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『騙し絵の牙』感想|見えないところで奔走する編集者たち

電子書籍が登場して何年も経ち、紙の本の時代も終わりつつある昨今。

雑誌の販売数は全盛期から大幅に減少し、紙だろうと電子だろうと、書籍というものから人々が離れ始めているのが今の時代だと、私は時折実感してしまいます。

スマートフォンの登場でインターネットがより身近になり、手頃に、低コストでエンタメを楽しむ方法が増えた今、書店に並ぶ紙の本をわざわざ買う人が少なくなったのも頷けることでしょう。

しかし、そんな時代において、誇りを持って雑誌を世に送り出す人々がいるのです。

『騙し絵の牙』では、我々の見えないところで奔走する編集者たちの姿が描かれています。

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『騙し絵の牙』の概要

出典:Amazon公式サイト

タイトル騙し絵の牙
著者塩田武士
出版社角川文庫
出版日2017年8月31日
ジャンルミステリ小説

2021年に大泉洋主演で映画化もされた塩田武士著『騙し絵の牙』は、出版社でカルチャー誌の編集者を務める一人の男の物語です。

上司や作家と板挟みになりながらも担当する雑誌の廃刊を回避すべく奔走し、また同時に疎遠になっていく家族との複雑な関係も描かれています。

この小説は、出版業界が瀕する危機を描いた社会派小説でありますが、最後まで読み終わったとき、「ああ、これは主人公の復讐譚だ」と思えるほど、そのクライマックスの熱はすさまじいものでした。

『騙し絵の牙』のあらすじ

『騙し絵の牙』のあらすじを説明します。

廃刊の可能性と、突きつけられたノルマ

速水輝也は、大手出版社「薫風社」でカルチャー誌「トリニティ」の編集長を務めるサラリーマンです。

ユーモアに満ちた彼は、周囲を魅了する魅力を持った男でした。

ある日、上司から「トリニティ」廃刊の話を匂わされます。

廃刊の危機から脱すべく、掲げられたノルマ達成のために「トリニィ」編集部は様々な手を打ちはじめます。

あらゆる手を尽くす編集部。しかし、その結末は……

達成困難なノルマを突きつけられ、困惑する編集部。

しかし、この売り上げを達成しなくては「トリニティ」は廃刊。

当然、ただ何もしないわけにはいきません。

大手企業とのタイアップ記事。

人気タレントを起用した連載。

または別業界の手を借りた広告の打ちだし。

編集長として、様々な会議や会合に顔を出しながら、速水は「トリニティ」廃刊の危機を脱する手を獲得していきます。

しかし、半年の月日をかけた策であっても、上司が掲げたノルマの達成には、至らなかったのでした。

退社した速水。その真意とは。

担当雑誌廃刊の話しから始まった速水の戦いは、社内抗争にまで発展。

「トリニティ」は廃刊。速水は、薫風社を退社します。

その一年五か月後。

速水の同僚であった男、小山は「株式会社『トリニティ』」の設立パーティに来ていました。

代表取締役として登場したのは、速水輝也でした。

速水は薫風社退社後、「トリニティ」事変で関わった人々を連れて会社を設立していました。

どうして速水が編集者となったのか。

速水は、実の母と再婚した父親のことを尊敬していました。

速水も父親も、本を読むのが好きな人間でした。

父親は読書好きでありながら小説を書いていました。

速水もそれを読み、父親の中に小説家としての才能を見出すのです。

このとき、速水輝也という編集者は誕生したのです。

小説の新人賞に応募すべく、速水が編集者役となって父と二人三脚で小説を書き上げましたが、新人賞には落選。

しかし、編集部の目に留まり、冒頭部分を雑誌に掲載しないか、と誘いを受けます。

意気揚々と東京に向かい、編集部で話を受ける父子。

しかし、一本の電話が父の元へ届きます。

小説掲載の話がなくなってしまった、という悲報です。

それ以降、父は断筆。

そして父は収賄容疑で逮捕され、以降速水の前から姿を消します。

速水は、どこかで父が見ているかもしれない、と編集者になることを決意したのです。

『騙し絵の牙』を読んだ感想

映像化もした社会派小説として、私はこの本を手に取りました。

出版業界が現実に抱えている危機を描きつつ、どこか主人公の復讐譚にも感じられた一作でした。

コスパ重視のエンタメ

若者の活字離れ、出版不況と呼ばれて久しい昨今。

書店で働いた経験のある一介の読書好きとしても、その現状は痛いほど痛感しています。

無料で遊べるアプリや、定額で映画やドラマが見放題なサブスクサービスが増え、コスパよくエンタメを享受することができるのは、消費者にとってよりよい環境になってきていますよね。

