国内小説– category –
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『白鳥とコウモリ』感想|真実を追い求めた先に救いはあるか罪と罰の物語
罪を犯した者は、罰を背負って生きることになります。 しかし、罪とはいったい何なのでしょうか。 そして罪に対する罰とは。 世の中には様々な罪があり、罪に軽い重いといった基準があるのか? そして罪を裁くのは誰か。 そこに救いはあるのか。 この小説... -
『きらきらひかる』感想|異質なふたりはただ純粋に恋をし愛を求める
純愛とは、ひたむきな愛のことを言うそうです。 それの定義は人によって異なるとは思いますが、辞書の言う通りだとすればこの物語は紛れもなく純愛小説でしょう。 痛々しいくらいの純度をもって他人を愛し、信じ、そうして暮らしていく。 どこにでもいるご... -
『放課後の音符』感想|女の子であり女である。17歳の彼女たちの恋愛模様
高校生の彼女たちは、ただ純粋なだけじゃない。 ときには男性たちと一緒にベッドに入る。 大人のような、子供のような、そんな彼女たちの情熱がていねいに綴られていて、読んでいると彼女たちの秘密の恋話にまぜてもらっているみたいです。 【『放課後の音... -
『QJKJQ』感想|殺人という絆で結ばれた家族の末路とは
17歳の少女の家には、”専用の部屋”があった。 家族はその部屋で、日々殺人を行っていました。 それぞれのスタイルを持って日々繰り返されるそれは、人には受け入れられなくとも少女の日常の光景でした。 それが少女の家族の形であり、絆だったのです。 し... -
『希望の国のエクソダス』感想|未来予知のような日本社会の描き方
本書は2000年に出版された作品ですが、そのテーマは現代日本の社会でも十分通用するものばかりです。 教育問題ネットビジネス不登校オンラインでのコミュニケーション 日本という国の現在について、そして未来について。 当時は近未来として描かれた数々の... -
『天啓の殺意』感想|まさに「魚の目に水見えず人の目に空見えず」な本格的推理小説
今回は、叙述的トリックを得意とされた推理小説家・中町信の作品を紹介したいと思います。 皆さん、小説家・中町信はご存じでしょうか? 実は2009年に、79歳でお亡くなった、今は亡き推理小説家です。 中町信は、1935年生まれの群馬県出身。 早稲田大学... -
『君に舞い降りる白』感想|水晶のごとく透き通った想いが躍動する青春
青春。 この言葉を聞いて、今の自分とは程遠い、または縁がない言葉だと感じますか。 そのように断じてしまうのはもったいないです。 この物語には、ストレートで純粋で、不純なものを知らない透き通った青春が描かれています。 舞台は小さな鉱石店。 心に... -
『みがわり』感想|私は知りたい、その家族のある秘密を
主人公はほぼ無名の新人作家。 執筆活動がうまく進まず不毛な日々を送っていた彼女の前に、突然自分のファンだと名乗る女性が現れます。 その女性は主人公を見て、なぜか涙を流すのでした。 その後、女性の家に招かれ奇妙な依頼を受けることになり・・・。... -
『娘の結婚』感想|忘れてしまった大切なものを小路幸也は父娘の絆で書く
柔らかい雰囲気で描かれた表紙の男女と、簡潔なタイトル。 そのふたつを見てだいたいの人は「親から見た子供の結婚の話だろう」とわかることでしょう。 本作は人間模様の描写や心象描写がとても繊細で、子を送り出す親にも家を出ていく子の立場にもなった... -
『カフーを待ちわびて』感想|差出人不明の手紙が運んだ愛
「私をあなたのお嫁さんにしてください。」 沖縄の島に住む明青(あきお)の元に届いた差出人不明の一通の手紙。 それは以前、明青が神社で絵馬に書いた 「嫁に来ないか。幸せにします。」 の言葉がきっかけでした。 差出人は? 手紙の意図は? 沖縄の小さ...