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『天啓の殺意』感想|まさに「魚の目に水見えず人の目に空見えず」な本格的推理小説

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今回は、叙述的トリックを得意とされた推理小説家・中町信の作品を紹介したいと思います。

皆さん、小説家・中町信はご存じでしょうか? 

実は2009年に、79歳でお亡くなった、今は亡き推理小説家です。

中町信は、1935年生まれの群馬県出身。

早稲田大学文学部を卒業後、会社勤めをしながら執筆活動を長らくされていたようです。

デビュー作は、1967年『偽りの群像』で、昭和41年(1966年)に『闇の顔』で第1回双葉推理賞候補になりますが、それ以降いくつかの賞の最終候補となります。

1969年『急行しろやま』で第4回双葉推理賞を受賞。

1972年『新人賞殺人事件』(のちの『模倣の殺意』に改題)で単行本デビューという、長い人生で作家としては少し苦労されたという印象があります。

しかし、いくつもの賞の最終候補に挙がるだけあり、お亡くなりになった今なお、色褪せず、推理小説としての本格的な技巧を身につけた作家であると評価されています。

今回は、殺意シリーズの『天啓の殺意』をご紹介します。

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『天啓の殺意』の概要

出典:Amazon公式サイト

タイトル天啓の殺意
著者中町信
出版社創元推理文庫
出版日2018年9月21日
ジャンルミステリー

『天啓の殺意』は、昭和57年(1982年)に書き下ろしされた『散歩する死者』と題した長編小説が元になっています。

これを平成17年(2005年)中町信の晩年に『天啓の殺意』に改題し改稿した作品。

会社員として勤めながら執筆された『散歩する死者』を、約23年を経てから70歳のご本人が改稿した作品は、中町信の小説家として経験と、ひとりの男性としての豊富な人生経験を経てから、さらに練りに練った作品といえるでしょう。

死去される数年前に再刊された本書は、基本軸のトリックや内容が変わらないにしても、長年の小説家人生の経験、知識の力を豊富に注いだ作品といえます。

『天啓の殺意』のあらすじ

落ちこぼれた作家・柳生照彦から持ち込まれた犯人当てリレー小説の企画を、編集者・花積明日子に提案します。

柳生の問題編に対して、タレント作家の尾道由起子に解決編を書き、そして柳生自身が解決編をのせる、作家同士の知恵比べをしようという企画でした。

しかし、柳生が書いた内容は半年前に起きた実在した事件を赤裸々に書き綴られたものだったのです。

そして、問題編を尾道由起子に渡したまま、柳生は失踪。

作中、順調に見えた力くらべ企画が出題者の柳生の失踪により、事件はとんでもない方向へと導かれます。

騙されていたのは読者自身であったことを、最後になって気づかされる、まさに叙述的トリックを活かした本格的ミステリー小説です。

柳生照彦が書いた問題編「湖に死者たちの歌が―」の真相

本書で謎を解く探偵役というのは、『推理世界』編集者の花積明日子と思いました。

なぜなら、物語は花積明日子の視点で動き出し、彼女の行動により、柳生の失踪や柳生が残した問題編の小説の真相を解き明かされていくからです。

本書のはじまりは、花積明日子が柳生からリレー小説の企画を受ける場面からはじまります。

柳生は、この企画の回答編をタレント作家の尾道由起子を指名。

なぜ、尾道由起子を指名したのか、その理由は知らぬまま、花積明日子は、電話で尾道へ企画のオファーします。

最初は乗り気だった尾道由起子でしたが、自分を指名したのが柳生照彦であることを知り、態度が急に不穏な雰囲気に変わったことに花積明日子は気づきます。

なぜ尾道由起子はあんな態度をとったのか気になりつつも、尾道はその時点ではまだ受けるかどうか返事をしませんでしたが、柳生が残した問題編をとりあえず読んでもらうことに。

