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『みがわり』感想|私は知りたい、その家族のある秘密を

主人公はほぼ無名の新人作家。

執筆活動がうまく進まず不毛な日々を送っていた彼女の前に、突然自分のファンだと名乗る女性が現れます。

その女性は主人公を見て、なぜか涙を流すのでした。

その後、女性の家に招かれ奇妙な依頼を受けることになり・・・。

時折感じる違和感、その家族の過去。

そしてその依頼の本当の目的とは。

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『みがわり』の概要

出典:Amazon公式サイト

タイトルみがわり
著者青山七恵
出版社幻冬舎
出版日2020年10月30日
ジャンルミステリー

主人公の前に、突然現れた女性と、奇妙な依頼。

小説家の主人公を通し、まるで自分が奇妙な体験しているかのような感覚に陥ります。

デビューから数々の賞を受賞してきた作者が描く、珠玉のミステリー。

『みがわり』のあらすじ

新人の作家、鈴木嘉子。

友人と共同で作成した絵本が発売されてから数年。

そこそこに人気のあったその作品の後からは、執筆活動が思うように進まなくなっていました。

実は鈴木嘉子というのはペンネームで、作家になりたかった祖母の名を拝借したもの。

幼少期に、祖母にいわれるまま作家になった主人公。

祖母の願い通り小説家にはなったものの、勝手に祖母の名を借り活動していることにも罪悪感を感じ続けていました。

学生時代からの友人である繭子からは、絵本は絶対に本人の名前で出版すべきだったと言われ続けます。

しかし彼女は頑なにそれを拒みました。

主人公の本当の名は、園州律。

特徴的な名前の影響で幼少期に良い思い出がないこともあり、あまり自分の名前には好意的ではなかった律。

そのため自分の名前をペンネームにすることもなかったのです。

突然現れた、ファンと名乗る女性

次なるヒット作に恵まれず釈然としない日々を送っていた律のもとに、突然サイン会の話が舞い込んできます。

そして、その席に同席したいという女性から連絡が入ったと聞きます。

その女性は律の、つまり”鈴木嘉子”の熱烈なファンだというのです。

約束の場所に訪れたのは九鬼梗子という女性。

九鬼梗子は、部屋に入るなり律を見て感極まって涙しました。

あっけにとられる律。

その時は動揺はしつつも、ただただ自分に会えた喜びで涙してくれたのだと思いその場を終えることになります。

九鬼梗子の奇妙な依頼

サイン会の翌日、前日に遭遇したあの女性から一通のメールが届きます。

その内容は返信を期待しているようなものでもなくシンプルなものだったにも関わらず、律は返信することを選びました。

すると、次のメールにはこうありました。

『先生にお願いがあるのです。できれば直接お目にかかってご相談させていただきたいのですがもし御執筆の合間にお時間があるようでしたら一度拙宅にお越しいただけないでしょうか。』

読者たっての願いに、律の足はすぐに彼女の自宅に向かいます。

訪問した律を招き入れた九鬼梗子はまたしても涙し、律を強く抱きしめ、予想外の涙の真相を語り始めます。

なんと律が、九鬼梗子の亡くなった姉百合に瓜二つだというのです。

そしてこれも何かの縁だからと、姉の人生を綴った伝記を執筆してほしいと依頼を受けます。

律は奇妙な依頼に困惑します。

しかし九鬼梗子に強く抱きしめられたあの瞬間から、逃げ出すにはもう遅すぎたのです。

百合の過去、その真実とは

強い好奇心に駆られ、依頼を受けることになった律。

たびたび九鬼家を訪れ、百合のそれまでの人生や人物像を聞くことになります。

その中で律は、時折姿を現すその家の違和感に気づくことになるのです。

自宅に保管してある、百合の身体のパーツを描いたスケッチブック。

触れてはいけないような、幼少期の作文コンクールの話題。

百合と、九鬼家の主人青磁との関係。

昔2人の世話をしていた叔母の部屋で起きたこと。

その出来事を知るパン屋の男性。

そんな中でも、執筆は続き九鬼家との関係もどんどん複雑なものになっていきました。

しかし取材をすればするほどその違和感は広がり続け、律を蝕んでいくのでした。

果たして、律は作品を完成させることができるのでしょうか。

『みがわり』を読んだ感想

本作には、律の書く小説と現実の境が分からなくなるような部分があります。

そのことで、徐々に律の思考に飲み込まれていくような感覚がしてあっという間に夢中になります。

主人公、律の心情

律は、自分が小説家であることやこれからの人生に不安を持っています。

執筆はうまくいかず、友人の繭子をたよっては煙たがられ、学生時代からの知人雪生とは体の関係を続けていました。

物語の各所で出てくるこの日常が、律の自身のなさや孤独感を感じさせています。

そんな時に現れた九鬼梗子という存在。

彼女が欲しがっていたのは紛れもなく律自身であり、その依頼もまた律でなければならないものだったのです。

誰でもない自分の存在を欲していた九鬼梗子の依頼に、律は思わず足を踏み入れてしまってのではないでしょうか。

九鬼青磁という男

九鬼家の主人である青磁。

律は青磁と出会い、だんだんと歯車を狂わせていきます。

執筆活動にも支障が出るほど青磁の存在が大きく関わってくる場面もあり、ここでも消極的な律の普段の生活とのギャップを感じます。

青磁はとても魅力的な男性ですが、物語を読み進めるにつれその身勝手さと軽率さが浮き彫りになってきます。

そして、さらに律に衝撃を与えることになる事実驚愕です。

キーパーソンとなる九鬼家の娘

九鬼家に訪れると、必ず登場するのが娘の沙羅です。

沙羅は時々、すごく鋭い部分を見せ律を驚かせます。

亡くなった叔母の百合を慕っていて、時には律に思いがけない一言をかけることも。

そもそも百合の伝記を書いてほしいと言い出したのも沙羅でした。

沙羅はとても好奇心旺盛です。

自分の知らない百合と母の過去を知りたがるあまり、母に叱られるような場面も出てきます。

この少女が、物語の中でどんな動きをするのか。

そこも興味深く、沙羅という登場人物に心惹かれました。

『みがわり』はどんな人におすすめ?

最後まで予測不可能なこの物語。

2度も3度も読み返したくなるような作品です。

『みがわり』はこんな人におすすめです。

  • 現実から離れたい人
  • じっくり考えながら読みたい人
  • 予想外の展開が好きな人

ぜひ、ゆっくりと考察しながらお読みください。

おわりに

奇妙な依頼を受けた律が、時折感じる九鬼梗子の闇。

その闇の正体はいったい。

律は小説を書き進めることで、自分に瓜二つだという百合の過去を知っていきます。

果たして、九鬼梗子の言う仲の良い姉妹は本当の姿なのか。

百合の過去を知った先にはどんな結末が待っているのか。

ほんの少しの好奇心で足を踏み入れた、律の運命はどう変わっていくのでしょう。

衝撃のラストは、再読必死です。

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