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『十二国記』感想|『月の影 影の海』から読む〝生きる〟強さ

「十二国記シリーズ」は異界にある十二国での出来事について記した小野不由美先生によるファンタジー小説です。

記念すべき第一作である『月の影 影の海』は、至って平凡な日常を送っていた女子高生・陽子(ようこ)がケイキと名乗る謎の男に異界《十二国》へと連れ去られるところから始まります。

味方もいないまま一人奮闘する陽子の姿が鮮明に書かれた成長譚とも言える一作です。

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十二国記『月の影 影の海』の概要

出典:Amazon公式サイト

タイトル十二国記『月の影 影の海』
著者小野不由美
出版社新潮社
出版日2012年6月27日
ジャンルホラー・ファンタジー

ここでは魅力あふれるユニークな世界観の説明。

十二国はそのどれもが王政国家、そしてその王はその国のものと定められた神獣「麒麟」が選定します。

他にも妖魔と呼ばれる害獣が生息していたり、子どもは天に祈って、それが通じると木に実るといった独自の文化や習慣が極めてリアルに描かれています。

十二国記『月の影 影の海』のあらすじ

女子高生の中嶋陽子(なかじま・ようこ)は平凡な日常を送っていたある日、ケイキと名乗る金髪の男が彼女の前に現れます。

「お捜し申し上げました」そう言って跪く彼に陽子は異界へと連れ去られてしまいました。

異邦をさ迷い出会う者たちから迫害され続けるも、彼女は故国への生還を胸に一人、闘います。

中嶋陽子という人物

異界に足を踏み入れるまで、陽子は本当に至って普通の少女でした。

両親からの期待に応えるべく、家庭内では追従気味。

学校ではいじめの標的にされるのを恐れていじめられっ子を庇えない一面もあります。

こうして見ると際立った魅力はありません。

しかし読了すると彼女の成長ぶりに目を見張る方もいると思います。

私的には彼女のキャラクターも十二国記シリーズの一つだと断言できるので。

他にもいる!魅力に溢れた登場人物

素敵な登場人物は何も陽子だけではありません。

作中で度々陽子を助ける登場人物、楽俊(らくしゅん)もかなり面白いキャラクターと言えるでしょう。

彼は異界の亜人、「半獣」の青年で大きな鼠に似た外見をしています。

一見マスコットキャラクターのような彼ですが、言動は智慧を秘めていて時に読者に気付きを与えることも。

彼の口から出た名言は後述します。

真に迫ったファンタジー

王を麒麟が選んだり、人が木に実って生まれたりと正にファンタジーな世界観ですが、それはあくまでシリーズの要素に過ぎません。

そこには現実にも通じる〝生きる〟ことに取り巻く苦しさ、それらと如何に向き合うかが一貫して書かれています。

登場人物たちの思想や成長ぶりには度々啓発させられました。

十二国記『月の影 影の海』を読んだ感想

筆者は十二国記シリーズに傾倒して一年足らずとまだ日が浅いのですが、それでも初めて本書を読んだ時に得た衝撃は未だ大きいです。

それは主人公の成長譚であったり、楽俊の言動であったり、この十二国という世界、延いてはその全てに対し評せます。

楽俊の目を引く名言

特に印象的なのは、楽俊が作中で陽子と再会した際にかけた発言。おそらく生涯忘れることができないでしょう。下記します。

おいらは陽子に信じてもらいたかった。だから信じてもらえりゃ嬉しいし、信じてもらえなかったら寂しい。それはおいらの問題。(下、頁112、113)

また、彼は自分を信じて損得するのかは陽子の問題だと続けます。

言われた陽子は楽俊と自身を比べ恥じます。自分は多くの人からの裏切りを経験してすぐ疑心暗鬼に陥ったと。

けれど楽俊は彼女を「いい感じになったな」と労わります。

本作の見どころ!陽子の成長ぶり!

陽子は異邦をさまよう中で出会う人たちから迫害され裏切られ、精神を摩耗させます。

遂には疑心暗鬼に囚われてしまう中で楽俊と巡り合うのですが、今までの経験からなかなか彼に信用を寄せられません。

それから彼は自分の目的のため、陽子を手助けするために異邦人を差別し虐げない他国へ行こうと案内役を買って出ます。

しかしその道中、ある出来事を契機に陽子は楽俊を見捨てて一人、逃げてしまうのです。

後にそれを後悔した陽子は楽俊を探し目的地だった雁国(えんこく)にて上記の通り再会します。

そこに至るまで陽子は他人に裏切られたからと言って自分も卑怯者になるようなことはすまい、絶対に逆境に負けないと誓った後でした。

そのときに綴られた独白は読者を惹きつけます。

独りで独りで、この広い世界にたった独りで、助けてくれる人も、慰めてくれる人も、誰一人としていなくても。それでも陽子が他者を信じず卑怯に振る舞い、見捨てて逃げ、ましてや他者を害することの理由になどなるはずがないのに。(下、頁八四、一四‐一六)

この独白からも陽子の成長ぶりが窺えます。

十二国記シリーズ名物!その名も「読了後のスッキリ感」

筆者はまだ『図南の翼』までしか読了していない身ですが、シリーズ全体において言えるのが、どの巻も読んで外れがないことです。

登場人物は誰しもが「生きていく上での苦しさ・辛さ」を抱え、奮闘します。

そして彼らは疲弊しても決して、生きることから逃げ出したりしません。

その姿は読者に勇気を与えてくれます。読了後は、ハッピーエンドという言葉では片付けられない感覚を得ることができます。

それは勿論、この『月の影 影の海』も例外ではありません。

十二国記はどんな人におすすめ?

基本、どんな方でも読んで損はないと思いますが、特に強くおすすめする方は下記にまとめます。

  • ティーンエイジャー
  • 今、生きることに疲れている人
  • 人間譚が読みたい人

1.ティーンエイジャーにおすすめする理由としては、元々このシリーズが講談社X文ホワイトハートという少女小説レーベルから発刊されていたことに起因して。

しかし大人の読者でも楽しめるということは、2019年の18年ぶりに新作長編『白銀の墟 玄の月』の刊行が大々的に取り上げられたことからも明らかでしょう。

それだけの年数が経っても根強いファンが多いのです。

2.今、生きることに疲れている人、と挙げるのは前述したシリーズのテーマが理由です。

登場人物たちの生き様を読んでいくうちに、読者に生きていく勇気を与えることもあるかもしれません。

3.人間譚が読みたい人、と挙げたのは正に本作が〝人間〟を描いているからです。しかも極めて緻密に。

登場人物たちは紙の上の人に過ぎないのに、頁を捲るたび我々は彼らの血の通いを脳で感じ取ります。

登場人物たちを通して、人間の醜さや強かさを読み取ってみるのは人間譚を読みたい人にとって最適な小説と言えるのではないでしょうか。

おわりに

私的には、多くの人に本作を読んで欲しいところです。

おそらく大半の人が何かしらの衝撃を受けると思います。少なくとも読んで損はありません。

新潮社の公式サイトにて、川谷康久さんはこう述べています。

軽々しく「人生半分損してる」って言葉は使いたくありませんが、「十二国記」を読んでない方に僕は「人生全部損してるぜ!」と断言いたします。

彼を真似て、本稿をこう締め括ろうと思います。

人生全部損する前に、「十二国記」を手に取ってみてください!

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