しかし、花積は、柳生が執筆した問題編「湖に死者たちの歌が―」と題した小説の内容に違和感を感じていました。

そして、ある時、その柳生が書いた小説の内容が、半年前福島県で起きた実在した事件だったことを思い出します。

そこから、花積明日子が探偵役となり、事件の関係者や現場へ赴いたり、なぜ柳生が尾道由起子を指名したのか、その理由と事件の真相を探っていくことになります。

探偵役の追及

花積明日子は、32歳という年齢のわりには、言葉遣いがとても丁寧で、キャリアウーマン、快活な女性といった印象を受けました。

柳生が書いた小説が実際にあった事件であることを知り、その事件を調べ始めます。

それは、半年前福島県の猪苗代湖岬で、絞殺された女性の遺体が発見されたという事件。

被害者は神永朝江(32)であることを知ります。

柳生がなぜこの事件を問題編として書いたのか、尾道由起子を探偵役として解決編を書いてもらいたいとわざわざ指定していること。

この事件を取り上げたことに何か意味があり、事件の真相を知っている、つまり神永朝江を殺した犯人を知っているのではないかと花積明日子は考えます。

花積明日子は独自に事件を調べはじめ、少しずつ事件の中身が浮き彫りとなりますが、神永朝江に関係する人物が次々と殺害され、しまいには、柳生までも失踪から自殺という結末に。

柳生の自殺、この連続殺人に警察も動き出します。

連続殺人へと発展したことでこの物語には警察も加わることになり、事件の全体像が別の角度から見え始めます。

警察が動き出しても、花積明日子の追及は止まりません。

事件の犯人と考えていた尾道由起子も殺害され、柳生が書いていたと思われる小説の解決編もなく、柳生の小説も、事件の真相もどんどん分からなくなる事態に。

花積明日子の追及は、果たして事件の真相に近づいていたのでしょうか。

「湖に死者たちの歌が―」がもたらした本当の真相

本書の結末をいうことはできませんが、最後の展開に衝撃を受けました。

花積明日子が神永朝江殺害で怪しいと思っていた人物は皆殺害され、終いには一体誰が犯人なんだと最後の最後まで分からない状態でした。

この物語を回していた編集者の花積明日子は、物語の終盤で交通事故に会い、入院することになります。

花積明日子を見舞いにきた人物によって、柳生が書いた「湖に死者たちの歌―」がもたらした事件の本当の真相を知ることになります。

つまり、私が探偵役だと思っていた花積明日子は探偵役ではなく、真の探偵役がいたのです。

次々の解明されていく本当の真相、そして花積明日子がこの物語で果たしていた役割を、読者は”真の探偵役”から聞かされるのです。

私は、本当の真相を知ったとき、恐怖と解明されたという爽快感を感じました。

相容れない感情たちが私の中で溢れましたが、本書の構成に巧妙に驚くしかない。

しかし、最後の数ページを読み、柳生が書いた「湖に死者たちの歌―」に隠された本当の真相を知り、そして最後の最後に残された言葉に気味悪さも感じました。

総じていうならば、本書では、登場人物一人ひとり蔑ろにはできません。

登場する人物にはこの物語で果たす役割がちゃんと与えられていることを、読み終えて改めて感じました。

真相を知るための駒は、どこに落ちているかわからない。

最初から最後まで、言葉ひとつ、気を抜くことができない。

柳生が書いた小説が花積明日子を事件へと導き、事件を動かしていたのです。

タイトルにある通り、まさに「天啓」とはこのことかと。

花積明日子同様、読者である私も上手く踊られていたというわけです。

『天啓の殺意』を読んだ感想

どんな本を読んでも、読み終えた後の”読み応え”というのがあるはず。

けれど、本書を読み終えた後の”読み応え”がない、というのが最初の感想です。

今思えば、私が作者の中町信の手の内の中にまんまと踊らされた、ということなのでしょう。

推理小説にはどこかしらに、その答えに繋がる駒が落ちてるはずと思いますが、それを拾うこともできないまま、私は素直に読み進めてしまった。

これが私が感じた「読み応えの無さ」だったのです。

中町信のトリックにまんまと乗せられて、踊らされてたと気づいた時には、この作品の巧妙なトリックに驚かされました。

中町信から我々「読者」に対する挑戦状

叙述的トリックとは何かと説明するのは簡単ですが、これを文中で仕掛けていく推理作家の巧妙さに驚かされながらも、この挑戦な姿勢が中町信という推理小説家なんだと思いました。

中町信は、本書の「あとがき」で、本書を書き上げた時のことを語っています。

あとがきには、何度も何度も修正や加筆を繰り返し出来上がったもので、修正作業中は「私は、なんて変てこりんな小説を書いてしまったのだろう、と愚にもつかない後悔を繰り返していた」と。

