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『カフーを待ちわびて』感想|差出人不明の手紙が運んだ愛

「私をあなたのお嫁さんにしてください。」

沖縄の島に住む明青(あきお)の元に届いた差出人不明の一通の手紙。

それは以前、明青が神社で絵馬に書いた

「嫁に来ないか。幸せにします。」

の言葉がきっかけでした。

差出人は?

手紙の意図は?

沖縄の小さな島で起こる温かくもどこか儚い、ラブストーリー大賞も受賞した原田マハのデビュー作です。

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『カフーを待ちわびて』の概要

出典:Amazon公式サイト

タイトルカフーを待ちわびて
著者原田マハ
出版社宝島社
出版日2006年3月20日
ジャンル恋愛小説

本日は、お日柄もよく」や「楽園のカンヴァス」など、多くの芸術作品や時事情報を反映させて小説を世に送り出し、今では知らない人のいないほどの原田マハさんのデビュー作品は、温かくもどこか儚い恋愛小説でした。

デビュー作にしてラブストーリー大賞を受賞した、原田マハファンの中では不朽の名作。

読んだ後にはほっこりとした感覚ともに、

  • 沖縄の自然の美しさ
  • 恋の儚さ
  • 人との出会いの素晴らしさ

など、様々な感情を味わえることでしょう。

『カフーを待ちわびて』のあらすじ

沖縄にある小さな島、与那喜島。

雑貨屋「友寄商店」を営み、愛犬のカフーと暮らしていた35歳の明青の元に一通の手紙が届きます。

「私をあなたのお嫁さんにしてください」

と書かれた手紙の差出人は不明。

手紙が届いて4か月後、幸(さち)と名乗る女性が明青の目の前に現れます。

突然の出来事ながらも容姿端麗な幸と仲良く暮らすことになった明青ですが、与那喜島のリゾート開発のために立ち退きを要請されます。

これをきっかけにすれ違う二人。

愛犬のカフー、島の唯一のユタである86歳のおばあ、幼馴染の俊一など、

さまざまな人間関係や過去の出来事から判明する幸の事実と明青への試練。

全てを知り、明青が出した決断とは..

一通の手紙と、幸という女性

沖縄に浮かぶ小さな島、与那喜島。

35際の明青は島にある雑貨屋「友寄商店」を営み、愛犬のカフーと暮らしています。

漁師だった彼の父親は、漁をしていた時に事故で亡くなり、母親は、明青の弟が死産になった後、明青の前から消息を断ってしまいました。

明青の住む家とお店の裏には、明青が子供の頃から明青の面倒をみてきた、島で唯一のユタ(霊媒師)である86歳のおばあが住んでいます。

ある夜、明青が郵便受けを見ると、一通の手紙が入った封筒がありました。

「その言葉が本当なら、私をあなたのお嫁さんにしてください。」

そう書かれた手紙の差出人は不明で、その他に、近いうちに与那喜島に訪れる。という内容の言葉が書かれていました。

それは、以前明青が訪れた旅先の神社で 冗談半分で書いた、

「嫁に来ないか。幸せにします。」

という絵馬に対して向けられた手紙でした。

そして手紙を受け取った三日後、明青は自宅から浜辺へ向かう道で、ワンピースを身にまとった可憐な女性に声をかけられます。

ガジュマルの木の下に立っていたその女性は幸と名乗り、なんと明青へ向けられたあの手紙の差出人だったのです。

幸せな生活に迫るリゾート開発プロジェクト

突然目の前に現れた幸と一緒に暮らすことになった明青は、天真爛漫な幸の正確に癒されながら、日々を送っていました。

カフーの散歩をする幸の姿はとても可愛らしく、微笑ましいものでした。

オンシーズンである夏の友寄商店は忙しく、幸が店番をすることが多くなりました。

すると、幸を目当てにお店にやってくるお客さんも増え、友寄商店は一層客足が増えました。

そこへ、明青の幼馴染であり、リゾート会社へ勤める俊一がやってきます。

俊一の勤める会社は、人口減少が進む与那喜島をリゾート誘致によって復興させる計画を計画していましたが、明青とユタのおばあ、ダイビングショップを営む田中庄司の3人により、計画が阻まれていました。

俊一は明青に対して、新居を持って幸と幸せに暮らすために、今の家と友寄商店を売り渡すよう説得します。

立ち退きを反対していたダイビングショップの田中庄司は、周囲からの執拗な嫌がらせにより、引っ越すことになり、立ち退きの反対派は、明青とおばあのみとなってしまった矢先、明青の元に、おばあが倒れたとの知らせが舞い込んできました。

おばあの病状は非常に悪く、一命を取り留めたものの、手術のために那覇の病院へ移ることを勧められます。

しかしおばあは手術を拒み、島で過ごすことを選択します。

そして、リゾート開発を最も強く反対していたおばあの口から、今の家をリゾート会社へ売り、幸を幸せにしてやりなさい。との言葉が明青に投げられます。

幸の真実と明青の決断

おばあの言葉を信じリゾート開発に承諾した明青でしたが、あるとき、幸の正体についての話を耳にします。

それは、「幸は俊一がリゾート計画を成功させるために契約し、明青の元に送り込んだ女優だ」というものだったのです。

病状が進行したおばあが亡くなり、そして幸の裏切りに直面した明青は、幸に対して、自分には他に結婚をするつもりの人がいる嘘をつき、手切れ金を渡して幸に島から出るように言い放ちます。

