この本を開いたとき、あなたの目に飛び込んでくるのは、九江泰樹さんと瀬戸田萌恵さんからの結婚式の招待状。
これはあなたに宛てた招待状です。
新郎新婦からの幸せお裾分けに皆が自然と笑顔になってしまう、そんな特別なイベントが結婚式。
気づけば涙が溢れてしまう。そんな感動的な結婚式に出席しませんか。
コロナ禍で大切な友人や家族にも会えない辛い日々が続いています。
そんな今だからこそ、たくさんの祝福と、母と娘の愛を描いたこの物語をぜひ手に取ってみてください。
著:あさのあつこ
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『末ながく、お幸せに』の概要
出典:Amazon公式サイト
タイトル | 末ながく、お幸せに |
著者 | あさのあつこ |
出版社 | 小学館 |
出版日 | 2017年8月29日 |
ジャンル | 青春・家族愛 |
この小説は8人のゲストによるスピーチで構成されている連作短編形式となっています。
結婚式をテーマとする物語は、そのほとんどが新郎新婦の視点から語られていますが、この物語は彼らの視点からはほとんど描かれず、新郎新婦の人となりはゲストのスピーチからだんだんと分かってくるのです。
まるで九江泰樹さんと瀬戸田萌恵さんの結婚式に招待され、本当に披露宴の席に座っているようなわくわくとした気持ちにさせられます。
大切なあの人の選んだ人はどんな人柄なんだろう。ぜひそんな気持ちで読み進めてください。
作者のご紹介
作者のあさのあつこ先生は、児童文学作家として有名です。
1954年9月14日に岡山県英田郡美作市で生まれ育ち、青山学院大学文学部に進学しました。大学内の児童文学サークルで執筆を始めます。
就職、結婚、出産を経て37歳の時『ほたる館物語』で作家デビュー。
代表作の『バッテリー』は、児童文学としては異例の1000万部を超えるベストセラーとなりました。
『末ながく、お幸せに』のあらすじ
高校の同級生だった真人と瑛子の間に主人公の萌恵が誕生します。
しかし、幸せで穏やかな日々は長くは続きません。
母の瑛子は夫以外の男性と恋に落ち、夫と幼い萌恵を置いて家を出てしまいました。
その後、父の真人は元妻瑛子の妹良美と再婚をします。
当時まだ3歳だった萌恵は叔母の良美が実の母だと信じていました。
真実を知った萌恵は家族に不信感を抱いてしまいます。
そんな環境で育った萌恵には、すべてを捨てて萌恵のためだけに生きてきた義理の母良美に対しても心無い言葉をぶつけてしまった過去もありました。
母を傷つけてしまったまま、いよいよ結婚式の日を迎えてしまいます。
友人代表スピーチ 三杉愛弥様
第一話では、新婦萌恵の高校時代の親友愛弥がスピーチに立ちます。
デザイナーから外されてしまい希望を失っている時、偶然萌恵と再会しました。昔から困った時には萌恵が傍にいてくれたのです。
萌恵が自信を無くしている自分にウェディングドレスを作ってほしいと言ってくれたことで愛弥は救われました。
そんな優しい萌恵を妬み、時には罵ってしまったこともあります。
親しい友人の飾らない言葉から萌恵の思いやりに満ちた性格がだんだんと読者に伝わってきます。
代表スピーチ 新婦従兄 佐々木慶介様
娘と二人暮らしの慶介は、亡くなった妻の秘密を死後に知ってしまいます。心に傷を負っているが、本人と会話することも、誰にも打ち明けることもできずもやもやした気持ちを抱えて生活していました。
そんな中、萌恵から結婚式でのスピーチを頼まれたことでやっと自身の結婚について向き合えるようになります。
残りの5名もスピーチをする人たちも、それぞれ心に傷を負い、複雑な思いを抱えていました。
物語の終盤、萌恵の伯母、そして産みの母から語られる内容によって、あなたは彼女の本心に触れることでしょう。
『末ながく、お幸せに』を読んだ感想
初めて手に取ったとき、やはり代表作『バッテリー』(角川文庫)のイメージが強く、「結婚式」をテーマとするこの物語が作者のイメージとのギャップに心惹かれました。
内容もよくある結婚式の準備や、出会いから結婚までの過程を描いているのではなく、過去の回想以外のほとんどが1日の内たった数時間の結婚式について書かれていることや、8人のスピーチを通して、母と娘の愛を描いていく、あまり例を見ない面白い形式の小説になっています。
本物の結婚とは?
たくさんのスピーチの中、特に妻を失った新婦従兄佐々木慶介の言葉が深く心に刺さりました。
人が幸せになることは簡単ではないことを彼は経験します。
自分のことだけや、相手だけを幸せにすることは簡単かもしれないけれど、結婚して二人で一緒に幸せになることは容易くはないのです。
相手に幸せにしてもらうのではなく、相手を幸せにするのではなく、自分の幸せを自分で作り上げて育てていくこと。
それができる者同士が結びあうこと。本物の結婚とはそういうものだと自らの結婚に向き合ったことで気づくことができました。
萌恵達ならば本物の結婚をして、本物の夫婦になれると力強く背中を押す場面には、読者も勇気づけられます。
登場人物たちの心の傷が完全に癒えることはなかったとしても、それぞれのペースで新しい人生を歩み進めるができるのだと前向きな気持ちになれる物語です。
『末ながくお幸せに』はどんな人におすすめ?
末ながく、お幸せにはこんな人におすすめです。
- 悩みを抱え、一歩踏み出したいと思っている人
- 涙を流しストレス発散したい人
- 結婚を控えた花嫁・花婿
- 花嫁の母親
涙なしには見れない母と娘の愛に溢れた物語です。
結婚式に出席しているつもりでハンカチを用意して読み進めてください。
おわりに
複雑な環境で育った萌恵の心境にも、娘を愛しているが故に重たいと感じる程に干渉してしまう母良美にも共感できました。
色々な愛の形に触れ、女性だけでなく男性にもおすすめの心が温まる作品です。
あなたも家族や大切な人の大切さに改めて気付くことでしょう。
著:あさのあつこ
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