国内小説– category –
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『むらさきのスカートの女』感想|滑稽かつユニークな筆致で綴られる静かな狂気
この作品はむらさきのスカートをよく着用している変わり者の女性と友達になりたい「わたし」の一人称で綴られる物語となっています。 「わたし」は友達になるためにひたすら紫のスカートの女の生活や言動を観察しているだけという一風変わった不思議な物語... -
『滅びの前のシャングリラ』感想|世界が滅亡する前だからこそ訪れた理想郷
これは一ケ月後に小惑星が落ちてきて人類は滅亡する、そう宣告されてからの4人の人物の物語です。 一ケ月後には人類が全員死んでしまうのですから、日本も社会の秩序は崩壊し、食糧や物資をめぐっての暴力や殺人が当たり前となる殺伐とした世界とな... -
『空飛ぶ馬』感想|謎は日常にあり。名探偵は「私」の憧れる師匠でした。
謎解きを題材にした小説は数多く存在しますが、これほど爽やかに謎を解く物語は他にありません。 殺人や多くの人が悲しむような事件が起こらなくても、日常に目を向けると、そこにはささやかな謎が存在します。 主人公の「私」は、とても気持ちのいい性格... -
『阪急電車』感想|阪急今津線の”何とも言えないほのぼの感”を楽しむことができる
関西圏では大きな私鉄グループとなる阪急。 えんじ色の車体に、レトロな内装となっており、鉄道マニア・若い女性・観光客から高い人気を得ています。 阪急宝塚駅は、大阪梅田駅へ直接向かう宝塚線と、西宮北口で神戸線へ連結する今津線が”人”の形に合流し... -
『西の魔女が死んだ』感想|現代社会に馴染めない少女に魔女が贈る小さな言葉の魔法
「魔女」なんて言葉の入ったタイトルに、あなたはどんなイメージを抱くでしょうか? 小さな奇跡の物語でしょうか? それとも、ドキドキするおとぎ話でしょうか? このお話はそのどちらでもありません。 むしろ児童書なのに子供向けなのかもわかりません。 ... -
『夜は短し歩けよ乙女』感想|青春は妄想でできている。京都だからおこりえる物語
誰もが訪れてみたいと思う、京都。 古い町並み、歴史ある建造物、そこを歩くだけで不思議と愉快な気持ちになる場所。 日本だけれど、そこだけは、まるで別世界のような佇まい。 そう思うのは、きっと私だけではないはず。 天狗が酒を飲んでいようと妖怪が... -
『キッチン』感想|あなたも夢のキッチンを探したくなる
この世の中で、1番好きな好きな場所はどこですか? 住み慣れた部屋、世界中の本が並ぶ図書館、空気の美味しい公園など、理由はなぜか分からないけども、ここに来ると落ち着く。 そんな場所があれば、私たちは強く生きていけるのかもしれません。 今回ご紹... -
『あのこは貴族』感想|階級社会だって幸せになれる
クラスの中に一人くらいお嬢様だな、と感じる女子がいませんか。 身に付けているものも、話し方も立ち振る舞いも、ちょっと他の人と違う、清楚なイメージのお嬢様。 この小説は、そんなお嬢様が結婚をめぐって試行錯誤を繰り広げる物語です。 結婚に憧れて... -
『秘密』感想|体と中の意識が違う!秘密を抱えて幸せになる家族
『秘密』は大人になれば必ずあろうある家族の日常から始まります。物語が進むにつれ常識では考えられない設定に驚きが…。 しかし読み進めていてもその設定は全く違和感がなく、この小説の魅力的な世界観としてのめり込んでいき、小説に出てくる色々な人の... -
『トリツカレ男』感想|とりつかれるくらい好きなものはありますか?
ちょっと奇妙なイラストが描かれた表紙。 そして、不思議なタイトル。 これだけ見ると、中々手を出しづらい本だと思います。 でも安心してください。子どもの目のように澄んだ、眩しいくらいのラブストーリーです。 主人公は、一度何かにとりつかれると、...