、どんな面白いパンがあるか探してみるのも楽しいですよ。
おわりに
子どもが生まれたら、一度は読んであげたい「からすのパンやさん」。
ご両親のおひざの上に子どもを乗せて、読み聞かせてあげて下さい。
優れた絵本は、子どもだけでなく、大人も楽しめるものですが、「からすのパンやさん」は、間違いなく、読んであげる大人も楽しめる絵本です。
かこさとしさんの絵は、何度ページを開いても飽きません! ぜひ、お子さんと一緒に楽しんで下さい。
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