そして幸は悲しみながらも明青の幸せを願って島を出ることになりました。

おばあの死から一週間が過ぎたころ明青の幼馴染の渡が明青の元を訪れました。

渡は明青に、俊一が雇った女優は実際には与那喜島には来ておらず、幸とは全くの無関係だと告げ、明青の幸に対する誤解を解きます。

数日後、明青はポストに幸からの一通の手紙を見つけます。

それは幸からの手紙で、幸自らについての真実を告白したものでした。

手紙には、

  • 幸は、消息を断った明青の母が本土に移った後に同棲していた男性の子で、明青の母の継子であったこと
  • 幼いころから明青の母から明青の話を聞かされ、明青の存在を知っていたこと
  • 明青が幼いころに母に送った木の枝のペンダントを明青に返そうとしていたこと
  • そして、明青のことを愛していたこと

が書かれていました。

全ての真実を知った明青は、幸を探すため、島を出るのでした…

『カフーを待ちわびて』を読んだ感想

私は本作を読んで、ひとことに「恋愛小説」では片づけられない感情になりました。それはもしかすると、この本に出会う1か月前に、沖縄旅行へ行っていたという経験のせいかもしれません。

「カフーを待ちわびて」を読む中で、沖縄で見た景色や人々の表情、その場の空気感などが鮮明に蘇ってきました。

それほどに本作の背景の描写は丁寧で美しいものとなっております。

物語のキーワードとなる沖縄の言葉

本作には、たくさんの沖縄の言葉が登場し、それらがより”沖縄らしさ”を醸し出し、私たちは南の島の温かさに入り込むことができるのだと感じました。

その中でも、小説のタイトルにもある「カフー」は本作においてとても重要な言葉です。

明青の飼っている犬の名前が「カフー」でしたが、実はカフーとは、沖縄の言葉で「果報」、つまり、「よい知らせ」という意味があります。

明青の愛犬のカフーが「果報」という意味を持つ、ということは、明青の元に幸が訪れたことも、大きな「カフー」なのではないでしょうか。

幸という人間の人柄

私は沖縄の方に対して、とても穏やかで小麦色をした健康そうな人々を想像します。(あくまで個人的な印象です。)

その中に突然現れた白いワンピースを着た白い肌の幸は、ある意味、少し目立った特異なキャラクターのように思えました。

明青や俊一、ユタのおばあなど他の皆とは違う、少し浮き出た存在が、この物語の”非日常感”を演出しているのではないかと思います。

また、可憐で天真爛漫、愛嬌もあり優しい幸は、男性の理想を詰め込んだような人間のため、男性の読者はもしかすると、明青が幸に対して冷たくしてしまうシーンでは、明青の態度に腹を立ててしまうかもしれませんね。

最後まで一途に明青のことを想いつづけた幸に、ついつい感情移入をする読者は多いのではないでしょうか。

物語後半に巻き起こる波乱万丈な出来事

本作を読み始めて、物語の前半では明青と幸とカフーが仲睦まじく暮らしている描写が続くため、穏やかな物語なのか。という印象を抱き、穏やかな気持ちで読み進めていました。

ところが物語後半、リゾート計画が明青たちに迫ってくる頃からは巻き起こる様々な出来事に、「二人はどうなるのか!?」「なぜそうなったの!?」と、本をめくる手が止まらず、見事に引き込まれていきました。

波乱万丈な展開はあれど、決して気持ちが重くなるようなものではなく、とにかく夢中で読み進めることができました。

原田マハさんの作品には、読者を本から手を離させない何か、があるように感じます。

『カフーを待ちわびて』はどんな人におすすめ?

「カフーを待ちわびて」は下記のような方におすすめです。

  • 恋の美しさを味わいたい方
  • 物語を通して沖縄の自然や人、文化に触れたい方
  • 爽やかな読後感を求めている方

本作は、恋愛要素以外にも、沖縄の文化や言葉、綺麗な自然情景、人々の温かさが描かれており、ひとことに「恋愛小説」と言い表せないような、様々な情景が溢れている作品です。

「単調な恋愛小説だけでは物足りない」、「明るい景色や豊かな人間関係も楽しみたい」というように、一冊の本から多くの感情を味わいたい方にはぴったりな小説です。

おわりに

人を愛するということは簡単なことではありませんが、とても素晴らしいことです。

愛とは、幸と明青の間にあるような恋に限ったことではなく、大切な人を想うこと。

私はユタのおばあの明青への言葉もひとつの大きな愛の形だと思いました。

この本が、読者様が愛について感がるきっかけに、また、他の誰かを愛するきっかけになることを願います。

他者への愛は、巡り巡って必ずあなたの元に戻って来ると信じて..。

「かふーあらしみそーり。」

(あなたに果報が訪れますように。)

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