普段、どれくらいの頻度で博物館へ行きますか?
作家・三浦しをん先生は、
「博物館が好きだ。旅先で博物館を発見したら、とりあえず入ってみる。(中略)博物館は私にとって、胸躍るテーマパークだ」
と断言します。
今回紹介する『ぐるぐる♡博物館』では、日本国内10箇所の博物館を巡ります。
博物館が好きな人も、久しく訪れていない人も、一緒に博物館への旅を楽しんでみませんか?
実業之日本社
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『ぐるぐる♡博物館』の概要
出典:Amazon公式サイト
タイトル | ぐるぐる♡博物館 |
著者 | 三浦しをん |
出版社 | 実業之日本社文庫 |
出版日 | 2020年10月15日 |
ジャンル | ルポエッセイ |
『風が強く吹いている』などの小説や、『のっけから失礼します』などのエッセイで知られる作家・三浦しをん。
本書は、三浦先生が日本各地の博物館を訪れ、その魅力をレポートしたルポエッセイです。
親しみやすく、ユーモアたっぷりの語り口によって、博物館の楽しさを再発見できます。
『ぐるぐる♡博物館』のあらすじ
本書は、本編(国内の博物館10館)と、寄り道(博物館以外への施設3箇所)で構成されています。
博物館については、ただ見学するだけではなく、必ず学芸員さんや担当の方へのインタビューがあるため、より一層理解が深まります。
また、地方の博物館のレポートの場合、街の雰囲気や道中での出来事にも触れられており、紀行文としても楽しむことができます。
気の向くままに博物館巡り(東日本編)
本書で訪れる10の博物館のうち、東日本にあるのは下記5館です。
茅野市尖石縄文考古館(長野県)
土器や土偶など、尖石遺跡の出土品を通じて縄文時代の暮らしを学べる博物館。
国立科学博物館(東京都)
広大な敷地を誇る博物館ですが、本書では特に「人類の進化」にまつわる展示にスポットを当ててレポートしています。
石ノ森萬画館(宮城県)
『仮面ライダー』シリーズなどで知られる漫画家・石ノ森章太郎先生の世界観を存分に味わえるミュージアム。
風俗資料館(東京都)
日本で唯一の、SM・フェティシズムを専門とした会員制図書館。
ボタンの博物館(東京都)
服飾資材等を手がける株式会社アイリスが運営する、珠玉のボタンコレクション。
気の向くままに博物館巡り(西日本編)
本書で訪れる10の博物館のうち、西日本にあるのは下記5館です。
龍谷ミュージアム(京都府)
龍谷大学が運営する、仏教にまつわる様々な文化財を展示する博物館。
奇石博物館(静岡県)
「石」の総合博物館。
水の入った石、曲がるほど柔らかい石、恐竜のフンの化石など、石のバラエティに驚かされます。
大牟田市石炭産業科学館(福岡県)
石炭採掘の仕組みや三井三池炭鉱の歴史を学べる科学館。
雲仙岳災害記念館(長崎県)
1990年に発生した雲仙普賢岳噴火を後世に伝える記念館。
めがねミュージアム(福井県)
国内メガネフレーム生産の中核を担う福井県鯖江市に立地する、めがねの歴史を学べる博物館。
博物館以外の場所に寄り道
本書では、寄り道として下記の場所にも訪れています。
- 熱海秘宝館(静岡県)
- 日本製紙石巻工場(宮城県)
- 岩野市兵衛さん(紙漉き職人・福井県)
巨大な機械から紙が作られる工程を見学したり、人間国宝・岩野さんの紙漉き技術に感銘を受けたり、寄り道とは思えないほどの充実ぶり。
上述の博物館とセットで巡ると、より一層楽しめそうです。
『ぐるぐる♡博物館』を読んだ感想
近年、「大人の社会科見学」として、工場などを見学することがブームになっています。
『ぐるぐる♡博物館』は、社会人が休日にお出かけするときに必携の書と言えるでしょう。
本書を読んでみて、特に印象的だったことは、下記3点です。
興味を持てば、何でも楽しい
本書で取り上げられている博物館のほとんどは、今まで見聞きしたことのないものでした。
扱っているジャンルもまちまちで、必ずしも親近感を感じるものばかりではありません。
しかし、読み進めるうちに、「全くの門外漢でも、興味を持って接すれば何でも楽しめるんだな」と思いました。
苦手なジャンルがある人も、飛ばさずに読んでみることをおすすめします。
好奇心とリスペクトに満ちたインタビュー
本書の大きな魅力は、三浦先生が学芸員さんや担当の方に取材を行っている点です。
三浦先生の好奇心とリスペクトに満ちたインタビューにより、慎み深い学芸員さんたちの語り口も、どんどん熱くなっていきます。
個性豊かな学芸員さんたちに、私たち読者も自然と引き込まれるでしょう。
博物館は、ただ展示物を並べているのではなく、彼らの飽くなき情熱とたゆまぬ努力で運営されているのだと実感しました。
今まで、博物館で学芸員さんとお話したことはありませんでしたが、本書を読んで身近に感じることができました。
見るだけではない!五感で楽しむ博物館
本書を読むと、博物館では見学以外にも様々な体験ができることがわかります。
たとえば、めがねミュージアムでは、体験工房にてめがねを自作していますし、石ノ森萬画館では、作品の世界観を感じられるアトラクションを楽しんでいます。
個人的には、大牟田市石炭産業科学館の模擬坑道(炭鉱内を再現したフロア)が「ディズニーランドみたい」と書かれており、非常に心惹かれました。
本書で紹介されている博物館は、ジャンルも運営元もバラバラなので、気になる場所が必ず見つかることと思います。
『ぐるぐる♡博物館』はどんな人におすすめ?
本書は特に、以下のような人におすすめです。
- 博物館巡りが好きで、新規開拓したい人
- 国内旅行の行き先を決めかねている人
- 知的好奇心を刺激されたい人
博物館巡りが好きな人はもちろん、最近旅行がマンネリ化してきた人にもぴったりです。
旅行というと、観光地やグルメを思い浮かべがちですが、博物館を目的地とした旅はいかがでしょうか。
特に地方の博物館は、地域との結びつきが強いことが多いため、その土地の歴史や産業を学ぶ上で大いに役立ちます。
旅行マニアの方も、「まだ行ったことのない楽しそうな施設がたくさんある!」と、満足していただけるのではないかと思います。
おわりに|博物館を通じて、様々な情熱に触れる
博物館の魅力の1つとして、様々な形の情熱に触れられることが挙げられます。
- 自然や先人たちに敬意を表する
- 美しいものを愛でる
- 過去の遺産を後世へ繋ぐ
- 心ゆくまで趣味の世界に没頭する 等。
『ぐるぐる♡博物館』は、その情熱を三浦先生が言葉に起こし、ぎゅっと凝縮したものです。
多くの方が、本書を通じて博物館の魅力を再発見することを願っています。
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