大変な思いをしながら書いた作品で中町信にとって思入れ深い作品であることが分かります。

それと同時に、ある意味、この本書の最終形態、完全武装した推理小説であることも意味していると思いました。

読者に簡単には解かせないトリック、スキのない作品を作り上げたともいえるでしょう。

これは、中町信から読者への挑戦状でもあるのかもしれません。

モダンな文体と雰囲気には、古典的な推理小説が土台にあった。

本書全体を通じていえることですが、「平成」というよりも「昭和」の時代を感じさせる雰囲気が感じられました。

本書が元々昭和に執筆されたこと、また中町信自身戦前生まれの人物ということも関係しているのかと思いますが、モダンな雰囲気を感じさせます。

中町信は、若い頃から古典ミステリー小説を読み漁っていたそうです。

その中で、アリバイ崩しが特徴な鮎川哲也や、数々の名作を生んだ叙述トリックを得意としたアガサ・クリスティを読んでいたようです。

こういった作者の下積みがあったから、言葉の使い方、表現の仕方にモダンな雰囲気が滲み出てくるのかもしれません。

それほど難しいわけではなく、すらすらと読み進めていけて、読者は「読めた気」にさせられる。

それが問題でもあることを、後々気付かされました。

スラスラと読ませてしまう、ストーリーの構成と言葉の使い方の技量が素晴らしい。

作者中町信が古典ミステリーを読み漁った結果が本書の作風の土台となっていることは間違いないでしょう。

魚の目に水見えず人の目に空見えず、とはこのこと。

魚の目に水見えず人の目に空見えずとは、

「水中に住んでいる魚には水が見えないし、空気中にいる人間には空気が見えない。 それと同じで、あまり身近にあるものは目に入らず、ありがたみもわからない」

という意味です。

まさに、本書を表すに適したことわざといえます。

読了後、私が、読み頭の中で描いていた物語の世界は真実でもあり、そうではなかったこと。

自分は何を見ていたのだろうと虚しくもなりました。

詐欺にあったような、いや、詐欺や嘘よりもタチが悪いといいたい気持ち。

よく考えると、文章の節々にトリックが仕掛けられていたと思うと、中町信が描くトリックの中で、読者である私自身がまんまと踊らされていたことに本当に驚かされます。

『天啓の殺意』はどんな人におすすめ?

本書は、本格的推理小説であり、初見ではなかなか読み切れない内容です。そのため、何度も読み返したくなる中毒性があります。

そこで、この『天啓の殺意』は下記のような人におすすめしたいです。

  • 古典的な推理小説が好きな人
  • 本格的なミステリーが読みたい人
  • 繰り返し読める本を探している人

中町信自身も古典的な推理小説を読み漁っていたといいます。特に、アガサ・クリスティの作品が好きな人は本書も楽しめると思います。

私も2度ほど読み返していますが、本当の真相を知っていたとしても、また一から読んで楽しめてしまうのは、読むたびに本当の真相へ近づくための新たな駒を見つけることができるからです。

これが、本格的推理小説なのかと痛感させられます。

おわり

本書について、私はことわざの「魚の目に水見えず人の目に空見えず」と表現しました。

本書の扉には、中町信が若い頃から読み漁っていた作家鮎川哲也の言葉が綴られている。

本書と作家中町信をうまくまとめた言葉でしたので、最後に紹介したいと思います。

「推理小説とは、文字どおり推理することを主体とした小説だが、ミステリー小説も拡散現象が生じて推理味の希薄な推理小説が氾濫した。中町氏は原点に戻ってすり小説を見直すべく、連続殺人と追及をテーマに凝ったテクニックを駆使し、大胆なトリックで読者の頭脳に闘いを挑んでいる。あなたが一行一行を噛みしめるようにして読み進むならば作者の挑戦を斥けることができる筈だけれど、武運拙く敗れても、胸の底には”してやられた”という快感が残る。乞い希わくは、作者が仕掛けたワナにはまらぬことを。」

これを文面を読んでいたにも関わらず、仕掛けた罠にはまった読者の一人として、私はこの本と出会い、読めたことを嬉しく思います。

これから『天啓の殺意』に挑戦される人は、ぜひ心して挑んでください。

先に読んだ私からのアドバイスとしては、”最初のシーン”をお見逃しなく。

著:中町 信
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