もし自分が明日死ぬと分かっていたら…あなたは何をしますか?
『家族と過ごす・恋人に愛を伝える・親友にお別れを言う』いろんなやりたいことが浮かんでくると思います。
でも現実は突然やってくるものです。
いつ大切な人に会えなくなるかわかりません。
あなたが衝動的に発した言葉が、最後の思い出になってしまうかもせれません。
生きている間にそう考えられる人は、果たしてどのくらいいるでしょうか…。
この本を通して、本気で考えてみませんか?
著:アレックス・シアラー, 翻訳:金原瑞人
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『青空のむこう』の概要
出典:Amazon公式サイト
タイトル | 青空のむこう |
著者 | アレックス・シアラー |
出版社 | 求龍堂 |
出版日 | 2018年10月25日 |
ジャンル | ファンタジー小説 |
大人向け・子供向けの小説を多数発表しているイギリスの作家『アレックス・シアラー』を日本で初めて紹介したのがこの作品です。
突然の交通事故で亡くなってしまった少年が、『やり残したこと』をするために生者の国に降り立ちます。
家族に気づいてもらおうと必死になる姿・自分が居なくなった後の皆んなの変化を肌で感じながら悔やみ悲しむ姿…どれも鮮明に書かれており、情景として頭に浮かんでくるでしょう。
多くの読者が涙した64万部突破のベストセラー小説です。
『青空のむこう』のあらすじ
突然の交通事故で亡くなってしまった少年ハリーは、死者の国でどうすればいいのか困惑していました。
死者の国ではたったひとつ、『彼方の青い世界』を目指す。そう目印があるだけで、そうすることしかできません。
やり残したことがある者は『彼方の青い世界』に行くことができず、何十年・何百年もの間死者の国を彷徨い歩いてしまいます。
そんな中お母さんを探し続けている少年アーサーに出会い、生者の国に行こうと誘われます。
ためらいながらも、『やり残したこと』があるハリーは大空から生者の国に降り立ち、再び皆んなの元に帰るのです。死者として…
死者の国
死者の国はとても不思議で、草木がたくさん生えていたり道があったり、所々に『彼方の青い世界へ』という標識が立っていたりします。
ですが「ここは何処か」と聞かれると答えられない不思議な空間…。
そんなところに来たハリーが最初に目にしたのは、たくさんの死者が並ぶ長蛇の列でした。
死者たちが自分の名前を登録するべく受付に並んでおり、「自分は死んだんだ」と瞬時に理解します。
列の先頭を覗くと、大きな机で受付をしている男の人がいるではないですか。
忙しそうにしている男に何度も話しかけるハリー。
ですが、自分はもう生き返られないという現実を突き付けられるだけでした。
そこにいる死者たちは皆、『彼方の青い世界』に向かいます。
ですがハリーはそこに行けません。
事故に遭う直前ハリーは姉と喧嘩をし、ひどい言葉を言ってしまったと後悔していたからです。
『やり残したこと』がある死者は、何十年何百年と彷徨ってしまいます。
そんな中、困っているハリーに手を差し伸べたのがアーサーでした。
アーサーは長い間お母さんを探しており、唯一の手がかりを握りしめて「お母さんかも!」と思った人に話しかけ続けています。
本当にお母さんが死者の国にいるかも分からないですが、アーサーは必ず自分を探していると思い、『彼方の青い世界』には行きません。
するとアーサーに、生者の国に行ってみないかと提案されます。
ハリーは悩みました。
疑問や不安、ハリーなりの正義感などいろいろな感情が巡りなかなか決断できません。
ですが頭に浮かぶのです。
喧嘩別れしてしまった姉や家族の顔が…。
「みんなにもう一度会いたい」その思いに押されて、ハリーは死者としてもう一度みんなのいる生者の国に降り立つのです。
生者の国
アーサーと一緒に生者の国に飛び込んだハリーは、初めて世界を見たかのような気分で大空を飛んでいました。
ハリーはワクワクやドキドキが止まらず、知らない人に挨拶をしてみましたが誰も返事をしません。
当たり前です。
生きている人には見えないのですから。
するとハリーは真っ先に、家族や友達に会いに行こうと考えます。
自分が死んだ後みんながどうなっているのか、気になってしょうがありません。
自分のいた学校には、花や思い出の品が飾ってあるんじゃないか?みんな泣いているんじゃないか?などたくさん想像を膨らませます。
アーサーがやめておけと叫ぶのをよそに、ハリーはみんなの元へ駆け出してしまうのです。
学校に着いたハリーが見たのは、想像とは全く違う光景でした。
皆んな普通の日常を過ごしていたのです。
ハリーにとってそれは、「自分が居なくても何も変わらない」ということであり、死んだらそれで終わりだと思い知らされました。
信じられないハリーはさらに学校の中に入っていき、クラスメイトに会います。
誰にも声が届かないと分かっていながらも、話しかけずにはいられません。
