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『ラマレラ 最後のクジラの民』感想|捕鯨文化を未来に残すインドネシア部族の魂の葛藤を描いたドキュメンタリー

第168回 芥川賞・直木賞 決定!

第168回 芥川賞・直木賞』が

2023年1月19日に発表されました。

受賞作はこちらの4作品です。

受賞作著者
芥川賞
この世の喜びよ
井戸川射子
芥川賞
荒地の家族
佐藤厚志
直木賞
しろがねの葉
千早茜
直木賞
地図と拳
小川哲

心静かに漕ぎ出でよ

浜を離れる波のままに

心静かに夢見て待て

人生の嵐に揉まれしときも

人生の嵐に揉まれしときも

インドネシア諸島の西端にあるレンバタ島には、現代でも狩猟採集文化を残すラマレラの民が暮らしています。

ラマレラ文化の最大の特徴は、世界で唯一伝統捕鯨を継承していることです。

ラマレラの民とクジラは密接に結びつき、彼ら独自の文化を形作ってきました。

本書ではラマレラの文化を物語風に紹介しています。

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『ラマレラ 最後のクジラの民』の概要

出典: Amazon公式サイト

タイトルラマレラ 最後のクジラの民
著者タグ・ボック・クラーク
出版社NHK出版
出版日2020年5月30日
ジャンルノンフィクション

アメリカのフリージャーナリストである著者の体験や調査を元に書かれたノンフィクショ本です。

ラマレラの民の生活様式や文化形式を事細かく描き出し、文化の変遷をリアルに伝えています。

『ラマレラ 最後のクジラの民』のあらすじ

序章では、ジョンという22歳の若者の視点から、マッコウクジラを仕留める漁の様子が克明に描かれます。

漁の最中、ジョンは綱が足に絡まり、船から落下します。

海中に引き摺り込まれ、生きるか死ぬかの緊張の中、ジョンは決意して海底へと潜行するというところで序章は終わります。

ラマレラ 文化の発祥

五世紀ほど前、崩壊した集落から脱出し、新たな土地を求めて放浪する一団がいました。

彼らはインドネシア諸島の外れにあるレンバタという名の島に新たな集落を築きました。

作物を育てるのに向かない土地で、人々は沖を回遊するクジラの群れを発見します。

それから人々はクジラを捕って暮らすようになり、独自の文化を作り上げていきました。これがラマレラ文化の始まりです。

結婚、分岐、旅立ち

ジョン、イーカ、イグナシウス、フランス。

彼らは皆ラマレラの民の一員です。

ジョンは村を離れるか、イーカは誰と結婚するか、イグナシウスは息子の結婚とどう向き合うか、フランスはしきたりを守れるか。

年齢、立場、思想などばらばらな人物たちが、迫り来る変化の波に対してどのように感じ、向き合い、選択するのか。

彼らのそれぞれの葛藤や懊悩がリアリティ溢れる文章で書かれ、彼らの変化や日常を通してラマレラ文化そのものの実態を著者は描いています。

迫り来る近代化

後半からはレンバタ島に到来しつつある近代化がクローズアップされます。

新たな技術の流入はラマレラの祖先から受け継いだしきたりにも影響を及ぼし始めます。

村では近代化を受け入れるか否かの集会が開かれ、賛成派、反対派と意見がぶつかり、収拾は付きません。

伝統的な木造船にはモーターが取り付けられ、儀式は簡略化されていきます。

それでもラマレラの民にとって最も重要なクジラ漁には昔からの帆船でのみ出漁を許可するなど新たな決まり事が加わっていきます。

何を受け入れ、何を排除するのか。

ラマレラの民は近代化の本流の中で、選択を迫られ続けることとなります。

『ラマレラ 最後のクジラの民』を読んだ感想

本書は筆者から読者へ語りかけています。

世界から少数民族の文化が消えていき、画一的な文化が世界を席巻することで真の意味での多様化が失われてしまうということを。

異文化に対する寛容が失われつつある現代への警鐘を本書の中で鳴らし続けています。

糾合されゆく文化を残してゆくこと

ラマレラのような危機にある少数民族の文化は他にも多数あります。

それらの文化を後世に伝えてゆく大切さや意義を本書を通じて感じ取れます。

私たちのもまた一つの文化の中に生きているのです。

ノンフィクションとしての面白さ

本書に登場する人物はすべて実在の人物であり、書かれている不思議な儀式やクジラ漁の荒々しさも現実のものです。

読んでいる途中でついつちそのことを忘れてしまうかもしれません。

しかし私たちの知らない世界で彼らが生きていることを心に留めて読めば、フィクションには無い人間らしさを味わうことができます。

人類学者のフィールドワーク

著者の実体験を交えて書かれた本書は歴とした学問書でもあります。

人類学者としての学術的な考察も合わせて書かれています。

現地に行き見て、聞いて、体験すること。

私たちを世界へ連れ出そうとする著者のメッセージも行間に含まれています。

本書を通しての著者との対話も醍醐味の一つです。

『ラマレラ 最後のクジラの民』はどんな人におすすめ?

読み応えのある内容で、専門性も薄く、物語風に展開されるので敷居は低いです。

その点を踏まえて、『ラマレラ 最後のクジラの民』は以下のような人におすすめです。

  • 人類学や民族学に興味のある人
  • リアリティに満ちた文章を読みたい人
  • 感動系の話を読みたい人

小説だけを読む人でも案外とっつき易い内容ですので試しに読んでみるのも悪くはないはずです。

おわりに|衰退し、歴史に埋もれていく文化と画一的で普遍性を持つ文化

本書はアメリカのフリージャーナリストであるクラーク氏の初の著作です。

氏は2011年に初めてラマレラを訪れそこに息づく素朴ながらも神秘的な文化に触れ、強い感銘を受けたと記しています。

テクノロジーとグローバリゼーションが進行する世界で代々のしきたりをそのままの形で守るのは難しい。

そのような普遍的な難題を捉え、読者と共に考えようとする著者の姿勢に私たちも今向かうべきかもしれません。

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