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『後悔病棟』感想|最期に開けるドアの向こうのもう一つの人生

あのころに戻って人生をやり直したい…誰もが一度は"もしもあのとき""ああしていれば"と考えたことがあると思います。

そんな"もしも"が叶う『後悔病棟』は、一本の聴診器から始まる不思議な物語です。

『後悔』という言葉がタイトルにあるので、ひょっとしたら暗くて重いストーリーを想像する人がいるかもしれません。

確かに物語には余命の少ない入院患者たちが登場しますが、それぞれが自分の人生を振り返る中で、自分の人生を肯定できるようになる、悲しい中に希望の見いだせるお話です。

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『後悔病棟』の概要

出典:Amazon公式サイト

タイトル後悔病棟
著者垣谷美雨
出版社小学館
出版日2017年4月11日
ジャンルヒューマンドラマ

『竜巻ガール』で第27回小説推理新人賞を受賞した垣谷美雨さんの作品で、2014年11月に小学館から刊行された『if サヨナラが言えない理由』を改題し、加筆改訂して2017年4月に『後悔病棟』として文庫化されました。

『後悔病棟』のあらすじ

物語の舞台は神田川病院の内科で、そこに勤務する医師、看護師と入院しているがん患者が主な登場人物です。

神田川病院に勤める人たち

早坂ルミ子

神田川病院に勤務してもうすぐ10年になる内科医。

末期のがん患者を診ていますが、いつも患者の気持ちをうまくくみ取れず、悩んでいます。

岩清水展

ルミ子と同い歳の医師。

見た目も性格もよく、ルミ子とは反対に人の気持ちがわかる優しい先生だと患者や看護師たちの人気者です。

松坂マリ江

ベテラン看護師で、岩清水が大のお気に入りです。

ルミ子を未熟な若者だと馬鹿にしている節があります。

太田香織

ルミ子の先輩医師。

小柄で童顔に金髪で乱暴な言葉遣いをするのでちぐはぐな印象を与えます。

しかしそのギャップが可愛いと男性医師に人気があります。

神田川病院の情報通です。

笹田篤志

内科部長で、医者の不養生を体現したような生活をおくっています。

ルミ子と岩清水のやりとりをいつもからかっています。

人生を後悔する患者たち

ルミ子が担当する末期のがん患者たちは、それぞれが人生をやり直したいと後悔を抱えています。

  • 大女優の母に反対されて芸能界に入る夢を諦めた千木良小夜子(第1章:dream)
  • 仕事人間だったことを悔やみ、もっと家族との時間を大切にしたかったと思う日向慶一(第2章:family)
  • 結婚を反対したせいで、ひとり娘が一生独身になってしまいそうだと嘆く雪村千登勢(第3章:marriage)
  • 中学時代、片思いしていた女子の窃盗の罪を自分がかぶらなかったせいで、大事な友人の人生を台無しにしてしまったと感じている八重樫光司(第4章:friend)

患者たちの後悔にルミ子が気づいて話しかけるところから話が進んでいきます。

心の声が聞こえる聴診器

33歳の早坂ルミ子は、人の言葉の裏やニュアンスを読み取るのが苦手で、患者やその家族をしばしば怒らせてしまうことに悩んでいました。

ある日ルミ子は病院内で持ち主不明の聴診器を拾います。

その聴診器を患者の胸にあててみると、話していないはずの患者の声が聞こえてきました。

驚いたルミ子でしたが、それとなく患者に質問してみて、その声が患者の心の中の声だと確信しました。

なんとルミ子が拾ったのは、人の心の声が聞き取れる聴診器だったのです。

更にルミ子は、聴診器を胸に当てられている人は、目を閉じると過去に戻って人生がやり直せることを発見しました。

患者たちの"後悔の声"を聞いたルミ子は、余命いくばくもない彼らの最期をスッキリとした気持ちで迎えてほしいと思いました。

そして、ルミ子の協力により、患者たちは後悔した人生を取り戻すための旅に出ます。

『後悔病棟』を読んだ感想

ファンタジーでありながら、登場人物の心情が非常にリアルに描かれていて、スッキリとした読後感と共に、自分の生きかたについて考えさせられる1冊でした。

全く後悔のない人生をおくるのは難しい

人生を後悔したころに戻るのは、死期の迫ったがん患者ばかりです。

自分の寿命がもうすぐ尽きるとわかったからこそ、それまでの人生を振り返り、あのときああしておけばよかった、戻ってやり直したい、と考えます。

もし自分が死ぬとわかっていなかったら、心に引っかかってはいても、やり直したいとまでは考えていなかったかもしれません。

普段意識していないだけで、私たちも間もなく人生が終わるとなったら、たくさんの後悔が押し寄せてくるのではないか、全く後悔のない人生をおくれる人はなかなかいないのではないかと思います。

現実の人生は変わらない

ルミ子の拾った聴診器によって、患者たちは人生の後悔している時点に戻って生き直すことになりますが、それは物語の中でも"現実"ではありません。

聴診器を胸にあてているあいだ、患者たちはまるで本当に人生をやり直しているような時間を体験しますが、実際の身体はベッドに横たわったままです。

不思議な聴診器の存在がファンタジーな雰囲気を出していますが、物語の主軸は現実にあるといえます。

ファンタジックな設定があるからこそ、登場人物の人生が現実であることがはっきりと迫ってきます。

もうひとつの人生は必要なのか

後悔した人生の分岐点に戻り、違った選択をした結果を知った患者たちは、必ずしも自分が選択を誤っていたわけではないのだと感じます。

やらなかった後悔より、やった後悔の方がいいって世間じゃよく言うでしょう。あれは嘘だね

(P109)

人は過去を思い出すとき、『もし〜していれば』を想像してしまいがちですが、どの選択肢が1番良いのか全部試してみることは現実には不可能です。

先生、一日一日を大切にしてください。人間誰しも明日死ぬかもしれないと思って生きているくらいがちょうどいいんじゃないかと思います。

(P176)

選択したあとの人生を後悔しないで生きることが大切なのではないかと思います。

『後悔病棟』はどんな人におすすめ?

『後悔病棟』は、性別や男女を問わずいろんな人が楽しめる作品だと思います。

その中でも

  • 人生を巻き戻してやり直したいと思っている人
  • ちょっと不思議な話が読みたい人
  • 読後スッキリした気持ちになりたい人

に特におすすめです。

おわりに

人生の最期に、何の後悔もなく満足して旅立てる人はなかなかいないと思います。

後悔をせず生きていけるのはそれは素晴らしいことです。

しかし、後悔があっても後悔している自分自身を否定しない、自分の選んだ人生を肯定してほしい、というのが作者のメッセージのように感じました。

作者の垣谷美雨さんは、『後悔病棟』の続編として『希望病棟』も執筆されています。

こちらもぜひ一緒にご一読ください。

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