国内小説– category –
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『とりかへばや物語』感想|読まないなんてもったいない、一度失われてしまった幻の物語
男女逆転物語の原点とされる『とりかへばや物語』。 現代の若者も楽しんで読めるストーリーだけでなく、女性の立場が弱い平安時代に男性に成り代わって女性が活躍する姿からジェンダー的視点からも注目されています。 残念ながら原作は失われてしまい、私... -
『末ながく、お幸せに』感想|心温まる素敵な結婚式に出席しませんか?
この本を開いたとき、あなたの目に飛び込んでくるのは、九江泰樹さんと瀬戸田萌恵さんからの結婚式の招待状。 これはあなたに宛てた招待状です。 新郎新婦からの幸せお裾分けに皆が自然と笑顔になってしまう、そんな特別なイベントが結婚式。 気づけば涙が... -
『その扉をたたく音』感想|神様に教わった、本物の音楽の正体とは。
「夢」を持つ、というのは素晴らしいことです。 ですが、それを言い訳にして人生を止まったままにするのは、あまりにももったいない。 『その扉をたたく音』は、夢を捨てきれないまま、なんとなくな日々を送っている青年と人生の先輩たちの物語。 人生とい... -
『ハケンアニメ!』感想|アニメって凄い!その裏側はもっと凄い!
アニメは好きですか? 最近では、深夜放送だったアニメが話題を呼び、これまで興味のなかった人もこぞって視聴し、どっぷりハマるという話をよく耳にしました。 色が付き、キャラクターが生き生きと動き出す。 技術が進歩し、どんどん私たちを楽しませてく... -
『また、同じ夢を見ていた』感想|デビュー作で様々な賞を受賞した住野よるが伝えること
例えば道に迷いやすい幼い自分を、手を引いて導いてくれる人がいたら? 私はこう思うしこれが良いこだと思うけれど、きみはそれをヒントに自分の頭でしっかり考えて行動するんだよ、と。 本作品では、ではかしこいけれどそれが故に迷いやすくしかし信じた... -
『マカン・マラン 二十三時の夜食カフェ』感想|疲れた心をそっと癒やしてくれるお守りの一冊
人は、いろいろな悩みを抱えています。 「がんばっているのに報われない」「このままでいいのか?」「あの人が羨ましい・・・・」 そんな心のモヤモヤを抱えたとき、「そんなあなたでも大丈夫だよ」「みんなおなじ悩みを抱えてるよ」そう言って励ましてく... -
『さみしくなったら名前を呼んで』感想|すべての女の子に捧げる宝石箱
さみしいとか悲しいとか切ないとか、そんなのを感じる心のひだが、全部なくなればいいのにー 切実な心の叫びを表現する痛々しくも瑞々しい文章は、すべての女の人、いやすべての女の子たちに捧げられたものです。 映画化された『あの子は貴族』の著者であ... -
『卵の緒』感想|瀬尾まいこが描く家族の絆は、優しくて少しせつない。
僕は捨て子だ。子どもはみんなそういうことを言いたがるものらしいけど、僕の場合は本当にそうだから深刻なのだ。 こんな文章で始まる『卵の緒』は、小学生の男の子とその母親の絆を描いた心温まる物語。 何やら深刻な話なのか、と思いきや、快活な母親と... -
『凍りのくじら』感想|孤独を抱える全ての人へ。少し不思議な青春小説。
白く凍った海の中に沈んでいくくじらを見たことがあるだろうか。 冒頭、こんな文章で物語は始まります。 孤独で、助かることはないそのくじらの映像を、じっと見ている少女がいました。 この物語の主人公は、周りに本当の自分を見せることを極端に嫌がり、... -
『マチネの終わりに』感想|平野啓一郎による哀しくも美しい大人の恋愛
「人は、変えられるのは未来だけだと思い込んでる。だけど、実際は、未来は常に過去を変えてるんです。変えられるとも言えるし、変わってしまうとも言える。過去は、それくらい繊細で、感じやすいものじゃないですか?」 平野啓一郎さんの『マチネの終わり...