人は、いろいろな悩みを抱えています。
- 「がんばっているのに報われない」
- 「このままでいいのか?」
- 「あの人が羨ましい・・・・」
そんな心のモヤモヤを抱えたとき、「そんなあなたでも大丈夫だよ」「みんなおなじ悩みを抱えてるよ」そう言って励ましてくれる一冊です。
深夜にのみ営業するお店「マカン・マラン」のオーナー、シャールさんのもとに、様々な悩みを抱えた人たちが訪れます。
迷ったり疲れたりしたら、この一冊を手にとって読んでみてください。
きっと心が、軽くなるはずです。
著:古内 一絵
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『マカン・マラン 二十三時の夜食カフェ』の概要
出典:Amazon公式サイト
タイトル | マカン・マラン 二十三時の夜食カフェ |
著者 | 古内一絵 |
出版社 | 中央公論新社 |
出版日 | 2015年11月 |
ジャンル | ヒューマン |
オムニバス形式で4つの物語が描かれていて、ドラァグクイーンのシャールさんを中心に、様々な悩みを抱えた人たちが現れます。
- 40代独身のキャリアウーマン
- ある日を境に母親の料理を食べなくなってしまった中学生とその教師
- 駆け出しのライター
- 「マカン・マラン」を買い取ろうとする不動産屋
自分の人生とぶつかりながらも、前へ進もうとする人たちの姿に共感し「自分もがんばろう」と勇気がもらえる作品です。
『マカン・マラン 二十三時の夜食カフェ』のあらすじ
短編なので、とても読みやすい作品です。
1話1話にでてくるおいしそうな料理にも注目です。
第1話「春のキャセロール」
城崎塔子は大手企業で働くキャリアウーマン。
ある日、20年努めたその会社で、早期退職者の募集が発表されます。
「いずれ来ること」とは思っていた塔子ですが、自分もその対象に入っていたことにショックを受けます。
会社の内情に振り回されたり、40歳でも独身の塔子に対して「あぁなったらおしまい」「仕事だけが人生じゃないでしょ」と鼻で笑われたりと、心身共に疲れ果ててしまいます。
そんな塔子の目の前にシャールが差し出したものは・・・
第2話「金のお米パン」
シャールの友人、柳田敏は困っていました。
担任をしているクラスの生徒、三ツ橋璃久がある日を境に手料理を食べなくなってしまったと、母親から相談を受けたのです。
母親と柳田は璃久に理由を聞きますが、一向に答える気はありません。
柳田は、とにかく今は見守ったほうがいいと母親にアドバイスをします。
柳田は他の教師にも、璃久のことについて聞いていくと、生物部の合宿のときにみんなで作った「カレー」や「豚汁」は食べていたといいます。
なにか食べなくなったことと理由があるのか?と考えているところへ、璃久の母親からの連絡があり・・・。
第3話 世界で一番女王なサラダ」
「幻の夜食カフェ」を探す、ライターの安武さくら。
下請けのプロダクションの契約ライターとして働いているさくらに、大判女性ファッション誌から仕事のオファーが来ます。テーマは「隠れ家カフェ」を紹介する記事。
そこへメディアのどこにも載っていないマカン・マランを載せるために必死に探しますが、なかなか見つかりません。
集められた情報は、どこの一度雑誌で紹介されたところばかり。「これじゃ隠れ家ではない」とクライアントに一括されてしまいます。
自分は本気でこの仕事をやっていきたいのか、それとも友人のように本気で結婚をしたいのか、さくらは自分がわからなくなっていきます。
そんなある日、友人からマカン・マランの情報が・・・。
第4話 大晦日のアドベンチャースープ
マカン・マランのオーナー、シャールの妹分「ジャダ」こと黒蜜大輔が,
昼間のお店「ダンスファッション専門店 シャール」の店番をしていると、「エンパイアホーム」という不動産屋の小峰幸也が現れます。
小峰は何度追い払っても土地を売ってくれと催促をしてきます。
ある日、小峰が置いていった資料をみたシャールの様子がいつもと違っていました。
シャールは思いもがけない決断をして・・・。
『マカン・マラン 二十三時の夜食カフェ』を読んだ感想
出だしから引き込まれる文章で、気づいたら夢中で読んでいました。
キャラクターの複雑な感情に共感できたり、「少しずつ前にすすめればいいんだ」と肯定してもらえたような気持ちになる読後感でした。
リアル
この本に登場するキャラクターの状況や周りの反応がとてもリアルです。
40歳でも独身の塔子に対して「あぁなったらおわり」という上司や後輩や、契約ライターのさくらを無意識にみくだしてくるクライアント。
「あ〜!いやだいやだ!こういうのほんといや!!」と読んでいてモヤモヤするほど、実際にきっといるんだろうなこういう人、と感じるリアリティがありました。
そしてそれを劇的に乗り越えていくわけではなく、一歩一歩進んで行く感じも、リアルでとても良かったです。
ドラァグクイーン・シャール
ドラァグクイーンでマカン・マランのオーナー、「シャール」こと御厨清澄がものすごく魅力的です。
彼は病気を患ったことから、今まで隠していた「本当になりたかった自分」の姿になりました。
「自分を受け入れる」という一番むずかしいことをして、例え多くの人に理解されなくても自分の信念を貫き通す。
その勇気ある姿勢もかっこいいし、ゆったりと余裕のある話し方、物腰は人を魅了するものがあります。
そして、周りをしっかりと見て気を配り、人の話をゆったりと聞く余裕のある姿勢も、見習いたいと思いました。
『マカン・マラン 二十三時の夜食カフェ』はどんな人におすすめ?
「マカン・マラン二十三時の夜食カフェ」はこのような方におすすめです。
- ヒューマンドラマが好きな人
- 元気になる本が読みたい人
- 料理が出てくる話が好きな人
- 人に励ましてほしい
そんなときに読むと心が軽くなる作品です。
キャラクターの心理描写が丁寧に描かれているので、キャラクターの感情を追って読んでいくのが好きな方も楽しめる作品です。
シャールさんは食材に対しての知識が豊富なので、「へぇ!この食べ物にはこんな力があるんだ!」と勉強になるので、料理が好きな方にもおすすめ。
おわりに
この作品を読み終わると、静かな感動が胸に迫ってきます。
「自分はこのままでいいんだ」「ちょっとずつでもいい。前に進めればいいんだ」と思わせてくれる作品です。
人との関わり合いの中にある暖かなもの。
そういった忘れがちになっていることを思い出させてくれる、自分の中でそっと大事にしたい作品の1つになるのではないでしょうか。
著:古内 一絵
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