その中で、廃れていくものも当然あるのです。

書籍は、そのうちの一つとも言えるでしょう。

時間のない現代人は、それでもどうにかしてトレンドに追いつけるよう、手頃に楽しめるエンタメを求めています。

最近話題になったファスト映画のように、少ない時間で出費を抑えてトレンドに乗る。そんなエンタメの享受の仕方が増えているように思えます。

読書は、その正反対に位置するのではないか、と私は考えています。

文庫本一冊の値段は五百~千円ほど。

それほど高い金額でもありませんが、これがもし面白くない、自分には合わない、という感想を抱くと、数百円の損をした、という気持ちになってしまいますよね。

それに、本一冊を読むのにも時間がかかります。

通学通勤時間、休憩時間に読むこともできるでしょうが、座れるかどうかもわからない満員電車や仕事に追われる毎日の中で、果たしてどのくらいのページを読むことができるでしょうか。

最近は、あらゆる面で「コスパ」というものが重要視されます。

当然、無駄のない「コスパ」が良い状況の方が良いに越したことはありません。

しかし、エンタメにまで「コスパ」を求めてしまうのは、「エンタメ」というものの存在意義が根底から変わってしまうのではないか、と私は危惧しています。

だって「エンタメ」はそもそも無駄なものです。

生きていく上で、必要のないものなのです。

しかし、私は私の人生からエンタメを取り上げられると、生きていく理由や気力を失うことでしょう。

ですが、なくても私は生きていけます。

少なくとも、食事睡眠を摂っていれば生命活動に支障が出ることはない。

だからエンタメは必要ないものなのです。

必要ないものだけど、決して不必要ではない。

しかし、エンタメのない世界など、生きていても楽しくないことは明白です。

エンタメを謳歌し、裏側でエンタメを作り上げることを生業とする人々もたくさんいます。

本作の主人公、速水もその一人です。

自分を支えてくれた小説が、何かの事情で公表できなくなってしまった。

せっかくこの世に生を受けた作品が、会社側の何らかの事情で日の目を見ることなく消えてしまうことが、彼にとって惜しく、そして悔しいことでした。

そうして消えていく作品があることは、エンタメ好きの私もとても悲しいことだと思っています。

速水は、その現実を少しでも変えたい、と戦った一人です。

一人の編集者の復讐譚

この小説は、ジャンルとしてはミステリー、社会派小説の作品です。

ですが、最後までこの小説を読み終わったとき、「これは速水の復讐の物語だったのではないか」と思いました。

何らかの大人の事情で消えてしまう作品たち。

最終的に速水は、それらを拾い上げて読者も創作者も、皆が幸せになるための方法を作り出した。

そのシステム上「売上」というものに縛られてしまう従来のやり方に対するカウンターを作り出したのです。

あの日消えてしまった父と父の作品、それらと同じ目に遭う悲劇が起きないように、小説を愛する創作者として、これまでの社会のシステムに一矢報いようとした編集者の足掻きが、この作品なのではないか、と私は感じました。

『騙し絵の牙』はどんな人におすすめ?

本作は俳優の大泉洋さんをあて書きに描かれている作品です。

さらに出版業界ということで興味を持つ人もいるでしょう。

  • 大泉洋さんが好きな人
  • 出版業界に興味がある人
  • 小説や映画など、エンタメが好きな人

におすすめの小説です。

おわりに|速水の願いに、私はどう答えたら良いか。

この小説で描かれるのは、まさに現代起こっている問題の一つだと感じています。

自分の「好き」を貫くのが難しい時代。

私も何度か、自分を表現することに躓くことがありました。

その度に怖気づいてしまうのです。

しかし、速水輝也という編集者の戦いを経て、私の中の怖気づいた心が少し揺らぎました。

世の中には、きっと速水のように自分の信念を信じて、貫き通す作り手がたくさんいる。

なら、私はそれに答えるべきである。

自分が何かを好きになることは、決して悪いことではない。

自分の好きなものを、胸を張って「好きだ」と言えばいい。

その「好き」は、信念を持った誰かによって作られているのです。

自分が発した「好き」という言葉が、その人に直接届くかどうかはわかりません。

しかし、どこかで巡り巡ってその人の耳に届く日が来ると、私は信じてます。

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