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『マリアビートル』感想|不穏な奴らが交錯する疾風怒濤の新幹線トリップ
『マリアビートル』で描かれることのすべては、東京発盛岡行きの東北新幹線『はやて』の車内、いわゆる閉鎖空間(ときどき停車駅で開く)で起こります。 登場するのは一癖も二癖もあるキャラクターばかり。 かなり狭い密閉空間で、ものすごく突拍子もない... -
『図書館戦争』感想|その先へ自ら進んでいく勇気
普段当たり前のようにある小説や漫画、雑誌など様々な本。 それらの本が当たり前ではなく、もし好きな時に読めないものだったらあなたはどうしますか? この本は本が自由に読めない中、できるだけたくさんの本を人々が読めるように体を張って本を守る人々... -
『夢をかなえるゾウ』感想|気軽に楽しく学べるベストセラー自己啓発小説
あなたは夢や目標を実現させて、成功したいと思っていますか? 平凡なサラリーマンである主人公の前に突然現れた、ゾウの姿をしたインドの神様「ガネーシャ」。 過去に多くの偉人を成功に導いてきたと言います。 今度こそ自分を変えたい主人公は、ガネーシ... -
『ながれぼしをひろいに』感想|イブの夜の冒険物語に、大人もきっと引き込まれる一冊
子どもの頃読んだ絵本の中で、大人になってからも思い出す一冊はありますか? この絵本は、福音館書店の月刊絵本『こどものとも』に掲載されていたお話です。クリスマス・イブの夜が舞台の、主人公「みふで」の不思議な冒険ファンタジー物語に加え、片山健... -
『キラキラ共和国』感想|代書屋が暮らす鎌倉で、人々はゆっくり成長する
キラキラ、キラキラ。 心のなかでそう唱えると心の暗闇にまばゆい星が煌めいて明るくなる……。 それは主人公がお隣に住むご婦人に教えてもらった〈キラキラの法則〉です。 楽しいこともつらいこともある人生をめいっぱい楽しむための魔法です。 結婚して娘... -
『騙し絵の牙』感想|見えないところで奔走する編集者たち
電子書籍が登場して何年も経ち、紙の本の時代も終わりつつある昨今。 雑誌の販売数は全盛期から大幅に減少し、紙だろうと電子だろうと、書籍というものから人々が離れ始めているのが今の時代だと、私は時折実感してしまいます。 スマートフォンの登場でイ... -
『シュガータイム』感想|砂糖衣に包まれた、透明な愛おしい時間
「春の訪れとともにはじまり、秋の淡い陽射しのなかで終わった、私たちのシュガータイム」 漠然とした何かが、心の中にぽっかりと穴をあけてしまったとき、それを埋めるものは一体何でしょうか。 明確な原因そのものが解決されない限りそれは永遠に埋まら... -
『犬がいた季節』感想|あなたの18歳は、どんな18歳でしたか?
『犬がいた季節』は、2021年本屋大賞 第3位に輝いた作品です。 著者である伊吹有喜さんの母校である三重県立四日市高校を舞台に描かれた小説。 物語に登場する犬『コーシロー』は、実際に高校で生活していた犬がモデルだということです。 背景となる時代は... -
『鞠子はすてきな役立たず』感想|働かない人間も社会を回している
この本は趣味に生きる、鞠子という一人の主婦が主人公の物語です。 著者の山崎ナオコーラさんは、文庫版のあとがきにこんなことを書かれていました。 「本を出したあと、主婦をしているという方から、主婦を素敵に書いてくださってありがとうございます、... -
『もこもこもこ』感想|子供の心をつかむ擬音の世界
本を開けた瞬間、シーンとした静寂の世界が広がります。 でもなんでしょう、これから何かが始まるようなワクワク感を感じます。 そうしたらやっぱり「もこ」と出現した謎のふくらみ。 どんどんどんどん大きくなり、ページいっぱいに広がってついにはじけま...