監禁・幽閉されてしまったアレックスという名の女性。
彼女を救出するために警察は動き出します。
しかし、熟練の刑事は被害者であるアレックスに違和感を覚えるのでした。
監禁場所からの脱出劇、それすらもこの小説の序章に過ぎません。
アレックスという女性と事件を追う刑事たち、2つの視点から交互に物語は描かれていきます。
そして物語の中でいったい誰が何のために、何をしていたのかは、この小説を最後まで読み解かなければ理解することはできないのです。
ミステリー小説として斬新な構成に、きっと途中からの展開には続きが気になって読む手が止まらなくなることでしょう。
著:ピエール・ルメートル, 翻訳:橘明美
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『その女アレックス』の概要
出典:Amazon公式サイト
タイトル | その女アレックス |
著者 | ピエール・ルメートル |
出版社 | 文春文庫 |
出版日 | 2014年9月2日 |
ジャンル | ミステリー |
女性の監禁という1つの事件を皮切りに次々と起こる事件と、深まる謎。
- どうしてアレックスは狙われたのか
- アレックスの過去に起きたこととは
- 刑事の抱える悲しい記憶と後悔
- 個性豊かな登場人物たち
様々な要素が複雑に絡まり合い、物語は衝撃の展開になだれ込んでいきます。
『その女アレックス』のあらすじ
物語の舞台はフランス。
ショッピングを楽しんだ後、アレックスは帰り道で見覚えのない男につけられます。
1度は撒いたかと思いましたが、不意を突かれ、アレックスは男のバンに連れ込まれ、そのまま拉致・監禁されてしまいます。
しかしこの事件は、全ての始まりに過ぎないのでした。
監禁場所からの脱出劇
アレックスは狭い檻の中に幽閉され、徐々に衰弱していきます。
「お前が死ぬのを見たい」
犯人の男はそのようなことを言い、アレックスを監視します。
一方で警察も誘拐事件の通報を受けて動き出しますが、ベテラン刑事のカミーユは被害者のアレックスにも違和感を覚えます。
- なぜ職場や家族から捜索依頼が出ないのか
- なぜ被害者が警察へ助けを求めてこないのか
- なぜ犯人から身代金の要求などがないのか
誘拐事件で過去に妻を亡くしているカミーユは、捜査への参加に乗り気になれないまま、深まっていく謎に立ち向かっていくことになります。
次々と起こる猟奇的な事件
アレックスが檻の中に監禁された事件は衝撃的な展開を迎え、そこから次々と猟奇的な連続殺人事件が始まっていきます。
カミーユをはじめとする個性豊かな警察関係者たちも、事件の連鎖を止めるために犯人を追いかけていくのでした。
衝撃の真実と怒涛の結末
この物語は二つの視点から交互に描かれていきますが、最後まで読み切らなければアレックスがどんな人物だったのかはわかりません。
- アレックスが監禁された理由
- 連続殺人事件の目的
- 刑事が目の当たりにする結末
読者は決定的な場面を目撃しているはずなのに、どうしてその場面が繰り広げられているのかがわからない。
読めば読むほどに深まっていく謎と最後に明かされる真実に、予想を裏切られること間違いなしです。
『その女アレックス』を読んだ感想
はじめは普通のミステリー小説のように読み始めるのですが、読んでいくほどに謎が深まっていき、気が付くと続きが知りたくて仕方なくなっていく。
この小説はミステリー小説の常識の枠から外れた大胆な構成で、きっと読者を夢中にさせてくれるはずです。
絡まり合う2つの視点
最初に拉致されて被害者となるアレックスと、その事件を追うことになるカミーユたち刑事。
この物語は2つの視点から語られていきます。
事件の最先端にいる者と、それを止めようと追い掛ける者。
その交差地点の意外性もまた、この作品の強い魅力です。
悲しい過去と現在進行形の犯罪
事件の当事者となるアレックスはもちろんですが、それを追っていく刑事のカミーユにも悲惨な過去があり、心の傷を抱えながらも目の前で巻き起こる事件に向き合っていきます。
過去の犯罪と現在進行形での犯罪。
全ての内容が明かされ、それが1つに終結するとき、やっと事件の全貌が読者の前に広がるのです。
伏線の張り方と回収の鮮やかさ
ミステリー小説として、事件の伏線が張られる場面と張られた伏線を回収していく場面とがあるわけですが、この小説ではそれが斬新で鮮やかな手法で行われていきます。
思わぬところで過去に起こったことがピタリと繋がったり、予想を裏切る形で事件が終幕に向かったりします。
推理小説に慣れ親しんだ人にこそ、その技巧の妙を味わって頂きたいです。
『その女アレックス』はどんな人におすすめ?
「その女アレックス」はイギリス推理作家協会賞を受賞した名作です。
- 普通の推理小説に飽きた人
- サイコミステリーが好きな人
- 刺激的な小説が読みたい人
あっと驚く展開に翻弄されるまま、ページをめくる手を止められなくなるままに、ぜひとも最後まで読み切って頂きたいです。
おわりに
「その女アレックス」はミステリー小説として新鮮な驚きを読者に与えてくれますが、この小説の魅力はそこだけではありません。
登場人物たちの個性や関係性にも、驚かされたり、にやりとさせられたりします。
- 裕福だが好奇心旺盛で勉強家の部下、ルイ・マリアーニ
- 重度の倹約家で働き者の部下、アルマン
- 大柄で部下たちへの理解が深い切れ者の上司、ジャン・ル・グエン
カミーユの周囲には優秀ながらもクセのあるメンバーが揃っています。
事件では残酷でグロテスクな描写もありながら、ところどころでユーモアのある表現を使って読者を楽しませ、予想できない怒涛の展開で物語の中へと引き込んでいく1冊です。
著:ピエール・ルメートル, 翻訳:橘明美
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