国内小説– category –
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『氷菓』感想|少し変わった青春ストーリーを楽しむならこの作品
勉強に部活動、恋愛を頑張ることはまさに青春時代の醍醐味ですよね。 この物語の主人公はそんな青春とは少しかけ離れた、省エネ主義を貫く男の子。 ひょんな出会いをきっかけに、省エネ主義の男の子が学生生活の謎に挑むことになります。 一風変わった青春... -
『少女不十分』感想|歪な小学生の少女と男子大学生との逆転監禁生活
筆が早く、多作な作家として有名な西尾維新さん。 「この本を書くのに、10年かかった」 彼がこの「少女不十分」という小説をこのように語る理由は読めばわかります。 この本は西尾維新という作家が好きであればあるほどに味わい深い作品ですが、もちろん西... -
『掏摸』感想|なぜスリなのか?強固な世界に抗うということ
2005年『土の中の子供』で芥川賞を受賞した著者は、この作品で2010年大江健三郎賞を受賞します。 そして『掏摸』はアメリカをはじめ各国で翻訳され、米誌「ウォール・ストリート・ジャーナル」で2012年年間ベスト10にも選ばれています。 各国で評価され、... -
『夜のピクニック』感想|美しい情景と高校生たちのリアルな心情
高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。 それは全校生徒が一夜を徹して80キロ歩き通すという伝統行事。 そんな歩行祭の最中に、甲田貴子はある賭けにでることを心に決めていました。 思春期の高校生たちがそれぞれの思いを抱きながら、高校生活最後の思い... -
『つめたいよるに』感想|10ページ前後で創られる美しく不気味な世界は江國香織にしか書けない短編集
世界は広い、とはよく言いますがあまりピンとこない人も多いのではないでしょうか。 わたしもそのひとりで、この本はそんなわたしに世界の乱雑さと美しさ、そしてそれがいかに狭いかを教えてくれました。 ひとつのお話がたったの10ページ前後、そのため話... -
『時限病棟』感想|クライマックスまでのスピード感を楽しむならこの作品
目が覚めて、突然自分の知らない場所に連れてこられていたとしたら…。 そんなことを想像しただけで、少し怖くなってしまいますよね。 題名と共に本作の表紙に書かれた「拉致」「ピエロ」「残り6:08:46」などの、不吉な匂い漂う数々のワード。 いわくつきの... -
『本屋さんのダイアナ』感想|本が繋ぐ2人の少女の友情と戦い
あなたには、「腹心の友」と呼べる友人はいますか? この物語の主人公であるダイアナと彩子は出会ってすぐに大の仲良しになります。 この2人を繋いだのは、お互い本好きだったということ。 2人の友情は成長と共に変容していきますが、互いに大好きな本に力... -
『何もかも憂鬱な夜に』感想|命を肯定し生きる希望の光を灯してくれる物語
生きていて、何もかもが嫌になったことはありませんか。 もう全て投げ出してしまいたいような気分になったり自分が生きていてもしょうがないんじゃないかと思えてきたり何もかもが上手くいかないような気がしてきたり そういう気持ちになったことがある人... -
『壬生義士伝』感想|家族のために命を投げ打った、誠の武士の生き様に誰もが涙する
泣く子も黙る新選組。 その新選組の中で、「人斬り貫一」と呼ばれる剣術の腕前を持つ男がいました。 その男の名は吉村貫一郎。 さて、ここまでくると、この吉村貫一郎の戦いの日々のお話かなと思われる方は多いと思います。 しかし、読み進めるうちに、家... -
『正欲』感想|正しいとは何か?自分の持つ価値観を考えさせられる一冊
あってはならない感情なんて、この世にない。それはつまり、いてはいけない人間なんてこの世にはいないということだ『正欲』本文より引用 同性婚ポリアモリーアセクシャルノンセクシャル 多様性という言葉が浸透してきた現代の中で、本当の意味での多様性...