もしも、自分の体がティースプーンくらいの大きさに縮んでしまったら、
あなたならどうしますか?
『小さなスプーンおばさん』は、その名の通り、突然体が小さくなってしまうおばさんの物語です。
おばさんは、小さくなっても、特に慌てることはありません。
ちょっと工夫をして、楽しくいつも通り過ごしていくのです。
小さくなったくらいでは、この怖いものなしのおばさんは、誰にも止めることができないでしょう。
著:アルフ・プリョイセン, 翻訳:大塚 勇三, イラスト:ビョールン・ベルイ
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『小さなスプーンおばさん』の概要
出典:Amazon公式サイト
タイトル | 小さなスプーンおばさん |
著者 | アルフ・プリョイセン |
出版社 | 学研プラス |
出版日 | 1966年4月1日 |
ジャンル | 児童文学 |
『小さなスプーンおばさん』は、ノルウェーの作家、アルフ・プリョイセンによって書かれた作品です。
ヨーロッパ各国、そしてもちろん日本でも、世界中の子どもたちに読まれ続けている1話完結の童話の数々。
何の前触れもなく、ポンと小さくなってしまうスプーンおばさんは、おかしな出来事に巻き込まれつつも(自分から巻き込まれにいっています)、慌てず、楽しみながら過ごしています。
子どもの頃も楽しんで読んでいましたが、大人となった今でも、なんて面白いお話なのだろうと読む手が止められません。
スプーンおばさんのおかげで、私は、いつでも小さくなる準備はできています。
いつかそうなることが、とても楽しみでならないのです。
『小さなスプーンおばさん』のあらすじ
主人公は、ある普通のおばさん。
普通ではないことがあるとするならば、突然小さくなることくらいでしょうか。
そんな風に軽いものだと読者を錯覚させるのも、仕方がありません。
「なるほど。スプーンみたいに小さくなっちゃったんなら、それでうまくいくようにやらなきゃならないわね。」
本人がさらっとこう言っているのですから。
小さくなっても普段通り
掃除や洗濯、昼ごはんの準備、小さくなってもやることはたくさん。
おばさんは、ネズミに掃除をさせ、ネコに茶碗を綺麗にしてもらい、
イヌにベッドを片付けてきてもらいます。
洗濯だって簡単。
何と、雨や太陽を怒らせたり、南風を焚きつけてみたりしてあっという間に仕事を済ませます。
スプーンおばさんが話しかければ、つぼだってフライパンだって言うことを聞き、
さっさとパンケーキまで焼いてしまいました。
ご亭主が返ってきたとたん、元の大きさに戻ったおばさん。
小さくなっていたことなんて喋りません。
それが、スプーンおばさんという人なのです。
小さくなっても子どもの味方
スプーンおばさんは、誰にでも親切。
クリスマスの日、やってきた小さな女の子に大きいお人形をプレゼントすると約束します。
お人形を持っていこうとした途端、やっぱり小さくなりますが、
ネコの背に乗って、女の子の家に。
子守りを突然頼まれても、快く引き受けます。
小さくなって、お人形に間違われて追い回されますが、子守りを続け……。
家の中がめちゃくちゃになっても、楽しかった、と笑顔。
小さくなっても動物と仲良し
突然小さくなるおばさんにとって、大切なパートナーとなるのは動物です。
体が縮むと、動物たちの言葉がわかるように。
カラスに連れていかれて、女王様になったり、コケモモの実を運ぶのを手伝ってもらったり、ネズミに見張り役をやってもらったりと上手く動物たちと行動します。
飼っているネコは、喋りたいことがあるからとおばさんが小さくなるのを待ちわびて……。
動物たちは命令されて仕方がなく、というより、楽しんでおばさんの助けとなるのです。
『小さなスプーンおばさん』を読んだ感想
嫌な人が登場しない、というのがまず思ったことでした。
スプーンおばさんをはじめ、ご亭主も子どもたちも、動物たちでさえ、優しくて状況を楽しめる人ばかり。
どんなときでも、その瞬間を楽しめるというのが、今作品の1番の魅力です。
なってしまったものは仕方がない
いつ小さくなるか、タイミングがわからないので、周りから見たら嫌なときに縮んでしまった、と思ってしまうところ。
ところが、スプーンおばさんは、そんなときこそ楽しみます。
「まあ、なんてこった! よりによって、あの子におにんぎょうをもっていこうって日に、こんなになっちゃうなんて! だけど、あたしは、なんとかしてみせるよ。」
やらなくてはいけないことは、小さくたって自分ならできるはず。
明るく、動物たちと協力して毎日を過ごす彼女は、まさに生きる達人です。
きっと誰かが助けてくれる
スプーンおばさんは、周りの人、特に子どもや動物にとても優しい人物。
誰かのために動くということが、自然とできてしまいます。
そんなおばさんだからこそ、小さくなったとき、味方が現れるのです。
地下室に行った途端、小さくなったおばさんは、ネズミとりにスカートを挟まれてしまう事態に。
すると、ネズミがそれをはずし、ジャム泥棒まで教えてくれるのです。
それから子ネズミたちと遊ぶことも……。
いつも気丈に振る舞っている彼女を、みんなが支えてくれます。
愉快な動物たち
この物語に必要不可欠な動物たち。
スプーンおばさんのサポートを、快く引き受けてくれる心強い仲間です。
カラスから洋服を貸すよう頼まれることも。
コケモモの実を運ぶときは、キツネ、オオカミ、クマと協力。
それぞれ、ずる賢い、臆病、偉そう、個性的で大らかな動物です。
彼らと普通に会話するおばさんは見事ですし、ついつい頼まれごとを聞いてしまう動物たちも、ゆるくて、素敵な世界だと感じます。
『小さなスプーンおばさん』はどんな人におすすめ?
突然小さくなる、その日のために読んでおこうと思う方意外にも、こんな方におすすめです。
- 優しい物語が読みたい
- どんなときでも慌てない、大らかな心を持ちたい
- 外国の暮らしに興味がある
感想で触れたように、この物語には嫌な人がでてきません。
ユニークな出来事をスプーンおばさんが軽快に解決したり、しなかったりする物語です。
彼女から学ぶことはとても多い。
そして、スプーンおばさんの日常の話でもあります。
日本では珍しいコケモモのジャムや積み重なったパンケーキ、夏至まつりなど、想像するだけでわくわく。
どんな読み方をしても楽しめる作品です。
おわりに
もしも、自分の体がティースプーンくらいの大きさに縮んでしまったら、はじめは、そんなの嫌だな、と思った方が多いのではないでしょうか。
ですが、スプーンおばさんのように、動物と話し、人とは少しだけ違う不思議な体験をするのも悪くありません。
背の高さや、体形、顔、人は様々なことを気にし、普段とは違う出来事に慌てます。
そんなとき、彼女の生き方を思い出せたら、私たちの生活はとても豊かになると思うのです。
『小さなスプーンおばさん』を知っているならば、もう怖いものは何もありません。
子どもだけでなく、みなさんのような大人もぜひ、笑いと明るさにみちたこの物語を、読んでみませんか。
著:アルフ・プリョイセン, 翻訳:大塚 勇三, イラスト:ビョールン・ベルイ
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