『羊と鋼の森』で第13回本屋大賞を受賞した宮下奈都さんのエッセイ集です。
作者が実際に家族全員で北海道のトムラウシに移住して体験した貴重なエピソードの数々が宮下さんによりほっこりと伝わってきます。
トムラウシという地名は耳にしたことない人のほうが多いのではないでしょうか。
北海道の真ん中に位置する大雪山国立公園にあり、スーパー・コンビニなんて徒歩では行けないような場所です。
そんな大自然あふれる場所で暮らす人々と宮下一家との交流を通してとても心が温かくなる物語をご紹介していきます。
著:奈都, 宮下
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『神さまたちの遊ぶ庭』の概要
出典:Amazon公式サイト
タイトル | 神さまたちの遊ぶ庭 |
著者 | 宮下奈都 |
出版社 | 光文社 |
出版日 | 2015年1月16日 |
ジャンル | エッセイ |
『神さまたちの遊ぶ庭』は作者である宮下奈都さんの実体験に基づいたエッセイ集です。
ある年のお正月に宮下さんの旦那さんは突如北海道で暮らすことを提案しました。
そして北海道といっても札幌や小樽や旭川というようなよく耳にする都市ではなく、なんと大雪山国立公園内にある『トムラウシ』という集落でした。
そこから始まる宮下一家の北海道生活が、面白くもあり感動もありのほっこりストーリーで楽しめる1冊となっています。
『神さまたちの遊ぶ庭』のあらすじ
それでは、早速あらすじをご紹介していきます。
登場人物は作者である宮下奈都さん、宮下さんの旦那さん、宮下さんの3人のお子さん、それとトムラウシに住む人々です。
旦那さんからの北海道行きの提案に当初戸惑っていた宮下さんでした。
そんな宮下さんとは反対に3人の子供たちは、北海道行きにあっさり賛成したのです。
そんなことから決まったトムラウシでの生活はどんなものだったのでしょうか。
カムイミンタラに行く決心
カムイミンタラという言葉をご存じでしょうか?
アイヌの言葉で『神々の遊ぶ庭』という意味です。
トムラウシはカムイミンタラと言われることもあるそうで、とても綺麗な場所として知られています。
北海道行きをためらう宮下さんに対して、どうしてもトムラウシで暮らしたい旦那さんは『カムイミンタラだよ』と一言。
神々が遊ぶ庭と言われるいくら綺麗な場所なら一度は言ってみたい気もしますが、生活するとなるとやはり躊躇しない人はいません。
そんな宮下さんに北海道での生活を決意させたのはなんと3人のお子さんたち。
宮下さんには当時9歳、12歳、14歳の子どもたちがいました。
長男は高校を受験を控えていて、学校の先生には絶句されてしまいます。
でも3人のお子さんたちは北海道行きに賛成し、旦那さんの希望がついに叶うことになり、カムイミンタラで生活することになったのです。
山村留学での1年間中
子どもたちの春休みに合わせてついにトムラウシに引っ越しました。
トムラウシでの家はなんと診療所として使われてきた建物を改築し、何組もの家族が山村留学のために暮らしてきたので年季の入った建物。
トムラウシには山村留学で来ている家族か何組かいて、中には延長して数年間いる家族もいるのです。
この作品を読めば、魅力いっぱいのトムラウシで宮下一家が過ごす春夏秋冬を一緒に過ごした気分になれるでしょう。
あっという間の出発式
当初の約束通りトムラウシでの生活は1年間で終わりを迎えることになりました。
福井県に帰る当日はトムラウシの人々が出発式を開いてくれたのです。
トムラウシの村の人々や小中学校の生徒、先生、そのご家族など地域の人全員に見送られる宮下一家。
あっという間の1年で、また絶対に戻ってくると誓いトムラウシを出発するのでした。
『神さまたちの遊ぶ庭』を読んだ感想
トムラウシという場所はこの作品で初めて知る地名でした。
ほとんど東京でしか暮らしたことのない私には作品の中で出てくるエピソードは驚きの連続です。
濃密な人間関係は憧れます
この作品を読んで、宮下さんがトムラウシで過ごした1年間でとても濃密な人間関係を築かれたのだなと強く感じました。
都会での生活では隣で生活する人の顔を見たこともないことも多いと思います。
トムラウシでは、村の人の顔と名前が全部一致していてどんな人なのか把握しているほど。
煩雑と感じるほどの濃密な人間関係が読むにつれてうらやましくなる方もいるのではないでしょうか。
トムラウシでの日常は衝撃的
エッセイの最初から最後まで、トムラウシでの日常は都会での生活とはかけ離れているものばかり。
少し前までは携帯電話の電波も入らなかったそうです。
生活する家は診療所を改装した建物であったり、小学校中学校は併設で1学年1人なんてことも普通なのです。
野生動物と遭遇することもしばしばあり、私が子供の頃に山村留学していたら衝撃が大き過ぎて慣れるまでに1年以上かかるでしょう。
宮下さんならではのほっこりエピソード
普通の人ならいきなりトムラウシで暮らそうなんて思いません。
このエッセイでは、宮下さんならではの視点で大変で状況であってもとてもほっこりとあたたかくなる気持ちで綴られているんです。
特に3人のお子さんたちの学校でのエピソードなどがとても面白く思わず声を出して笑ってしまいました。
『神さまたちの遊ぶ庭』はどんな人におすすめ?
『神さまたちの遊ぶ庭』は小説ではないので、気軽に読みやすい作品だと思います。
どなたでも楽しめる作品ですが、おすすめするなら次のような方です。
- 日常生活から離れて楽しみたい
- ほっこりした気分になりたい
- 移住生活に興味がある
都会の生活とは全く違うトムラウシの生活に触れることができて、忙しい日常から少し離れて温かい気持ちになれるでしょう。
最近はリモートワークが活用され必ずしも都会にいなくても仕事ができるようになりましたね。
移住生活に興味がある方はこの作品が参考になることもあるのではないでしょうか。
おわりに|都会の生活から少し離れて疑似山村留学を楽しんでみては?
宮下さんの作品は、本屋大賞を受賞した『羊と鋼の森』ではじめて読み、なんて心が温かくなる作品を書く作家さんなんだろうと思いました。
再び宮下さんの作品を読みたいと思い、表紙が素敵だなと思って手に取ったのはこの『神さまたちの遊ぶ庭』でした。
表紙が素敵だからという理由で読み始めたこの作品ですが、1年間のトムラウシの生活はとても面白くあっという間にページが進む作品です。
この作品を読んでぜひ疑似山村留学を楽しんでください。
著:奈都, 宮下
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