国内小説– category –
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『レプリカたちの夜』感想|歪む世界を眺めることしかできない、むず痒さ残る物語
第2回新潮社ミステリー大賞受賞作品。 そう聞けばだれでもものすごいミステリー小説なのだろうなぁと思うでしょう。 しかしこの一條次郎によるデビュー作『レプリカたちの夜』は選考会を戸惑わせたミステリー小説でした。 だんだんと歪んでいく世界をただ... -
『東京バンドワゴン』感想|家族の大切さを再確認!シリーズ第一弾
2008年に発行されたこの作品は、東京の下町にある古本屋&カフェ「東京バンドワゴン」が舞台です。 2013年に主演亀梨和也と多部未華子でドラマ化された作品です。 東京バンドワゴンを営む堀田家は、8人の大家族。 朝ご飯ひとつでもホームドラマのワンシー... -
『本と鍵の季節』感想|爽やかさとほろ苦さが心地よい青春ミステリー
六編からなる本作は、本や鍵にまつわる謎を、まったくタイプの違う二人の高校生が推理する謎解き青春ミステリーです。 一編の長さも適度で、伏線回収もしっかりとあり、ミステリー初心者でも手に取りやすいのではないでしょうか。 また本や鍵が作品の重要... -
『しゃべれども しゃべれども』感想|自分で自分を”良し”とすること
「何より、肝心なのは、自分で自分を”良し”と納得することかもしれない」 主人公、今昔亭三つ葉の言葉です。 自分で自分を”良し”とすることは、簡単なことのように思えて実はすごく難しい。 ”良し”が多そうに見える人でも、実は殻をかぶって、それらしく振... -
『高丘親王航海記』感想|魅惑あふれる天竺の世界へ
時は平安時代初期の865年、高丘親王は憧れの土地天竺に旅立ちました。 高丘親王は幼い時に「薬子の変」に巻き込まれ、帝になることができなることができなかった過去を持っています。 しかし、親王は自分の位よりも薬子のことを考えていました。 夜な夜な... -
『間宮兄弟』感想|仲のいい兄弟の毎日に小さな幸せが詰まっている
『間宮兄弟』は、2004年に単行本として出版されたあと、2006年に映画化もされ話題となった作品です。 兄弟も大人になると一緒に出掛けたりすることも少なくなり、家族のもとを離れ一人で暮らす人も多いですよね。 そんな中、いつまでたっても子どものよう... -
『青年のための読書クラブ』感想|滅びまでの100年を強かに生きる乙女たち
聖マリアナ学園。 それはこの物語の舞台であるお嬢様学校です。 20世紀初めに修道女聖マリアナによって設立されました。 設立から滅びまでの100年間、閉ざされた楽園で乙女たちは独自の世界を築いていきます。 政治家に情報を操る存在など様々な在り方をす... -
『鴨川ホルモー』感想|京都を舞台とした奇想天外な青春ファンタジー
『鴨川ホルモー』は、「万城目学」さんのデビュー作で、山田孝之さん主演・栗山千明さんヒロインで映画化、漫画化もされている人気作です。 万城目学さんは日常の中に奇想天外なストーリーを展開する作風で知られていて、「万城目ワールド」と呼ばれていま... -
『君の膵臓をたべたい』感想|生きることは、誰かと心を通わせること
思わず二度見してしまう作品名ですが、安心してください。 作品を読めば、この題名の本当の意味がわかります。 当たり前に過ぎてしまう日々のなかで、「生きる」ことの素晴らしさを感じる場面は、そう多くありません。 この作品は、そんな「生きる」という... -
『炎上する君』感想|わたしたちの背中を押してくれる生温かい物語たち
本に関して、わたしが信用している人間のひとりにお笑いコンビであるピースの又吉直樹がいます。 高校生のころに読んだ村上龍の『コインロッカー・ベイビーズ』もその一冊なのですが、又吉直樹が紹介、絶賛する本には外れがないからです。 そして、西加奈...