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『高丘親王航海記』感想|魅惑あふれる天竺の世界へ

時は平安時代初期の865年、高丘親王は憧れの土地天竺に旅立ちました。

高丘親王は幼い時に「薬子の変」に巻き込まれ、帝になることができなることができなかった過去を持っています。

しかし、親王は自分の位よりも薬子のことを考えていました。

夜な夜な薬子から吹き込まれた天竺(インド)の世界を、渇望しながら生きてきたのです。

親王にとって薬子は、自分の人生を狂わせるファム・メタル(魔性の女)だったのかもしれません。

彼女から聞かされた天竺という場所を、長い時間求めてきました。

その向こうにあるのは、身の破滅かそれとも微かな希望なのか…。

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『高丘親王航海記』の概要

出典:Amazon公式サイト

タイトル高丘親王航海記
著者澁澤龍彦
出版社文藝春秋
出版日1990年10月9日
ジャンル歴史ファンタジー

高丘親王は、日本のみかどである平城帝の息子でした。

父の平城帝は体調を崩し弟の嵯峨帝に天皇の位を譲り、上皇になり隠居したようにみえました。

そして親王は嵯峨帝の皇太子になることになります。

しかし、平城帝はもう一度帝になるために弟と争いその結果敗北してしまいました。

これがいわゆる「薬子の変」で親王は皇太子を廃せられまうのです。

その後親王は仏門に入り空海上人の舎弟となりました。

東大寺の修理にも携わりましたが、60歳になった時唐に渡ることを決意しました。

しかし唐に入ると、今度は天竺に渡る許可を求められました。

親王の仏教についての観念は、釈迦が産まれた国天竺にあったのです。

薬子と出会った時から時間が経っても、親王にとって天竺はエクゾティシズムの塊だったのです。

『高丘親王航海記』のあらすじ

一同の計画は、広州の港を出発し交州という場所に上陸し安南天竺道という陸路から天竺入りをする予定でした。

しかし船は嵐に飲み込まれ、広州を過ぎてしまいました。そして、夢の世界と入り混じった不思議な旅に巻き込まれていきます。

出発

高丘親王が、お供の安展と円覚とともに広州の港で船に乗ろうとした時でした。

一人の奴隷が船に乗ってきて、自分もお供させて欲しいと願います。

親王はこの奴隷に「秋丸」という以前亡くなってしまった世話役の名前をつけました。

しかし、この秋丸はその後女性であることが判明しました。

安展と円覚は、仏門の徒が女をお供にするのは反対します。

しかし、親王は秋丸を旅に同行させるのを許してしまいました。

不思議な動物達

親王達は旅の途中で色々な不思議な生き物と出会います。

船の上で秋丸がジュゴンの世話をしたり、カンボジアについたときにアリクイに会いました。

さらに他にも犬の頭の人間、足から下が鳥の女達、夢を食べるバクなど不思議な生き物に出会います。

それは夢の中の出来事であったり、何年も昔の出来事であったり現実との境目が次第になくなっていきます。

そして、アリクイの巣に薬子が投げた玉のようなものが埋まっていたりバク園にきた王女が薬子そっくりであったりするのです。

親王が旅を続ける中で、死んでいるにも関わらず薬子は至る所に現れ親王を誘惑します。

秋丸がいなくなり春丸が仲間になる

蜜人を一人で探しに行った親王は、行く途中で秋丸にそっくりの春丸に出会い連れていきます。

安展と円覚と落ち合うと、なんと秋丸はここ一週間姿が見えなくなってしまったと言います。

あんなにジュゴンと親しくしていたのに、ジュゴンの姿を見ると秋丸はひどく怯えてしまいます。

その反面「以前自分はジュゴンに会ったことがあるかもしれない」とまるで秋丸が自分の前世であったかのような言葉を口にします。

真珠を飲み込み体調が悪くなる

親王は洱海と呼ばれる湖で自分の姿が映らなかったり、道中で自分にそっくりの影とすれ違い自分の死期を悟り始めます。

一同はアラカン国から獅子国(スリランカ)に向かいますが、船は獅子国に着くことはなくマレーシア付近を彷徨っていたそうです。

そして岩礁で真珠がりをしている漁師から、一粒の真珠をもらいました。

親王は喜びました。

なぜなら幼少時は真珠を転がして、時間が経つのも忘れるくらい好きだったからです。

ところが円覚は、真珠は病気の貝が吐き出した遺物で不吉だと言いました。

その後暴君に襲われた親王は、真珠を盗られまいと飲み込んでしまいます。

そして、体調が悪くなり食べ物を受け付けなくなってしまいました。

『高丘親王航海記』を読んだ感想

ページ数は250ページ前後で比較的早く読み終わる本です。

しかし、この物語には高岳親王の人生を凝縮していて読了後は心の中でずっしりと鉛を飲み込んだ気持ちになります。思い返してまた読みたくなる小説です。

物語に入り込みやすい

高丘親王の生い立ちは、歴史の教科書に出てきた「薬子の変」や「空海」などと関わっています。

そのため、見たことや聞いたことがある名前が出てくるので物語にとても入りやすいです。

また、薬子の妖艶なキャラクターにも惹かれてしまうのが不思議です。

澁澤龍彦先生は「世界悪女物語」などの著書も書かれているので、魅力的な悪女を書くのは得意なのだと感じます。

不思議な生き物達と個性的なキャラクター

ミステリアスな話の流れなのですが、所々可愛い生き物が出てくるので癒されます。

特に、秋丸とジュゴンの関係は二人とも仲睦まじく心が温まります。

また、アリクイなどはアンチポデスなど難しい単語の思想について語り出したりクスリと笑える部分もあります。

安展と円覚の掛け合いもテンポが良いですし、秋丸は可愛いのですがどこか違和感のある雰囲気も惹かれてしまいます。

死の匂い 

悲しいことですが、この「高丘親王航海記」澁澤龍彦先生の遺作になってしまいました。

1986年に下咽頭癌が見つかり、声帯を切除し声を失ってしまったそうです。

その有り様は、真珠を飲み込んで喉に引っかかってしまい声が出せなくなってしまった親王そのものでした。

声を出せない苦しさや、死ぬ前に「そうれ、天竺まで飛んでゆけ」と必死の思いで石を投げる姿は涙を誘います。

『高丘親王航海記』はどんな人におすすめ?

基本的に澁澤龍彦先生の本は、とても読みやすくわかりやすく簡潔にまとめられています。

長編小説が苦手な人でも、スラスラと読めるかと思います。

  • 澁澤龍彦の本が好きな人
  • 旅行記が好きな人
  • 歴史小説が好きな人
  • エキゾチックな雰囲気に浸りたい人
  • 動物好きな人

上記のような人におすすめです。

自粛期間中で外になかなか出られない日にはぜ読んでみてはいかがでしょうか。

おわりに|天才の遺作をぜひ読んでみてほしいです

「高丘親王航海記」は歴史もので難しい雰囲気がありますが、とても読みやすくファンタジーあふれる物語です。

読んでいると、親王一同と旅をしている気分になれます。

妖艶な薬子との思い出と、不思議な生き物や人たちの有り様を手にとるように楽しめます。

それでいて、最後は悲しく切なくホロリと泣けます。

澁澤龍彦がなくなる前に最後の力を振り絞って、書き終えた小説なんだと実感できる重みが読了後感じさせられます。

何度でも読んで楽しめるので、購入を強くおすすめします。

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