先生・親友・好きだった子…誰もハリーには気づかずに授業を受けています。
自分の机を見ると知らない生徒が座っていて、自分の好きな子と仲良く話しているではないですか。
そこに花などは飾られていません。
愕然とするハリー。
やり場の無い悲しみが襲い、「なぜ僕は死んでしまったんだろう」と悔しさでいっぱいになります。
皆んな僕を忘れてしまったのではと思ったとき、後ろの壁を見たハリーの目に涙が込み上げてきました。
「皆んなありがとう…」
やり残したこと
死者の国に戻る時間が迫っていましたが、まだやり残したことがあると言いアーサーを見送ります。
ひとり生者の国に残り自分の家へ向かうハリー。
『やり残したこと』、それは姉のエギーと喧嘩をして酷いことを言い残してしまったことです。
家に入ると今にも死にそうな家族の姿がありました。
顔はやつれており、普段の楽しげな雰囲気は少しもありません。
「ハリー…」そうか細く口にするお母さんに近づき、話しかけます。
こんなに辛そうにする家族の姿は、とても見てはいられませんでした。
今のハリーには「大丈夫だよ」と声をかけることも、強く抱きしめることもできません。
姉のエギーが自分の部屋に戻ったのでついていきました。
沢山喧嘩をしてきた二人ですが、今まで見たことのないくらい落ち込んでいる姉の姿があります。
もう一度話がしたい…自分の思いを、本当は謝りたい気持ちを、ハリーは伝えることができるのでしょうか。
『青空のむこう』を読んだ感想
この作品の表紙は、少年が大空に向かって飛び降りているように描かれています。
それはまるで自由な世界に飛び込むようなイメージを受けますが、本当は二度と戻ることができない世界に心を縛られた少年が描かれてると感じました。
私は作品を読んだ後、家族や友人を無性に大切にしたくなり、自分が過去に行ってきたことや発言を振り返って、「次の日一生会えなくなったらどうしていたのだろう?」と考えます。
言葉は目に見えませんが、発したことは事実であり、絶対に誰かの心に残るでしょう。
コンピューターのデータのようには削除できないのです。
重く考えすぎだと感じる人もいるかもしれません。
ですが私は思うのです。
一度きりの人生、もっと深く考えようと。
主人公のように、後悔が残ったままにならないことを祈っています。
心情の表現
この作品では少年ハリーの視点で物語が進んでいきます。
なので主にハリーの思っていることや感じていることが書かれていますが、心情の表現がすごく分かりやすく、共感しやすいです。
「悲しかった」や「苦しかった」などの感情表現が、『なぜ・どのように・どのくらい』感じているかがこと細かに書かれています。
日常的に分かりやすい例えを出し、読者がハリーと同じ気持ちを感じることができるでしょう。
ハリー以外の登場人物の心情も、ハリーなりの捉え方で砕いて書かれており、すごくリアルで好きです。
人間味
この作品の良いところは、決して正義の押し売りではなく、人間の汚い部分も書きながらメッセージを伝えられているところです。
大抵の人は『言ってはならないこと・やってはいけないこと』がある程度区別ができると思います。
ですがそれを「やめましょう」と伝えるだけのものでは、何も響きはしません。
分かってはいるけど言ってしまうような人は多いでしょう。
この作品では、実際に言ってしまい取り返しのつかないことになった未来を書いているのです。
お話はフィクションでも、現実に起こりうる可能性を身近に感じさせてくれます。
キャラクター
主人公のハリーはとても陽気なお調子者で、死んでしまってからも誰かと喋っているかのように思っていることを口にします。
哀しいような表現だけでなく、ハリーがする例え話や会話がとても愛らしいです。
アーサーや他の人物もそれぞれ全く異なる性格で、ハリーとアーサーの温度差が面白くて「ふっ」と笑ってしまうかもしれませんね。
『青空のむこう』はどんな人におすすめ?
この作品は、時間があるときにゆっくり落ち着いて読むのがおすすめです。
主人公と自分が一体となった感覚で読めるので、感情移入が苦手な人でも読みやすくなっています。
自分の人生を振り返りながら読むのもいいかもしれません。
特におすすめな人は…
- 人間関係で悩んでいる人
- 感動したい人
- ファンタジーが好きな人
読むときはティッシュやハンカチの用意をおすすめします!
おわりに
皆んなそれぞれ苦手な人や馬が合わない人がいるでしょう。
悪いことではありません、違って当たり前です。
ではそれを受け入れる余裕はありますか?
受け入れようと考えたことはありますか?
突然一生会えなくなったら…そう思うと寛容になれる気がします。
なんでも受け入れる必要はありません。
ですがただひとつ。
後悔しない生き方をしてください。
そう考えるのが難しいのなら、この作品をぜひ読んでみてほしいです。
著:アレックス・シアラー, 翻訳:金原瑞人
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