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『Cocoon』感想|鬼を斬る花魁の苦悩と成長

「鬼退治」といえば、桃太郎のようなむかし話から、近年大ヒットした漫画まで、実にさまざまな作品で描かれてきたテーマ。

今回ご紹介する作品も、そんな鬼退治がテーマのお話です。

この作品の主役は江戸時代の遊女。

美しく優雅な花魁が刀を手に、強大な力を持つ鬼たちと戦うというバトルアクションです。

この作品の見どころは、人の心の強さや弱さを巧みに描いている点。

今回はその部分を中心に作品をご紹介します。

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『Cocoon』の概要

出典:Amazon公式サイト

タイトルCocoon 修羅の目覚め
著者夏原エヰジ
出版社講談社
出版日2019年8月7日
ジャンルアクション・時代小説

この作品は全5冊のシリーズものです。

上記の表紙、タイトル、出版日はその第1巻のものです。

また、現在は全5巻のうち4巻までが講談社から文庫で出版されていますので、そちらもぜひ参考になさってください。

著者の夏原エヰジさんはこの作品がデビュー作で、いきなり第13回小説現代長編新人賞奨励賞を受賞したという経歴の持ち主です。

また、イラストレーターのマツオヒロミさんの手がける美しい表紙もこの作品の見どころのひとつと言えると思います。

『Cocoon』のあらすじ

この物語は、天明期の江戸・吉原遊郭を舞台に、大見世である『黒羽屋』の最高級遊女である瑠璃という花魁が鬼を退治する話です。

「時代小説」ということばから想像するより文体はライトで読みやすくなっています。

花魁・瑠璃の人物像

主人公の瑠璃はぬきんでた美貌の持ち主で、吉原でも大人気の花魁。

15歳のときに黒羽屋に売られてきてすぐに出世するという異例の経歴を持っています。

しかし、それは表の顔で、江戸にはびこる鬼を退治する組織『黒雲』の頭領という裏の顔がありました。

また、瑠璃は他の人の目には見えない妖(あやかし)を見ることができるので、彼女の部屋にはよく妖が集って宴会を催しています。

飾り気はないけれど面倒見がいい瑠璃の人柄を、妖たちは好ましく思い、瑠璃のところに集まっているのでした。

鬼退治のこともあり、他の遊女たちにはない特例を許されている上、さばさばとしていて、周りを気にせず自分がこれと思うことを貫く瑠璃は、人付き合いはあまり上手ではありません。

しかし、数人の友人や、任務を共にする『黒雲』の仲間、そして妖たちに囲まれて日々を送っていました。

鬼退治の組織『黒雲』

瑠璃が頭領を務める『黒雲』は、鬼退治の組織です。

「鬼」とは、強い恨みを抱いて死んでいった者のなれの果て。

この鬼を妖刀「飛雷」で斬り、成仏させるのが瑠璃の仕事です。

鬼を攻撃し、成仏させることができるのはこの「飛雷」だけ。

しかし、たった一人で鬼と戦うのは難しいので、瑠璃には共に戦う仲間が居ます。

その仲間は、以下の4人。

  • 元は僧侶で、今は黒羽屋で若い衆として働いている錠吉
  • 黒羽屋の厨房で料理人として働く権三
  • 若い衆見習いの双子・豊二郎と栄二郎

彼らはそれぞれ過去に大切な人が鬼になってしまったという経験をしており、それぞれの過去は2巻以降で詳しく語られます。

また、『黒雲』に昔から関わり、鬼退治の話を仕入れてくる黒羽屋のお内儀や、瑠璃と契約を交わし、鬼退治の際に活躍する生き鬼の楢紅など、物語の鍵になるキャラクターもいます。

そして、そもそも鬼退治は誰が命じているのか、という謎も、シリーズの後半で明らかになっていきます。

鬼との戦い、本当の敵とは

シリーズ第1巻では、瑠璃の朋輩であり、良き理解者である花魁・津笠が失踪してしまいます。

彼女がなぜ失踪したのか、そして、どのような形で再会するのか。

この辺りはぜひ読んで確かめて戴きたいところですが、この一件がこの後の瑠璃を大きく変えていくことになります。

そして、『黒雲』に対抗する勢力として、『鳩飼い』という組織が出てきます。

この組織がシリーズを通しての瑠璃の最大の敵となってきますが、『鳩飼い』がどのような組織なのか、そしてその頂点にいる人物と瑠璃との関係は……と、読み進めるごとにどんどん謎が明らかになってきます。

