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『クララとお日さま』感想|AIを搭載したロボットクララと少女が育む交流に生きることの意味を問う

読書とは、頭の中でその話を想像しながら読みます。この小説は何だかよく分からない物や、言葉が数多くでてきます。

その中には言葉の説明がとくにされることがない物もあり、さらには主人公である人口親友というロボットクララの目線で物語が語られていきます。

そのため、読者は注意深くクララの言葉に耳を傾け、より想像力を働かせることになるでしょう。

クララの優しい言葉で進む物語はとても読みやすいのですが、投げかけられるメッセージは深く、読む人の心を揺さぶります。

絵本のようなSFといえばSFなのですが、この小説がもつ不思議な世界に浸り、作者が問いかける様々なテーマについて想いをめぐらせてみてはいかがでしょう。

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『クララとお日さま』の概要

出典:Amazon公式サイト

タイトルクララとお日さま
著者カズオ・イシグロ
出版社早川書房
出版日2021年3月2日
ジャンル英米文学

著者のカズオ・イシグロは1954年に長崎県で生まれ、その後父親の仕事でイギリスに渡り日本とイギリス二つの国とともに生きます。

1982年に『遠い山なみの光』でデビューし王立文学協会賞を受賞。

著書には

などの代表作があり、2017年にはノーベル文学賞を受賞します。

『クララとお日さま』のあらすじ

人工知能を搭載したロボットクララは、人間の子どもの成長を助けるAF(人工親友)です。

ショーウインドウに飾られたクララは、ジョジ―という病弱な少女に買われていきます。

そこで一緒に生活し、様々な出来事が巻き起こる中、ジョジ―が元気になるように全力をつくすのでした。

クララとジョジ―の出会い 

お店に並べられた人工親友クララは、太陽光をエネルギーにするロボット。

旧型のロボットですが新型のロボットよりも共感力が高く、観察力にも優れています。

クララは日当たりのよい場所に飾られると、お日さまの栄養がたくさん受け取れるので感謝し、大気汚染で日差しがない日は、お日さまを怒らせていると考えます。

常にお日さまを崇拝するクララ。

店長の人間に対する教育を受けながら、子どもの人工親友として購入されるのを待つ日々が続きます。

やがてクララはジョジ―という、病をもった少女と出会い購入されていくのでした。

様々な問題が横たわる世界 

この世界では、子供に「向上措置」と呼ばれる遺伝子操作のようなものを受けさせます。

詳しい説明はないのですが、この措置を受けることで人間の能力が上がるようです。

しかしジョジ―はこの措置を受けたことで健康を損なってしまいます。

ジョジ―は向上措置を受けた子どもたちとの交流会に、クララとともに参加します。幼なじみで隣に住むリックを誘うジョジ―。

リックは優秀ですが、措置を受けていないという理由でみんなにからかわれます。

そこには措置を受けている者と、受けていない者がはっきりと分断される格差があるのでした。

リックをからかうことに同調するジョジ―。そんなジョジ―の態度にリックは残念な気持ちになります。

クララは「人の心は変わる」ということを観察しながら学習するのでした。

お日さまに祈る 

体調が良くないジョジ―のために、クララはジョジ―が元気になるよう日々、お日さまに祈ります。

そして、お日さまとある約束を交わします。それができれば、さらに特別な力をジョジ―に注いでほしいと。

ある日、クララはジョジ―とリック、それぞれの母親たちと一緒に街へ行きます。

ジョジ―の母クリシーは、ジョジ―を肖像画家カパルディのもとへ連れていくのですが、絵を書いてもらうのではなく、別の計画を立てていました。

その計画に反対するジョジ―の父ポール。

クララはポールにお日さまと交わした、約束を伝えます。そしてポールの助けを借り、その約束を実行するのでした。

月日は流れ、ジョジ―が大学へ行くため家を出るととともに、クララは人工親友としての役目を静かに終えるのでした。

『クララとお日さま』を読んだ感想

この作品には格差や環境問題、生きるとは、そして人の心とはといった様々な問いかけがあります。

作者が問いかけるテーマに明確な答えはないのかもしれません。

しかし物語を読み登場人物それぞれの立場になって考えることで、その答えは近づいてくるのではないでしょうか。

クララが捧ぐジョジ―への思いが尊い

人工親友というロボットクララの、少女ジョジ―に対する献身的な想いに心が打たれます。

どんなことが起こっても、ジョジ―が元気になることを一番に考え行動するクララ。

上手くいかないことがあっても、そこから何かを学ぼうとする姿勢を決して崩すことはありません。

そこには自分の身を顧みることのないジョジ―への「無償の愛」が溢れているのでした。

そしてクララは、お日さまにジョジ―が元気になるように祈りを捧げるのですが、その全身全霊をかけた思いには胸が熱くなります。

人工知能と人間 

この物語に登場するような人工知能が、現代に登場する日もそう遠くはないのかもしれません。

小説には様々な人物が登場し、人工親友というロボットクララと接します。

そこには人間の人工知能に対する意識や、扱い方があります。

AIは人間が作り出したものですが、もし自分がこの世界に生きていたらクララに対してどんな態度で接しているのだろう?と考えずにはいられません。

人の心とは 

人間の心とはいったい何なのでしょう。

作中でジョジ―の父ポールがクララに、「君は人の心というものがあると思うか」出典:クララとお日さま311ページと問います。

それに対してクララは「たくさんの部屋がある家のようだと思います。でも、AFがその気になって、時間が与えられれば、部屋の一つ一つを調べて歩き、やがてそこを自分の家のようにできると思います」出典:クララとお日さま312ページと答えます。

複雑な人の心をAIが完全に読み解く日がくるのでしょうか。

『クララとお日さま』はどんな人におすすめ?

『クララとお日さま』はこんな人に読んでほしい小説です。

  • カズオ・イシグロの小説を読んだことがない人 
  • 世界観のある物語を味わいたい人 
  • 感情を揺さぶられたい人 

カズオ・イシグロの作品をまだ読んだことがない人は、ノーベル文学賞を受賞した作家で読むのが難しいと思っているかもしれません。

けれど読んでみると簡単な文章で書かれていて、人口親友というロボットクララの優しい言葉で進む物語がとても読みやいです。

その世界観はどこか、絵本や寓話のように感じるでしょう。

しかし、込められているメッセージや問いかけは深く、読む人によって感じることは様々だと思います。

ぜひ、沢山の人に読んでほしい一冊です。

そして読んだ感想をみんなで言い合い、お互いの意見を共有することで、きっとそこには新たな気づきがあるのではないでしょうか。

おわりに

この物語は近未来が舞台ですが、現代社会においても共通する問題提起があります。

さらには、いずれ近い将来、人類が直面するかもしれない問題について作者は警鐘を鳴らしています。

人間の文明は発達してきましたが、それとともに大切なものを粗末にしてきたのでないでしょうか。

今一度、自分自身に問いかけたいです。

ぜひ、この物語を多くの人が読み、感じたことを話し合えると素敵だと思います。

読んだ人たちがクララのように、愛情をもってまっすぐな行動をとることができれば、世界は良いほうに変わっていくのではないでしょうか。

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