国内小説– category –
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『羊と鋼の森』感想|あなたの背中をそっと押してくれる言葉たち
自分のやっていることに自信が持てず、まるで森のなかで迷ったように立ち尽くしてしまうときがありませんか。 そんな時にはこの1冊を手に取ってみてください。 読み終えると、不思議と心が軽くなる。 こんな表現がぴったりだと思います。 自分が進むべき方... -
『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』感想|自由のために懸命に戦った少女たちの1か月
砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない(小説)を無料で試し読みする 砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない(漫画)を無料で試し読みする 桜庭一樹はしばしば体も心も発育途中の子どもたち、特に少女たちについての物語を書きます。 思春期の子どもたちが持つ素直な残酷さ... -
『パーフェクト・クオーツ』感想|元防衛庁の作者が紡ぐ極上の国際諜報小説
防衛庁の情報・調査専門職出身という経歴を生かした、本格な国際諜報小説で知られる五條瑛。 中でも、タイトルに鉱物の名前を冠した「鉱物シリーズ」は、魅力的なキャラクターと重厚なストーリーで多くのファンを獲得しています。 今回は、「鉱物シリーズ... -
『マザーズ』感想|母親の生々しい葛藤と愛憎
この本には母親になる女性、母親になった女性の生々しい愛憎が描かれています。 妊娠出産流産中絶不倫育児 この物語の中では、子どもに対して様々な立場で、様々な経験をする女性の姿が取り上げられています。 その中には、描写が生々し過ぎて抵抗感を覚え... -
『白磁の人』感想|朝鮮人に愛された日本人の物語
李朝白磁をご存知でしょうか。 李王朝時代の初期から中期に焼かれた白磁です。 飾り気のない温かさ、静かでおおらかで自己主張しない陶磁。 そんな白磁のような人が、浅川巧さんです。 民芸運動の父と呼ばれた柳宗悦が一番尊敬し、一番信頼していた人物で... -
『さよならドビュッシー』感想|「音が聴こえる」唯一無二のミステリー
「ピアノの先生が、事件を解決に導く」。 そんなミステリーは唯一無二ではないでしょうか。 警察は脇役で、ミステリー特有の暗く重たい雰囲気もありません。 作品のなかではいつも音楽が奏でられ、優雅ですらあります。 そんな”斬新な”ミステリー作品であ... -
『偶然の祝福』感想|奇妙な偶然に救われ祝福を授かる小説家の過去と現在
世界は偶然と必然、どちらでできているのでしょうか。 悲しい出来事は偶然だったと割り切って、嬉しい出来事は運命のように必然だったと思い込んで生きることは、なにもみんながみんな現実から目を逸らしているわけではありません。 どちらにせよ我々人間... -
『ジャッジメント』感想|小林由香が書く「復讐法」が存在する世界
「大切な人が殺されたとき、あなたは『復讐法』を選びますか?」 今回紹介する「ジャッジメント」では、合法的に人間が人間に復讐が可能になる「復讐法」が制定された世界で5つのエピソードからなるお話です。 そんなの現実的じゃないと思われるかもしれま... -
『絹の家』感想|シャーロックが挑む史上最悪な事件
今日も、依頼人がベーカー街221Bの部屋を訪れます。 依頼内容は、復讐のため自分を狙っている男の確保。 依頼人は美術商で、絵画を汽車で輸送中でした。 そのさなかギャングの強盗にあい、絵は爆破され、さらにはギャングの男に逆恨みされ狙われているとい... -
『春、戻る』感想|春とともに戻るのは記憶とそのなかに輝く大切なもの
ある日、あなたの前にあなたの家族だと名乗る知らない人が現れたら、どうしますか? 当然おかしな人だと思い距離をとるでしょう。 警察を呼ぶ人もいるかもしれませんね。 もちろん警戒するにこしたことはありませんが、本当にその人は知らない人なのでしょ...