関西圏では大きな私鉄グループとなる阪急。
えんじ色の車体に、レトロな内装となっており、鉄道マニア・若い女性・観光客から高い人気を得ています。
阪急宝塚駅は、大阪梅田駅へ直接向かう宝塚線と、西宮北口で神戸線へ連結する今津線が”人”の形に合流している駅。
今回ご紹介するのは、そんな阪急電車各線の中で、知名度の低いであろう今津線を舞台とした物語『阪急電車』。
今津線で起きる、奇跡のような人々との出会いを、ほっこりとした気持ちで楽しんでいただけると思います。
幻冬舎
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『阪急電車』の概要
出典:Amazon公式サイト
タイトル | 阪急電車 |
著者 | 有川浩 |
出版社 | 幻冬舎 |
出版日 | 2008年1月1日 |
ジャンル | 短編小説 |
作者の有川浩さんといえば、『図書館戦争シリーズ』や『三匹のおっさんシリーズ」などが有名ですね。
有川浩さんの本はどれも面白く、”エンターテイメント小説の神様”と言われています。
また、今回のご紹介する『阪急電車』は、2011年に映画化。
出演者は・・・
など、多数の兵庫県出身の役者の起用しています。
『阪急電車』のあらすじ
この電車では、様々な奇跡が起きています。
読者もまた、乗客の1人となった思いで、数々のエピソードを疑似体験できるでしょう。
今回は数々の登場人物の中から、3組みのエピソードをご紹介いたします。
西宮北口方面行きー宝塚駅
宝塚駅での乗車するのは、社会人5年目の征志。
隣に乗り合わせた若い女性は、よく通う宝塚中央図書館で、征志が借りようと思った本を奪ったユキ。
征志はライバル意識を燃やしていたが、ユキは美しく、タイプだったため、隣の席でドキドキしています。
ユキは突然、あっと声を出し、征志に話しかけてきました・・・。
宝塚駅を出発後、各駅に停車してく片道わずか15分のローカル線で、2人はこの先どうなるのでしょうか?
小さな奇跡の数々をきっかけに、2人は結ばれる運命に。
西宮北口方面行きー宝塚南口駅
宝口南口駅で乗車する女性は、純白のドレスを着た翔子。
婚約者を同僚に奪われたのに、”討ち入り”のつもりで敢えて結婚式に乗り込んでいたのでした。
そんな翔子に、逆瀬川駅で乗り合わせた婦人の時江が、
「討ち入りは成功したの?」
と。
時江は人生の先輩として、翔子にアドバイスという名のお節介を。
そして、小林駅で途中下車をし、町並みを楽しむようにすすめます。
翔子はそのお節介を通じて、清々しく温かい気持ちになり、ドレスを脱ぎ捨てるのでした。
乗り合わせただけの乗客の人生が、少しずつ交差していきます。
西宮北口方面行きー仁川駅
ミサは彼氏のカツヤと、車内で雑談をしていましたが、カツヤとの話がかみ合わずミサはイライラ。
カツヤは以前より自分の立場が弱くなると、口が悪くなり、ミサに暴力を振るいます。
この日も些細なことで言い合いになり、電車内でミサに暴力を。
仁川駅で取り残されたミサは、ホームのベンチで呆然としています。
その場面にも居合わせていた時江は、ミサに
「下らない男ね、やめておけば?苦労するわよ」
そう言い、去って行きました。
ミサが付き合っている男に殴られていると知れば、家族や友人は悲しむだろう。
立ち去った時江の素っ気ない忠告に、わずかな時間でミサは正気を取り戻します。
ミサはホームのベンチを立ち上がりました。
人数分のドラマを乗せた電車は、どこまでも続かない路線を走っていきます。
『阪急電車』を読んだ感想
恋の始まり、途中下車、別れの兆し、様々な物語が阪急電車で行き交っていました。
阪急電車の登場人物は、今も今津線をウロウロしているのではないでしょうか。
ほっこり穏やかな気持ちに
様々な登場人物たちの物語を目撃し、心がほっと温かくなりました。
中には辛い経験や、モヤモヤする悩みを抱えた登場人物も現れますが、運命的な人々との出会いによって、前を向くことができます。
その立ち上がる姿を見ていると、自分も励まされたようなそんな気持ちに。
楽しい出会いに満ちている
毎日乗っている電車、なんとなく過ごしたり、時間を潰したり。
沢山の人たちが乗り合わせているのに、自分1人のように感じます。
しかし、この小説を読むと、電車は沢山の人生が詰まった素敵な乗り物なのだと。
電車に、楽しい出会いが待っているのかも・・・。
今後電車に乗る時は、そんなワクワクした気持ちで、乗車することができそうです。
一人一人自分の物語を背負って生きている
登場人物たちはそれぞれ物語を背負い、たまたま電車で乗り合わせ、言葉を交わし、感情が動かされます。
そして次の駅で、また違う電車に乗り換えていく。
この小説に出てくる電車とは、まるで人生のようだと感じました。
一人一人抱えているものは違いますが、何かのきっかけや出会いで、運命がガラッと変わって行くという、人生の面白さを表しているように思います。
『阪急電車』はどんな人におすすめ?
『阪急電車』はこんな人におすすめです。
- ほっこり温かい気持ちになりたい
- 有川浩さんの小説が好き
- 今津線の周辺に住んでいる
有川浩さんの作品は、理屈や難解な言い回しの表現は少なく、明るく鮮やかな語り口調で物語が進むものが多いです。
『阪急電車』も有川浩さんの生き生きとした表現が、ふんだんにんに含まれていて、気づくと物語に引き込まれていました。
そして、この小説は阪急今津線の”何とも言えないほのぼの感”を楽しむことができます。
『阪急電車』を読みながら、または読み終わってから今津線を訪れると、登場人物たちが今にも乗車してくるようなワクワク感を楽しめるでしょう。
おわりに
有川浩さんの短編小説『阪急電車』を、ご紹介してきましたがいかがでしたか?
片道8駅の15分間に、沢山の人生が行き交っていました。
私自身、数年前に今津線の周辺に住んでいたことがあるので、多くの人が生活している、田舎と都会の間のような、温かい土地という雰囲気を知っています。
またあの場所で生活をしてみたい、という気持ちになりました。
次は『阪急電車』を手に、今津線へ行ってみようかと思います。
今津線周辺に住んでいる人も住んでいない人も、『阪急電車』を読むと、どこか懐かしい気持ちに包まれるでしょう。
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