『Cocoon』を読んだ感想

この物語はエンターテイメント性の高い作品で、非常に読みやすいです。

しかし、扱う内容は重く、主人公である瑠璃と共に、読者も人の心について考えさせられるシーンがたくさんあります。

遊女の苦しみ

遊郭を舞台にした小説は多く出版されています。

その中で多く描かれているのが遊女の苦しみ。

この物語でも、さまざまな遊女の辛さが描かれています。

馴染の客に浮気をされた、客に病をうつされてしまった、身ごもったものの産んだ子を取り上げられた、身ごもったことで見世を追い出された……など、さまざまな苦しみを味わった結果、鬼になる遊女たち。

吉原という世界で華やかに生きているように見える彼女たちですが、結局のところ彼女たちは商品です。

その心の中に抱える闇はとても深く、現代とは違って思うように生きられない女性たちの苦しみに、読んでいるこちらも辛くなりました。

特に、父親が誰か分からなくても、仕事の邪魔だと罵られても、自分の腹に宿る命を守りたかった遊女たちの無念は、自分も子供の母をしている身としては深く感じ入るものがあります。

主人公・瑠璃の強さ

この物語の主人公である瑠璃は、才色兼備の完璧な花魁。

その美しさと知性、秀でた芸で吉原の人気者です。

周囲はそんな彼女を近付きがたく感じていますし、瑠璃本人も人付き合いが得意ではないので友人は多くありません。

しかし、彼女は実はとても他人思いで純粋な性格の持ち主。

最初は鬼を倒すことを楽しむ嗜虐的な面もありましたが、物語が進むにつれて、鬼の気持ちにも寄り添う優しさを身につけていきます。

しかし、シリーズ全体を通して、そんな瑠璃に振りかかる運命は常に過酷なものでした。

良き理解者であり大事な友人を救うことができなかったり、共に育った義理の兄との確執が決定的なものになったり、自身の出生の秘密を知り悩んだり……。

正直、ここまで苦しい思いをして瑠璃の心が壊れてしまうのではないか、と心配してしまうくらいでした。

しかし、瑠璃は共に戦う仲間に励まされ、自分の信じるもののために常に前を向いて戦い続けます。

その姿を見るとつい応援したくなる、瑠璃はそんなヒロインなのです。

「仲間がいること」の心強さ

瑠璃を支える仲間たちもそれぞれ鬼にまつわる暗い過去を持っています。

そして、そんな心の闇を利用する敵。

すでに大切な人が鬼になり、心に傷を負っているにも関わらず、さらに彼らは絶望の淵に叩き落とされます。これもまた読んでいて「ここまでするの?」思ってしまうくらいです。

しかし、その辛さを一つずつ乗り越えて、瑠璃とその仲間たちは成長していきます。

そんな仲間がいるから、瑠璃をはじめ『黒雲』のメンバーたちは鬼にならずに、鬼を退治する側で居られる、そんな部分もこの作品の見どころの一つではないでしょうか。

『Cocoon』はどんな人におすすめ?

この作品は、以下のような人におすすめです。

  • 江戸時代、特に遊郭を描いた作品が好きな人
  • 少年漫画やアクション作品が好きな人
  • ダークなテイストの作品が好きな人

江戸時代の吉原遊郭が舞台のこの作品、作中にも遊郭の文化がたくさん出てきます。

なので、遊郭を描いた作品をすでに読んだことがある方にはわかりやすいのではないでしょうか。

また、この物語の魅力のひとつである、『黒雲』と鬼の戦いなどの戦闘シーン。

手に汗握る戦いの様子が臨場感あふれる描写で綴られているので、そういった作品が好きな方にもおすすめです。

シリーズを一貫して、鬼になった人々の苦しみ、敵方である『鳩飼い』の残忍な仕打ちなど、辛く重たいエピソードが続いていくので、そのようなテイストの作品が好きな方に向いている作品だといえます。

おわりに

いかがでしたでしょうか。

瑠璃にはどんな過去があるのか、そして鬼や『鳩飼い』との戦いの果てにどのような結末が待っているのか。

それはぜひ読んで確かめてみてほしいと思います。

ただ、少しグロテスクな描写もありますので、苦手な方はご注意ください。

最後になりますが、この作品は表紙もとても素敵なので、ぜひ実物を並べてご覧いただきたいと思います。

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