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『あのこは貴族』感想|階級社会だって幸せになれる

クラスの中に一人くらいお嬢様だな、と感じる女子がいませんか。

身に付けているものも、話し方も立ち振る舞いも、ちょっと他の人と違う、清楚なイメージのお嬢様。

この小説は、そんなお嬢様が結婚をめぐって試行錯誤を繰り広げる物語です。

結婚に憧れている人も、婚活中の人も、既婚の人も、一読の価値ありです。

女子にとって、結婚はなにゆえ、こんなに意味を持つのか。

結婚に戸惑い、自分は何かとは悩み、失敗しては落ち込む、すべての女子に捧ぎます!

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『あのこは貴族』の概要

出典:Amazon公式サイト

タイトルあのこは貴族
著者山内マリコ
出版社集英社
出版日2016年11月25日
ジャンル恋愛小説

今回紹介させていただくこの小説は、女性心理を描くのが得意な山内マリコさんが作者です。

山内さんは、短編『十六歳はセックスの齢』で第7回R-18文学賞・読者賞を受賞しています。

また、この物語は2021年に門脇麦さん、水原希子さんの主演で映画化されています。

『あのこは貴族』のあらすじ

主人公の一人は榛原華子(はいばらはなこ)26歳。

そんな華子は東京の松濤で整形外科の三女として生まれ育ち、小学校から大学までカトリック系の女子校に通った女の子です。

完全に箱入り娘で、移動手段も基本はタクシー。

華子は、子どもの頃から、祖父に

「華子にいい人を見つけてやるからな」

という言葉をかけられながら育ちます。

そのためか、結婚は誰もが当たり前のようにたどり着けるゴールとして、考えていたのですが、最近になって、仲良しグループのメンバーがどんどん結婚していきます。

焦り始めた華子。

いきなり会社を辞めて、その頃付き合っていた彼に「家族を紹介したい」とせっつくようになりますが、彼はその華子の切迫した雰囲気にドン引きしてしまいます。

結果、華子はふられてしまいます。

もう一人の主人公は、時岡美紀は地方出身の独身アラサー女子。

美紀は、後に華子の結婚相手となる青木幸一郎と同じ慶應大学に通っていました。

しかし、父が代々携わってきた漁業の廃業を決めたり、働き始めた工場が閉鎖となったり、経済状況に恵まれず、大学を中退しています。

東京で生きていくために、バーやラウンジなどで働き、世の中を知っていく美紀。

25歳を機に、夜の世界からは足を洗い、IT会社に勤めています。

結婚というプレッシャー

華子が家族や友人、姉などいろいろな人に男性を紹介してもらい、婚活に勤しみます。

ですが、なかなか上手くいかない華子。

自分だけがぽっかり世の中から浮き上がり、誰かいい人と出会うのを指をくわえて待っている孤独を味わいます。

その孤独は、着付け教室の既婚女性に囲まれているときに、特に高まります。

結婚し家族を持っているというだけで、女はここまで堂々とした生き物になれるのかと華子は思うのだが、そういったかすかな傲慢さを鋭く嗅ぎ分けてしまえるということは、自分がまだそれを手にしていないなによりの証拠なのであった。

