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「人は、変えられるのは未来だけだと思い込んでる。だけど、実際は、未来は常に過去を変えてるんです。変えられるとも言えるし、変わってしまうとも言える。過去は、それくらい繊細で、感じやすいものじゃないですか?」
平野啓一郎さんの『マチネの終わりに』は、2019年に福山雅治さん、石田ゆり子さんによって映画化され話題になった大人の恋愛小説です。
知性と品性に溢れた二人が、情熱的と形容したくなるほど強く深く相手を想うその美しさに、一度でもこれだけ人を愛せたら人生は幸せだろうと思わされました。
40代の人生の痛みと向き合いながら懸命に生きる二人の人生を描いたこの作品には、恋愛面以外にも充分な読み応えがあります。
出典:Amazon公式サイト
タイトル | マチネの終わりに |
著者 | 平野啓一郎 |
出版社 | 文藝春秋 |
出版日 | 2019年6月10日 |
ジャンル | 恋愛小説 |
2015年から2016年にかけて毎日新聞とnoteで掲載され、2016年4月に単行本、2019年6月に文庫本が発売されました。
特設サイトができるほど愛読者の多い作品です。
明かされてはいませんが実在の人物がモデルとなっており、
経済危機やイラク戦争、東日本大震災など時代の出来事が並行して描かれています。
主人公はこの二人です。
簡単にあらすじを説明していきます。
蒔野のコンサートに誘われたことで2人は出会います。
終演後の挨拶と打ち上げという短い時間にも関わらず、交わした会話から互いに強く惹かれ合う二人。
その後も頻繁にメールのやり取りを行い、無視できないほどに互いの中で相手の存在が大きくなっていきます。
そんな中仕事でバグダッドにいた洋子は爆発テロに巻き込まれ、間一髪助かりますが、精神的外傷を負ってしまい、PTSDに悩まされるようになります。
帰国した洋子と会うため、コンサートの予定に合わせてパリへ向かう蒔野。
ここで気持ちを伝えないことにはもう会えないと考え想いを伝えますが、婚約者がいる洋子は戸惑ってしまいます。
コンサート後招待していた演奏会に洋子は姿を見せず、蒔野は覚悟を決めて家を訪れます。
そこにいたのは、バグダッドから逃げてきた洋子の友人ジャリーラ。緊急で彼女を引き取ったため、洋子は演奏会に行けなかったのでした。
憔悴しているジャリーラを料理やギターで懸命に癒す2人。
彼女を寝かしつけたあと、洋子は婚約者に別れを告げたことを伝えます。
一緒に生きることを決めた2人でしたが、洋子はジャリーラを引き取ったことでPTSDが悪化、また婚約解消が上手く進まず、直接言葉でプロポーズを受けていないこと、パリと日本の距離にも焦りを感じます。
仕事の予定がつき、日本で久々に再会できるという日。
蒔野は恩師が病院に運ばれた知らせを受け、駆けつける途中タクシーに携帯を置き忘れてしまいます。
マネージャーの早苗に取りに行ってもらいますが、蒔野に密かに想いを寄せる早苗は、勝手に携帯を使い洋子に別れのメールを送り付け、携帯を壊してしまいます。
日本に到着した洋子は、突然突き付けられた別れへの絶望と悪化していたPTSDの発作から、その後の蒔野からの連絡を一切見ることなくパリへ戻り、元婚約者と結婚しました。
その後洋子は男児を授かり、蒔野は早苗と結婚します。
まるでなにもなかったかのようにそれぞれの人生を歩み始める2人。
ふとした時に相手の存在を思い出す日々を送ります。
3年弱で離婚した洋子は日本を訪れ、蒔野のコンサートへ訪れます。
しかし会場にいた早苗からコンサートに来ないでほしいこと、偽造メールの真実を知らされ、絶望と諦念からそのまま帰宅。
その約2年後、洋子は人生を再スタートさせ、NYで暮らしていました。
自宅近くで蒔野のコンサートが行われると知り、過去の区切りになればと訪れます。
後ろの席でひっそりと聴いている洋子に気が付いた蒔野は、ラストに2人の思い出の曲を演奏し、洋子は涙を流します。
初めて読んだとき、美しいアートに触れたような感覚になりました。
主人公ふたりには人間らしいドロドロした部分がなく、その誇り高い姿に憧れの念を抱きました。(だからこそすれ違ってしまったのですが、、、)
また、あらすじでは恋愛を中心に紹介しましたが、他にも様々なテーマが盛り込まれており、恋愛小説としてだけではない楽しみ方ができる作品となっています。
“自分は彼を愛しているがゆえに、彼との愛を断念できるのではあるまいか。”
美しいものを読んだ、これが大人の恋愛か。
当時まだ20歳だった、大人の恋愛なんて少しも知らない私がそう思った理由は、洋子のこの考えに衝撃を受けたためです。
本当に好きなら相手の幸せを第一に考える。頭では分かっていても、どれほどの愛の強さなら、それを実行に移すことができるのでしょうか。
そしてそれほどの愛だからこそ断念することができるというのは、どれだけ哀しいことでしょう。
本当に好きなら追いかけたはず、という意見も否定はできません。しかし、相手のために自分の幸せを断念できる、それも一つの恋愛の形なのだと教えてくれたこの洋子の考えは、強く印象に残りました。
この作品は恋愛小説ですが、恋愛以外にも読みどころはたくさんあります。
才能と嫉妬、国際問題や精神病、親子関係など、幾重にも重なるテーマが、この物語に深みを持たせ、リアリティも生んでいます。
特に物語の最初からほとんど最後の方まで続く、蒔野の才能があるが故の苦悩は、読んでいるこちらまで辛くなりそうな絶望感と焦燥感がありました。また洋子のアイデンティティに対する苦悩も、比べられない程辛いです。
それらの痛みから目を逸らさず、ひたむきに人生と向き合い進み続ける二人の姿には、自分も頑張って生きていこうと思わせるものがあります。
最後に、ネット上でも様々な意見を見かけた、早苗の行動についての感想です。
結論から言うと、私は早苗に対して非難の気持ちの方が強いです。
あの一瞬の魔が差した行動だけなら共感できるのですが、その後もメールを消去し、また事実について出産直前というタイミングで打ち明けたことから、自分のことしか考えていない人という印象を受けました。
しかし人間味にあふれた早苗の行動は、理性で自分をコントロールできる人ばかりが出てくるこの作品において、非難だけでなく多少の共感を呼ぶことも確かだと思います。
『マチネの終わりに』はこんな人におすすめです。
もちろん40代以外の方にも、どの世代の方にもおすすめですが、私は40代になったときに二人に重ね合わせて読み返したいなと思いました。
映画のメインテーマ楽曲として流される、福山雅治さんによる「幸福の硬貨」を聴きながら読むと、さらに世界観に没入することができます。
平野啓一郎さんは読者へのメッセージで
「ページをめくる手が止まらない」小説ではなく、「ページをめくりたいけどめくりたくない、 ずっとその世界に浸りきっていたい」小説というのを考えてきました。
と語っています。
その言葉通り、結末への期待だけでなく、いつこの物語の時が止まってしまうのかという不安や寂しさで胸がはちきれそうになりながら、なんとか読み終える。
そんな貴重な経験ができるのが、この『マチネの終わりに』という作品です。
一人の愛読者として、ぜひ多くの方に読んで、感じていただきたいです。
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