子供に読み聞かせをする子供用の絵本のほかに、大人が読む用に書かれている少し難しかったり感動できたりする大人用の絵本があるのを知っていますか?
大人向けの絵本の中には、子供の頃とは違い直接的な表現がなくても察することができる大人だから読める不思議な話の絵本もあります。
今回紹介するのはそんな大人向けの絵本を描いている世界的なカルト・アーティストであるエドワード・ゴーリーの絵本です。
著:エドワード ゴーリー, 原著:Gorey,Edward, 翻訳:元幸, 柴田
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『うろんな客』の概要
出典:Amazon公式サイト
タイトル | うろんな客 |
著者 | エドワード・ゴーリー |
出版社 | 河出書房新社 |
出版日 | 2000年11月1日 |
ジャンル | ファンタジーフィクション |
『うろんな客』は世界的にカルト的な人気がある絵本作家である、エドワード・ゴーリーによる大人向けの絵本です。
エドワード・ゴーリーの初期作品の一つで代表作の一つとしても挙げられています。
その中でも『うろんな客』は人気が高く、『うろんな客』に出てくる謎の生物はエドワード・ゴーリーの作品の中で一番人気なキャラクターとされていて1974年にはぬいぐるみが発売されるほどの人気でした。
『うろんな客』のあらすじ
ある風が強い冬の夜、こんな日にお客さんは来ないはずなのにベルが鳴りました。
外に出てみるが人影がありません。
お父さんとお母さんが外に出ていてそれを扉の隙間から子供が見ているという絵とともにこの文が載せられており、混乱した表情がよくわかります。
突然の訪問者
ふと外にある壺の上を見てみると何か立っています。
カギ鼻頭の奇妙な姿に一家全員びっくりしました。
カギ鼻頭というのは鼻柱がカギのように鋭く尖った鼻のことで、わしばなとも言います。
ヘンテコな奴の奇妙な行動
不意に壺から飛び降りて廊下に走っていったと思ったら、壁に鼻をつけて直立不動しています。
何を言っても聞く耳を持たず喉も枯れてきたので仕方なしに一家は眠りにつくことにしました。
夜が明けて朝がくれば朝ごはんの席に一緒に座ってパンにお皿まで多量に飲食をします。
次に新しい蓄音機からラッパを取るので返してもらおうと、なだめても脅かしてもまるで聞く耳を持ちません。
ある日は、つれづれに煙突をのぞき見して白い靴の底を剥いては一人満足げにしていたり
本棚から本を持ち出して破り取ったり、壁の絵を曲げたりしながら家の中を巡回してみたり
ある日曜日は暗い表情で床に横たわったりして居間へと続く扉の交通妨害したりしています。
数時間後やっと扉の前からいなくなったと思ったら食材を入れる鉢の中から突然現れたりします。
そういったことをしていたと思ったら急に怒りだしてお風呂のタオルを全部隠したりもしてきます。
夜ふけになると屋敷の中をさまよっていると思っていたら、寝ぼけていたり。
気に入ったものを密かに持ち去って池に入れて保管していたりしていました。
ヘンテコな奴がやってきて…
ーーーというような奴がやってきたのが17年前のことで、今日に至っても一向にいなくなる気配がありません。
というように家族は何故か、その謎の生物を追い出すことはせず今もまだ好き勝手やっているという絵で締め括られています。
『うろんな客』を読んだ感想
この絵本は私が20歳の誕生日に初めて自分で買った絵本でした。
エドワード・ゴーリーの絵本はダークな雰囲気で道徳性や倫理観を無視した絵本というのは初めてみたので、怖い物好きな当時高校生の私は気にはなっていました。
しかし、絵本というのは学生にとっては少し高い値段設定なので20歳の誕生日という記念日を気に思い切って買うことにしました。
数ある絵本の中からエドワード・ゴーリーの絵本の『うろんな客』を選んだ理由を感想をふまえご紹介します。
アメリカンレトロ調なイラスト
まず目を引いたのが表紙の黄色背景に黒いペンで描いてある様な繊細で可愛いイラストです。
作者のエドワード・ゴーリーはアメリカ出身ということもありレトロなアメリカ調を感じる線の多い細かな絵をしています。
書店の絵本コーナーにあると派手なのに何処か大人っぽい表紙に魅了されてしまいました。
もちろん内容もとても面白いのですが絵本ということもあり絵の面積がとても多いので絵も大切です。
可愛いお客さん
まず、この絵本は冒頭に『アリソン・ビショップに』と書いてあります。
アリソンとはゴーリーの大学以来の友人である女性作家であるアリソン・ルーリーのことで、本作はゴーリーがルーリーに捧げた作品とされています。
ビショップとはルーリーが結婚していた時期に使っていた姓です。
ルーリーは本作の追記文で、
ゴーリーはルーリーの「子供を産もう」というゴーリーにとって到底理解ができない決断へのコメントなのではないかと語っていました。
家族の中に勝手に入り込み、さまざまな迷惑行為を繰り返しているにもかかわらず家族はこれを家から追い出そうとはしない。
このことからこの謎の生物の正体は子供なのではないかとルーリーは解釈したのです。
この解釈は一読者であるルーリーの考察に過ぎないのですが、私はこの解釈が大好きで子供だと思うとこのお客さんの行動も可愛く見えてきます。
年齢によって感じ方が違う
この絵本は、20歳に買った本ですが年々歳をとるごとに感じ方が変わってくると思っています。
初めて読んだ時はうろんな客は少し不気味に感じていたのですが、子供の比喩という解釈を見てからもう一度見てみると可愛く見えるので不思議です。
キャラクターは喋らないのですが何故が絵を見ていると何を言いたいのかわかる気がしできますし、表情が豊かなので見ていてたのしいです。
最近は姪っ子が生まれたこともあり、少し似ているなと少し微笑ましい気持ちになりながら読んでいます。
もう少しおおきくなって絵本を見れるようになったら一緒にに読みたいなと思っています。
『うろんな客』はどんな人におすすめ?
この絵本をおすすめしたい人は、こんな人です。
子供向けではないので少し文章がむずいですが、子供も大人も楽しめる面白い絵本となっています。
お友達と一緒に読んだり、お子さんと一緒に読んでもいいかもしれませんね。
私が姪っ子と重ねて読んでしまうように、お子さんがいる家庭でご夫婦で読んでみたら会話も弾んで笑顔で溢れると思います。
家族の話題作りにいかがでしょうか。
おわりに|『うろんな客』は子供の愛らしさを教えてくれる。
この絵本は子供の頃から猫好きで、
軍隊にいた時以外は生涯独身で猫と共にくらしたといわれている人間があまり好きではない
エドワード・ゴーリー氏が描いたこともあり可愛さの中に皮肉的な内容もあるユーモアに富んだ絵本だとわたしは思っています。
子供の頃読んでもらった絵本の中で今でも好きな話がある人もいるのではないでしょうか?
絵本というのは読んでいるだけで子供に戻った気ができるアイテムです。
夜眠る前に部屋を暗くして照明を手元にだけのものに切り替えたらこの絵本を開いてみましょう。
張り詰めた神経をほぐしてリラックスさせてくれますよ。
著:エドワード ゴーリー, 原著:Gorey,Edward, 翻訳:元幸, 柴田
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