短編集– category –
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『発注いただきました!』感想|みずみずしく、日常に寄り添った珠玉の短編集
今回は、『発注いただきました!』という本を読んだ感想を書いていこうと思います。 著者の朝井リョウさんは、『桐島、部活やめるってよ。』や、『チア男子‼︎』などでも有名な、直木賞受賞作家です。 そのままの日常に寄り添った比喩表現や、ユーモ... -
『つめたいよるに』感想|10ページ前後で創られる美しく不気味な世界は江國香織にしか書けない短編集
世界は広い、とはよく言いますがあまりピンとこない人も多いのではないでしょうか。 わたしもそのひとりで、この本はそんなわたしに世界の乱雑さと美しさ、そしてそれがいかに狭いかを教えてくれました。 ひとつのお話がたったの10ページ前後、そのため話... -
『子猫が読む乱暴者日記』感想|混沌の文章と予想外の展開に引きずりこまれる驚愕の読書体験
こちらの小説。 「いつもの様にくつろぎながら小説でも読もう」とはいきません。 本書は、読んだ者を未知の小説世界に引きずりこんでしまう恐るべき一冊なのです。 まともな価値観をことごとく拒絶する『子猫が読む乱暴者日記』。 この小説が持つ特異な魅... -
『夏と花火と私の死体』感想|乙一が書く生々しく残酷な無邪気さを漂わせる
子どもとは、無邪気なばかりではないと知っている大人も多いでしょう。 時に近所の子どもを見て、時に自分の幼い頃を思い出して、子どもという生き物の残酷さを思い知ることがあるのではないでしょうか。 その無邪気さは些細なこともあれば事故に繋がりか... -
『お探し物は図書室まで』感想|意外な選書で人生まで後押し!
ある小さな図書室のレファレンスカウンターから、この言葉が聞こえてきます。 「何をお探し?」 少し高圧的とも思える司書さんの言葉から、図書室に訪れた利用者とのやりとりが始まります。 この司書さんの愛想は決して良くありません。 ですが、利用者の... -
『終末のフール』感想|地球滅亡が迫る世で、わたし達はどう生きるのか。仙台のとある団地で暮らす人々の終末の過ごし方
『終末のフール』は、2006年3月に刊行された連作短編集です。 著者は伊坂幸太郎さん。 伊坂さんの作品はどれも人気が高く、読書好きなら誰もが知る日本を代表する作家のお一人です。 『重力ピエロ』や『ゴールデンスランバー』など、多くの小説が映画化さ... -
『新参者』感想|日本橋人形町を舞台にした刑事加賀恭一郎シリーズ第8弾
新しく日本橋にやってきた刑事、加賀恭一郎。 加賀は、まだ全く知らないこの土地をまずよく見ることから始めます。 この小説を読んでいると、日本橋人形町という町の生き生きとした情景が目に浮かび、お店の佇まいやそこに暮らす人たちの声が聞こえてきそ... -
『末ながく、お幸せに』感想|心温まる素敵な結婚式に出席しませんか?
この本を開いたとき、あなたの目に飛び込んでくるのは、九江泰樹さんと瀬戸田萌恵さんからの結婚式の招待状。 これはあなたに宛てた招待状です。 新郎新婦からの幸せお裾分けに皆が自然と笑顔になってしまう、そんな特別なイベントが結婚式。 気づけば涙が... -
『マカン・マラン 二十三時の夜食カフェ』感想|疲れた心をそっと癒やしてくれるお守りの一冊
人は、いろいろな悩みを抱えています。 「がんばっているのに報われない」「このままでいいのか?」「あの人が羨ましい・・・・」 そんな心のモヤモヤを抱えたとき、「そんなあなたでも大丈夫だよ」「みんなおなじ悩みを抱えてるよ」そう言って励ましてく... -
『さみしくなったら名前を呼んで』感想|すべての女の子に捧げる宝石箱
さみしいとか悲しいとか切ないとか、そんなのを感じる心のひだが、全部なくなればいいのにー 切実な心の叫びを表現する痛々しくも瑞々しい文章は、すべての女の人、いやすべての女の子たちに捧げられたものです。 映画化された『あの子は貴族』の著者であ...