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『神さまの貨物』感想|残虐な戦争に決して屈しない人を愛するという希望

本の表紙に描かれた、線路の前にたたずむ女性。

神さまからの貨物と聞いて何を思い浮かべるでしょうか?

この小説は簡単なことばと、文章で書かれています。

可愛らしい装丁は思わず手に取ってみたくなる一冊ではないでしょうか。

そこには作者の、子供から大人まで多くの人に読んでほしいという、願いと覚悟が込められているのでした。

わずか一時間ほどで読み終えることができる物語です。

けれど、著者から読者に伝えられる、力強いメッセージに、魂を揺さぶられる読書経験となるのではないでしょうか。

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『神さまの貨物』の概要

出典:Amazon公式サイト

タイトル神さまの貨物
著者ジャン=クロード・グランベール
出版社ポプラ社
出版日2020年10月7日
ジャンルフランス文学
  • 著者は、1939年パリに生まれた劇作家であり児童文学作家。
  • フランス演劇界で最も権威があるモリエール賞を6度受賞。
  • 映画ではセザール賞で最優秀脚本賞を受賞。
  • 2021年『神さまの貨物』が、本屋大賞翻訳小説部門第2位を受賞。
  • 星の王子さま』の訳を手がける、河野万里子による翻訳。

童話のような短い物語には、第二次世界大戦中に起こった、ユダヤ人迫害という史実が込められています。

『神さまの貨物』のあらすじ

世界大戦が巻き起こる時代。

ユダヤ人で双子の赤ん坊をもつ父親は、医者を目指していましたが、強制労働で床屋にされ、髪の毛を来る日も来る日も刈り続ける毎日。

しかし、とうとう列車で家族とともに収容所へと連れていかれます。

双子のうちどちらか一人でもいいから助けたいという一心で、列車の窓から雪の上に赤ん坊を放り投げるのでした。

神さまからの贈り物 

森に住む貧しい木こりのおかみさんは、子供が無く、神さまに「子を授けてください」と日々祈っていました。

戦争で森に線路が敷かれ、その上を走る列車に憧れを抱くおかみさん。

ある日、何か施しが受け取れないかと列車に近づくと、列車の小さな窓から現れた手が、雪の上に向かって包みを放り投げたのでした。

その包みには、おかみさんがずっと願っていた、赤ん坊がくるまれているではありませんか。

おかみさんは、赤ん坊を「神さまからの贈り物」と信じ大切に育てるのでした。

木こりの変化

おかみさんは乳が出ず、赤ん坊に与える乳を探して森をさまよいます。

そしてヤギの乳をもつ、顔のつぶれた男に助けを求めるのでした。

少しずつ成長する赤ん坊ですが、木こりの男は、ユダヤ人の子は人でなしで悪魔の子として嫌います。

そんな木こりの男におかみさんは言うのでした。

「人でなしも、人よ。人でなしにも、心臓がある。心がある。おまえさんやわたしと同じように」『神さまの貨物』76ページより引用

やがて徐々に愛情が芽生える木こりの男と、おかみさんにとって赤ん坊は大きな喜びとなるのでした。

犠牲と希望 

しかし、おかみさんときこりの男、そして赤ん坊の幸せな日々は長くは続きません。

民兵が、赤ん坊の噂を聞きつけやってくるのでした。

赤ん坊を守るおかみさんは、必死で走って深い森に逃げこみ、顔のつぶれた男のもとへたどり着きます。

月日は流れ、ユダヤ人の父もなんとか戦争を生き延びます。

かつて列車から放り投げた自分の娘は、果たして生きているのだろうかと、捜しに森へと向かうのでした。

『神さまの貨物』を読んだ感想

人間の弱さから生まれてしまう戦争。

そんな恐怖に立ち向かえるとすれば、それは人を愛する力なのだとこの物語は教えてくれます。

愛の力はすべてに打ち勝つ 

おかみさんが、神さまから授かったと信じ育てる赤ん坊に対する愛。

そして、双子をもつユダヤ人の父親が、子を守る愛が尊いです。

世界大戦中という悲惨な状況下でも、自らを犠牲にしたとしても、我が子を守る「無償の愛」の強さ。

そんな悲惨な状況を救う唯一の希望は、愛する力だと信じたいです。

おかみさんと、ユダヤ人の父親が子に注ぐ愛と同じように、人種に関係なく他人に対する愛を育むことが戦争をなくし、平和を築くのではないでしょうか。

人間はなぜ戦争を繰り返すのか? 

戦争の悲惨さがわかっているのに、なぜ戦争は無くならないのか?

もし、自分が戦争の只中にいたとしたら、どれほどの恐怖で苦しいか。

大切な人の命が奪われる戦争。

日本も過去に戦争をし、悲惨な目に遭い戦争をしないと誓った。

しかし、今、この時も世界のどこかで戦争は起きています。

少しの想像力があればわかるはずなのに。

お金や権力、繫栄のためなのか。

戦争と平和について考えさせられます。

もうそろそろ世界は一つになれないのか?と。

作者が物語に込めた思いを受け取る 

この小説はおとぎ話のような語り口ですが、遠くはない過去に起きたであろう世界大戦の悲惨さを想像せずにはいられません。

そして物語の終わり、エピローグで作者が伝える、たった一つの力強いメッセージに胸を打たれます。

さらに巻末にある「覚え書き ほんとうの歴史を知るために」と題された文章を読むと、重い歴史の事実に心が激しく揺さぶられます。

短い物語ですが、作者の見事な構成力で読後は様々な感情が溢れるでしょう。

『神さまの貨物』はどんな人におすすめ?

『神さまの貨物』はこんな人に読んでほしい小説です。

  • 魂が震える読書がしたい人
  • 戦争と平和について考えたい人 
  • 子供から大人まですべての人 

あまり本を読んだことがない人にも読みやすく、また本をたくさん読んできた人にはもちろん、老若男女を問わず人類必読の書です。

読んだ感想を共有し、みんなで話し合うことが、平和に近づくためにできる大きな一歩だと思います。

おわりに|歴史の事実を胸に刻み悲劇を繰り返さないために

大切な人と同じように他人を愛することは、なかなかできることではありません。

争いが起きるのは他人を思いやる気持ちが欠け、少しずつ他人との距離が大きくなり、結果、戦争という恐ろしい結末に繋がるのだと感じます。

けれどこの小説を読んだあとは、人と争わずに愛情をもって生きようと思う自分がいます。

誰に対しても愛情をもって接することができるように、同じ過ちを二度と起こさないために、生涯にわたって繰り返し読み続けたい一冊です。

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