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『パーフェクト・クオーツ』感想|元防衛庁の作者が紡ぐ極上の国際諜報小説

防衛庁の情報・調査専門職出身という経歴を生かした、本格な国際諜報小説で知られる五條瑛。

中でも、タイトルに鉱物の名前を冠した「鉱物シリーズ」は、魅力的なキャラクターと重厚なストーリーで多くのファンを獲得しています。

今回は、「鉱物シリーズ」最新刊、「パーフェクト・クオーツ 北の水晶」、「パーフェクト・クオーツ 碧き鮫」について紹介します。

この2冊は姉妹編という位置づけで、同じ事件を別の人物の視点から辿ったものです。

ぜひセットで読むことをおすすめします。

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『パーフェクト・クオーツ』の概要

出典:Amazon公式サイト

タイトルパーフェクト・クオーツ
著者五條瑛
出版社小学館文庫
出版日北の水晶:2020年8月10日
碧き鮫:2020年12月13日
ジャンル国際諜報小説

北朝鮮の元最高指導者の息子はなぜ、異国の地で命を落としたのでしょうか。

「北の水晶」は、在日米軍情報機関の末端でアナリストを務める葉山隆の視点で、「碧き鮫」は、在日米軍横須賀基地の海軍犯罪捜査局で働く坂下冬樹の視点で書かれています。

まずは「北の水晶」を読み、その後「碧き鮫」を読むとわかりやすいです。

『パーフェクト・クオーツ』のあらすじ

この章では、「パーフェクト・クオーツ」のあらすじを紹介します。

始まりの事件

ある年の夏。

北朝鮮製偽造ドル紙幣事件に関与していると思われる容疑者の身柄拘束のため、米韓の情報関係者がソウル郊外の民家に踏み込みました。

簡単な作戦だという予想に反して、米韓陣営は死傷者を出した上、もっとも重要な容疑者には逃走されてしまいます。

このもっとも重要な容疑者も、数か月後に命を落とすことになりますが、彼は自分の持っている情報と引き換えに家族の安全を守るため、死の間際に録音テープを葉山に託しました。

葉山は彼が残したテープによって、北朝鮮の完璧なるスパイ「石英」の存在を知り、その正体に迫ろうとします。

一方、襲撃失敗の原因は情報漏洩であることが判明し、坂下は同僚のマーシャルにハニートラップを仕掛けた女・アヤラを探しますが……。

ある重要人物の亡命

葉山、坂下がそれぞれ謎を追うのと時を同じくして、アメリカ国防情報局は、北朝鮮の先の指導者の長男、通称「ヨハン」が西側への亡命を希望しているという話を掴みます。

「ヨハン」は北朝鮮の核開発に関わっており、貴重な情報源となりうるため、アメリカは話の真偽を確かめるべく調査に乗り出すことを決定。

葉山は調査チームの一員となり、ヨハンという大物を相手にする可能性に胸を躍らせます。

結末

粘り強い調査と交渉の末、葉山らはマレーシアのランカウイ島でヨハンと直接接触することに成功します。

ヨハンはアメリカへの亡命の意思を固め、万事順調に見えますが、葉山はなぜか小さな違和感を拭えません。

一方、坂下は探していた女・アヤラを追い続け、やはりマレーシアに辿り着きます。

葉山が違和感の理由に気づくのは、クアラルンプール国際空港で事件が起きた後でした。

そして全てが終わった後、彼は北朝鮮の完璧なるスパイ「石英」についても、ある結論に到達します。

『パーフェクト・クオーツ』を読んだ感想

私は「パーフェクト・クオーツ」を読んで、「なんて面白い小説なんだ」と衝撃を受けました。

「面白さ」の理由を完全に説明することは難しいですが、特に以下の点が際立って優れていると思います。

手に汗握る本格ミステリー

ご存知の通り、北朝鮮の第2代最高指導者・金正日の長男である金正男は、マレーシアのクアラルンプール国際空港で暗殺されています。

「パーフェクト・クオーツ」はフィクションですが、実際の事件を下敷きにしているため、話の結末はある程度決まっています。

それでも、手に汗握って一気に読み進めてしまうのがこの本のすごいところです。

バラバラの点に見えるヒントが一気に線になり、事件を解決へと導く……ミステリーが好きな人の多くは、この「点の集まりが線になる」快楽に魅了されているのではないでしょうか。

本書も同じです。諜報小説というと小難しい印象があるかもしれませんが、ミステリー小説のように気軽なエンターテインメントとして楽しむことができます。

個性的で魅力的なキャラクター

五條作品の一番の魅力は、個性的なキャラクターであると言っても過言ではありません。

「北の水晶」の主人公である葉山隆は、繊細なようで人一倍好奇心が強い性格です。

また、同僚や上司等からやたら可愛がられるも、本人にはあまり気づかず、長い間出自やアイデンティティに苦悩しています。

一見矛盾するかのような特質を併せ持った、複雑な人物だと言えるでしょう。

一方、「碧き鮫」の主人公である坂下冬樹は、ナイーブな葉山とは対照的に、アメリカ海軍で鍛えた屈強な心身を持っています。

粗暴に見えますが、マメなところや冷静な状況判断ができる一面もあり、葉山にとっては同僚と喧嘩友達を兼ねるような存在です。

他にも、「ミスター・パーフェクト」と称される金髪碧眼の上司・エディや、韓国国家情報院の憎めない情報員・洪敏成など、心惹かれる魅力的な人物が続々と登場します。

彼らの軽妙な会話や心理戦も、この小説の大きな魅力です。

完全には明かされない謎

実は、「パーフェクト・クオーツ」の中で全ての謎が明らかになるわけではありません。

葉山の出自を始めとして、いわくつきの絵画やその絵画を購入した男性の正体など、最後まで解き明かされない謎がいくつかあり、作品に一層奥行きを与えています。

そのうちの一部は、五條瑛の他の作品で詳しく言及されていることもありますし、まだ秘密のベールに包まれているものもあります。

「秘密」を通じて他の作品とゆるやかに連携しているところも、五條作品の醍醐味と言えるでしょう。

『パーフェクト・クオーツ』はどんな人におすすめ?

全人類におすすめしたい「パーフェクト・クオーツ」ですが、特に以下のような方にはお気に召して頂けると思います。

  • ミステリー小説が好きな人
  • 群像劇が好きな人
  • ブロマンス小説が好きな人

「パーフェクト・クオーツ」は、様々な楽しみ方ができる小説です。

例えばミステリー小説として、じっくり推理しながら読むことができます。

一度目は、葉山や坂下になったつもりで、各登場人物の思惑を推し量りながら読んではいかがでしょうか。

また、葉山や坂下は、調査を通して多くの人と出会うため、群像劇が好きな人にもおすすめです。

そして、情報機関という閉鎖的な男社会が舞台であるため、ブロマンスの要素も含まれています。

友人とも恋人とも違う濃密な人間関係を堪能したい人にも、ぜひ読んで頂きたいです。

おわりに|『パーフェクト・クオーツ』は唯一無二の国際諜報小説

「パーフェクト・クオーツ」は、唯一無二の国際諜報小説です。

実際の政治や事件をベースにした骨太のストーリー。

ストーリーの駒に収まらず、広い世界を縦横無尽に駆け抜ける個性豊かなキャラクターたち。

「政治や諜報というと、自分とは縁遠く感じる」

という人にこそ、読んで頂きたい小説です。

読み終えるころには、お気に入りの人物や共感できる人物がきっと見つかることでしょう。

多くの人が、本書を通じて五條瑛の魅力に触れることを願っています。

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