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『さみしくなったら名前を呼んで』感想|すべての女の子に捧げる宝石箱

さみしいとか悲しいとか切ないとか、そんなのを感じる心のひだが、全部なくなればいいのにー

切実な心の叫びを表現する痛々しくも瑞々しい文章は、すべての女の人、いやすべての女の子たちに捧げられたものです。

映画化された『あの子は貴族』の著者である、山内マリコさんによるヒューマンドラマ短編集です。

女の子同士で仲良く接していても、本当は苦手な人だったり、秘密があったり…

人間関係に疲れたな、と感じている人にぜひ読んでほしい一冊です。

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『さみしくなったら名前を呼んで』のあらすじ

出典:Amazon公式サイト

タイトルさみしくなったら名前を呼んで
著者山内マリコ
出版社幻冬文庫
出版日2017年2月10日
ジャンルヒューマンドラマ

著者である山内マリコさんは、大学卒業後ライターとして活動していましたが、25歳の時に上京しました。

上京から約1年半後の2008年に「十六歳はセックスの齢」で第7回R-18文学賞を受賞し、文壇デビューしました。

山内マリコさんの作風と言えば故郷の富山をモデルとした、地方都市や人間関係の閉塞感をテーマとした作品を多く発表していますが、最近は地方都市の商店街の再生をテーマ『メガネと放蕩娘』のような、故郷に行為を持った作品も増えてきています。

今回紹介する『さみしくなったら名前を呼んで』は初期3作品目であり、田舎の縁や慣習の閉塞感を感じさせるものとなっています。

『さみしくなったら名前を呼んで』のあらすじ

なんといっても痛々しく、瑞々しい文章が魅力的です。

また、この短編集のすべての主人公が女の子という点が特徴的です。

胸がきゅうっとする12の物語

1編20ページ程度の短編が12編収録されています。主人公は1編ごとに変わるため全部で12人登場します。

  • 『さよちゃんはブスなんかじゃないよ』
  • 『大人になる方法』
  • 『ケイコは都会の女』

と言ったタイトルが並びます。

どこか胸がドキっとするような、自分通じるような気持ちになります。

この12人の主人公たちは全員読者自身なのです。

何気ない「ブス」という言葉に傷ついたり、「地元最高~!」というノリの同級生についていけず、上京したのに都会にも馴染めなかったり…

どこか孤独感を抱えながら生活する彼女たちの姿に自分自身を重ね合わせたとき、むずがゆく胸がきゅうっと締め付けられます。

なつかしいキーワード

SUZUTAN、缶ペンケース、ジャスコ、AIBOなど20代後半~30代の女性なら「懐かしい~!」と思わず口に出してしまいそうなキーワードが文章に中に散りばめられ、共感できはずです。

  • 恋人とのデートはジャスコ
  • 変な名前の地元デパートのフードコートで語る
  • 同学年の男子が子供に見える

などなど

友達と自分を比べて落ち込んだり、見下したり、見た目のことばかり気にしたり、ただただ若さを消費していた冴えない女の子だった記憶が湧き上がり、懐かしい香りを感じます。

読者を逃げ水の先に揺らめくような少女時代の想い出を蘇らせ、より物語の中に引き込んで行くのです。

あいまいなゴール

結局女の子の幸せって何なの?都会で成功すること?結婚すること?出産すること?

どのゴールを選んだとしても悩むことばかり。

おとぎ話のお姫様のように絶対にハッピーエンドなんて約束されていないのです。

結婚しても結局人間は一人だし、都会で成功している人が華やかで充実している生活を必ずしも送っているわけではありません。

どんな選択をしても人生は悩むことばかり。

この作品にはそれぞれはっきりとした結末は書かれていません。

なぜなら幸せの定義は人それだからです。そして女の子は自分の人生を放棄するような弱虫じゃないのです。

12人の主人公たちにあなたが結末を与えてください。

『さみしくなったら名前を呼んで』を読んだ感想

この作品を読み終わったとき、この本を人生のバイブルにしようと思いました。

いままで言語化できなかった考えてきたこと、感じたことがそのまま表現されていたからです。

主人公はみんなワタシ

この作品を手に取ったきっかけは装丁です。

憂いを得たような表情の女の子の横顔が印象的で、幻想的な雰囲気に思わず手に取りました。

ページを開くと、12人の主人公たちの小さな話し声が聞こえてきます。

1編1編は短いけれど、それぞれに濃厚な物語があり、愛おしさがこみ上げてきました。

そしてこの12人の主人公たちは藻掻いてここまで生きてきたわたしを見ているようで、どんどんのめりこんでしまう作品です。

100回のカワイイより1回のブス

開いた1編目は『さよちゃんはブスじゃないよ』

タイトルですら胸を締め付けてくるものでした。

女の子は誰しも自分の『見た目』について悩むと思うんです。わたしは可愛くない、悪口を言われていると若さゆえに肥大化していく自意識と戦う毎日を重ねていまここにいます。

100回のカワイイより1回のブスがずっと女の子を縛り続けます。

この作品のさよちゃんもブスということを笑いに変えようと空回りしているシーンが印象的です。

まるで自分がその場にいるようなリアリティを感じました。

『さみしくなったら名前を呼んで』はどんな人におすすめ?

『さみしくなったら名前を呼んで』はこのような方におすすめです。

  • 地方出身で上京してきた
  • 人間関係に疲れている
  • 本を読むのがはじめて

とにかく田舎の閉塞感と、女の子の感情の機微の表現が絶品。

同じような出身の人、学校や職場の人間関係に疲れている人に刺さるものがきっとあるはずです。

また、装丁がお洒落で1編がとても短いので通勤・通学の移動中に読むのもおすすめします。

おわりに

著者の山内マリコさん自身、あとがきにて

「繊細過ぎて生きることにいつも疲れていたし、神経が過敏で人づきあいの幅が極端に狭かった。」

と述べています。

著者の経験に基づいているからこそ共感ができる作品となっています。

昔の自分と今の自分を比べなくたっていい。

わたしたちの人生はまだ始まったばかりだから。

山内マリコの宝石箱のような静かな宝物のような言葉をぜひ味わってみてください。

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