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『センセイの鞄』感想|教師と教え子、歳の差……ある種恋愛の教科書のような純愛物語

歳の差恋愛の小説や漫画、ドラマに映画というものはたくさんあります。

年齢の壁をこえて人と人が愛し合う……純愛としてわかりやすく扱いやすいのです。

たとえば現役教師と現役生徒ならばどうでしょうか。

本来ならば恋することを許されない立場同士の人間が、その壁やしがらみを放ってでも相手を求める……さらにわかりやすい純愛です。

正直、現役というところに拒否反応を示す人も多いと思います。

では、男女の関係が、元教師と元教え子ならば?

またちがった楽しみがあることでしょう。

著:川上 弘美
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『センセイの鞄』の概要

出典:Amazon公式サイト

タイトルセンセイの鞄
著者川上弘美
出版社平凡社
出版日2021年6月25日
ジャンル大人の恋愛物語

全270ページですが、中身は細かく17の章でわかれています。

ひとつひとつ区切りがよく終わるので、隙間時間にひとつの章を読むことも可能だと思います。

偶然居酒屋で再会した、高校時代の教師とその教え子。

ふたりは物語の結末までの道のりをとてもゆっくり、そしてとても素早く駆け抜けます。

『センセイの鞄』のあらすじ

語り手はツキコという37歳の女性です。

OLをしていて、彼氏はいません。

あるとき駅前の一杯飲み屋で、高校時代の国語教師と再会します。

酒の肴の趣味が合うということでそれからも馴染みの飲み屋で隣り合うことが多くなりました。

ツキコはその国語教師のことをセンセイと呼びます。

ふたりは連れ立って色んなところへ赴き、その先々で諍いを起こしたり親睦を深めたりと、忙しくしました。

ツキコはだんだんとセンセイのことが気になり始めますが、センセイの気持ちはどうにも計り知れませんでした。

二十二個の星

センセイと、口をきいていない。

そんな一文からこの章は始まります。

店の中でお互いがいることを確かめてから、意図的に知らんぷりを決め込んでいました。

きっかけは店で聴いていたラジオの野球中継で、巨人ファンであるセンセイとアンチ巨人であるツキコは些細な口論からそのような状態になってしまったのです。

このごろセンセイとばかりいっしょだったツキコは、突然なにをするにもひとりになったことで、以前のように「ひとりで楽しむ」ことに専念しようとします。

けれどなにをしていても脳裏にセンセイの存在がちらつきました。

あきらめたツキコは訪れた合羽橋で、センセイのためにあるものを購入します。

多生

袖振り合うも多生の縁、とは道で見知らぬ人と袖を振り合うだけのことでも前世からの因縁によるものだという意味の言葉です。

ロマンチックにも聞こえるこの言葉を、センセイは少しばかり信じているようでした。

その日おでん屋で飲んでいたふたりは、隣り合った酔っ払いの見知らぬ男から喧嘩を売られます。

付き合っているわけではありませんが、センセイはそのころにはごく普通にツキコの頭を撫でるようになっていました。

そのことを見ていたのかもしれない酔っ払いは、ふたりにいちゃもんをつけて絡みます。

落ち着いてからセンセイはツキコに、嫌な思いをさせて申し訳ないというふうなことを言います。

ツキコはセンセイにこんなことで謝罪をさせた男を恨みましたが、センセイはすでに仕返しをしたようで……?

こおろぎ

自分がセンセイに抱く想いに気づき、センセイとの距離を置こうと考えたツキコでした。

センセイを避けて生活していても、以前はどんなふうに生きていたのか思い出せなくなっていました。

そんななか、いつもの飲み屋へ行くと店主から、センセイが風邪をひいていたらいしということを聞きます。

居ても立っても居られないツキコはセンセイの家を訪ねます。

案外元気なセンセイはツキコに、

「ワタクシが死んでいるとでもお思いでしたか」

と笑いました。

ツキコは、30も離れたセンセイは自分よりもよっぽど死に近いのだと実感するのでした。

『センセイの鞄』を読んだ感想

正月を過ごしキノコ狩りにも出かけ、旅館に宿泊もしたセンセイとツキコ。

ふたりのなかで育まれる想いは、年齢に関係なく人は恋をするものだと教えてくれます。

あたたかくて、少し悲しくもなる……こんな冬の時期にぴったりな作品だと思いました。

微妙な関係

センセイとツキコの関係は、終盤あたりまでつかず離れずを保ちます。

読んでいるあいだはツキコのいじらしさにやきもきしたりもしますが、それがこの作品の醍醐味でもあるのです。

読む前に知るもよし、読了後に気づくもよし、そんな素敵な一面がありました。

男女の微妙な関係も、川上弘美という作家の手にかかればこんなにも美しく、味わい深く表現できるのだなと痛感します。

ツキコが何度も「センセイ」と呼ぶシーンのそのなんとも言えない空気、雰囲気というものは、川上弘美にしか書けないのでしょう。

名言

ツキコの大叔母は生前、

「大事な恋愛ならば、植木と同様、追肥やら雪吊りやらをして、手を尽くすことが肝腎。

そうでない恋愛ならば、適当に手を抜いて立ち枯れさせることが安心。」

と語呂合わせのように言っていたそうです。

この言葉は恋をする女性ならばだれでも響くのではないでしょうか。

恋多き大叔母だからこその言葉だろうと思いますが、そうでなくてもあらゆる女性が覚えていて損はない言葉だと思うのです。

恋愛の教科書

お手本のような恋愛、という意味の教科書ではありません。

たとえば先述したようなツキコの大叔母の言葉は世の女性に対するアドバイスです。

それ以外にも、恋に年齢は関係ないのだということ、重要なのは中身であるということ……。

そういったこともこの作品は教えてくれます。

とても美しい表現で、やさしく……。

『センセイの鞄』はどんな人におすすめ?

大人の恋愛物語が好きな人はもちろん、歳の差恋愛が好きな人には自信をもっておすすめできる作品です。

たとえばほかにも、

  • 美しい表現が好きな人
  • 隙間時間に本を読みたい人
  • 単純に恋愛小説が好きな人

などにも読んで貰いたいと思っています。

特に小川洋子や江國香織のような、飾り気のない美しい文章が好きな読書家の人にはとてもおすすめできるでしょう。

おわりに|30も歳の離れたセンセイとツキコの恋は、どこへ向かうのか。

センセイとツキコは結ばれるのか、たとえ結ばれたとしてその先でなにが待つのか……。

それを知るために私たちはただ読むしかありません。

ただひとつ言えるのは、その結末を知るためにはセンセイとツキコが過ごした270ページの時間を、私たちも過ごさないといけないということです。

ふたりの再会、飲み仲間としての時間、お互いを意識するまでの流れ、センセイとツキコのかたい意思。

それらを読んで知って、ようやく私たちはふたりの行く末を見られるのでしょう。

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