青木幸一郎という存在

華子の結婚相手である青木幸一郎は、この小説のタイトル風の言い方をすると、まさに貴族の中の貴族のような存在です。

幸一郎の父はウィキペディアにも載っているような人で、青木家は地方の廻船問屋をルーツに持つ名家。

歴代当主が政界へ進出しています。

また、幸一郎は、慶應の幼稚舎から通い、美紀の入学した慶應大学の中では、内部生と言われています。

美紀のように、大学から慶應大学に入学した生徒は、外部生と呼ばれます。

鉄のカーテンよろしく内と外がはっきり線引きされていて、一般人には近づけない空気があった。その内側は絶対的な優越感で区分され、なんとも言えず排他的なのだ。

美紀は、親からの仕送りの不足分を賄うため、塾でもバイトしますが、一方で、幸一郎たちは、ニューヨークへ旅行したりしています。

美紀と幸一郎の関係

美紀と幸一郎は、美紀の働いていたラウンジでたままた再開します。

たまたま美紀の勤めるラウンジに、幸一郎が慶應のOBたちとやってきます。

美紀は幸一郎にノートを貸したことがあるので、幸一郎にそれを伝えますが、幸一郎は覚えていません。

その出来事から、ふたりの関係が始まります。

その関係というのは、簡単にいうと、幸一郎にとって、都合の良い関係です。

その頃、幸一郎は司法試験の勉強をしています。

幸一郎は、勉強の後の気晴らしに、都合よく美紀を呼び出しては、酒を飲んだり、一緒に別荘に行ったり、セックスをしたりするのです。

ですが、お互いの暗黙の了解で、彼氏彼女という関係にはなりません。

司法試験に受かった後も付かず離れずの関係を続けます。

それに対して、美紀は以下のような心境でいます。

自分が”愛人枠”に入れられ、ていよく遊ばれているのはわかっていたが、その無害な関係を清算しようとはしない。

美紀にもずるいところがあった。

『あのこは貴族』を読んだ感想

「あのこは貴族」は、読後感の良い小説でした。

登場人物がひとりひとり、運ともいうべき、自分の与えられた環境で、ときに、転びながらも、立ち上がって歩いて行き姿を描いています。

特に、華子は、よくいえば、おっとりした性格で、悪くいうと、自分がないので面白みがなく、当初は男性にも飽きられやすかったのですが、挫折を乗り越えた結果、自分らしさを掴んでいきます。

また、女の友情に関するシーンも面白い。

この小説では、後半、登場人物が女同士、話し合うシーンがたくさんあります。

決して、結婚を望みつつも、根が素直な華子は、男至上主義ではない美紀から、何かを学んでいきます。

婚活の辛さに共感

華子はお嬢様ですが、抱えている心理は、どんな女性にも通じるものがあります。

女性にとって、結婚というテーマは、どの世代、どんな階層の出身でも、葛藤のあるテーマです。

華子のように、周囲の友人が先に結婚することで、焦って、気持ちが火だるまになるようになったことがある人はいるのではないでしょうか。

 東京 VS 地方

この小説では、社会のリアルとも言える、格差、階級の様子が描かれています。

ある人たちは何世代も前から東京で足場を築き、成功を収めた人の末裔。

また別のある人たちは、最近になって地方から東京へやってきては、西へ西へと住む場所を広げていった人たち。

ああ、日本は格差社会なんじゃなくて、昔からずっと変わらず、階級社会だったんだ。

つまり歴史の教科書に出てくるような日本を動かした人物の子孫は、いまも同じ場所に集積して、この国をわが物顔で牛耳っているのだ。

でも、それぞれの階級のコミュニティの共通点も鋭く指摘しています。

それは、そのコミュニティが東京であれ、地方であれ、クローズドで、閉塞感とぬるま湯的な居心地の良さががある点です。

女同士の義理、友情

女といえば、男が絡むと、話がヒステリックになって話が通じなくなる…

そんなイメージがありませんか。

ですが、この物語では、それを、「女同士を分断する価値観」の一つとして、客観的に見ています。

若い女の子とおばさんは、分断されている。

専業主婦と働く女性は、対立するように仕向けられる。

ママ友は怖いぞーって、子供産んでもいないのに脅かされる。

こういうのってありますよね。

世間一般に言われがちなことに、なぜか、女同士の対立を煽るようなことがあります。

ですが、この物語では、その常識を超えて、女同士がしたたかに話し合い、人生を切り開いていく様子が描かれています。

『あのこは貴族』はどんな人におすすめ?

この小説はこのような方におすすめです。

  • 婚活に悩む人
  • 社会は不平等だと感じる人 
  • なんとなく閉塞感を感じる人

婚活中の、まるで思春期にもどったような、心の落ち着かない感じ、ときにひりひりする感じが、この物語では描かれています。

また、日本社会の階級の存在にも、鋭く切り込んでいますが、以外にも、どの階級にもあてはまる共通点を主人公は見抜き、そこから自由になっていきます。

閉塞感を打破するために、必要な一歩、主人公たちの成長ぶりからそのヒントが得られるのではないでしょうか。

まとめ

青木幸一郎をめぐって、主人公たちが様々なことを話し合うシーンがとても好きです。

華子の素直さ、美紀の聡明さ、そういった彼女たちの美点に触れることができて、とても読後感の良い小説でした。

この小説のテーマは「女の友情」だと思います。

女の友情は、男と女の絆なんかよりもずっと強い!

読んだ後、改めて女友達の素晴らしさに気が付いて、支えられていることに感謝したくなります。

女同士の義理は一本筋が通っています。

もっと女性が社会で活躍する日になることを願ってやみません。

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