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『骨を彩る』感想|彩瀬まるがその表現力で伝えたい、素敵に生きるうえで大事なこと
素敵な人って、なんでしょう。 揺るがない"自分"がいること、しっかりとした"芯"があること…。 生きるうえで常に切り離せない悩みというものは、だいたいのことが揺るがない"自分"を持っていることで解決してしまいます。 しかしそれが難しいから、みんな... -
『medium 霊媒探偵城塚翡翠』感想|ミステリランキング5冠!新感覚最驚ミステリ
「すべてが、伏線。」と銘打たれた本作。 その文言に偽りはありません。 "本格ミステリ大賞"や"このミステリーがすごい!1位"に輝き、令和元年のミステリランキングを総なめ。 従来のミステリファンを唸らせ、かつ新たなミステリファンの獲得にも成功... -
『町長選挙』感想|思わず笑顔になれる痛快「精神科医・伊良部シリーズ」第3弾
『町長選挙』は、1作目の『イン・ザ・プール』や第131回直木賞を受賞した2作目の『空中ブランコ』に続く奥田英朗さんの「精神科医・伊良部シリーズ」の3作目。 オムニバス形式の短編集なので、前作を読まずに『町長選挙』だけ読んでも大丈夫です。 戦前よ... -
『ヴェネツィアの宿』感想|熟成された文章で綴られる、須賀敦子の人生
なつかしい思い出の場所や人物、というものはだいたいの人にあることと思います。 幼少期を過ごした場所の匂いやお世話になった人の手料理、すべていまの自分を形づくっている"思い出"と言っても過言ではないでしょう。 その"思い出"が実家なのか家族なの... -
『無花果とムーン』感想|えいえんの兄妹、奈落と月夜が願うこと
大事な人を亡くしたとき、あなたはどうしますか? まだそんな経験がない人でも、そこから立ち直ることがいかに難しいかは容易に想像ができるでしょう。 ずっと立ち直れずに、死んだ大事な人の温度を探して、そうしていたらついに生と死の淵へたどり着くか... -
『名も無き世界のエンドロール』感想|純粋無垢で鮮烈な史上最大のプロポーズ大作戦
「一日あれば、世界は変わる。二日あったら、宇宙がなくなってもおかしくない」「怖いのは、存在を忘れられてしまうこと」 本作は、これらのフレーズをキーに、かけがえのない友情と愛情を描き、どうしようもない喪失感とまっすぐな想いを、サスペンス・ミ... -
『陽だまりの彼女』感想|読み終えたとき、大切な人に会いたくなる切なくも心温まる陽だまりの一冊
物語は、交通広告代理店の営業としてはたらく青年・奥田浩介が、中学の同級生だった女性・渡来真緒と再会するところから始まります。 分数の割り算で苦労するほど勉強が苦手だった彼女は、成長の著しい準大手ランジェリー・メーカー「ララ・オロール」の広... -
『神さまたちの遊ぶ庭』感想|北海道の壮大な大自然の中で過ごした暮らしの記録
『羊と鋼の森』で第13回本屋大賞を受賞した宮下奈都さんのエッセイ集です。 作者が実際に家族全員で北海道のトムラウシに移住して体験した貴重なエピソードの数々が宮下さんによりほっこりと伝わってきます。 トムラウシという地名は耳にしたことない人の... -
『元彼の遺言状』感想|「このミステリーがすごい!」大賞を受賞した痛快遺産相続ミステリー
『元彼の遺言状』は、第19回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作です。 テレビや雑誌、WEBニュースなどで話題になっているので、タイトルを見たことがある人も多いのではないでしょうか。 本書の主人公は、お金に目がない丸の内の大手弁護士事務所で働... -
『永い言い訳』感想|妻に先立たれた中年男の再生と家族の物語
『永い言い訳』は映画監督・脚本家でもある西川美和さんの長編小説です。 作家である主人公が関係の冷え切っていた妻に先立たれ、やがて家族の姿や愛を見つめ直していくという喪失と再生の物語です。 本作は第28回山本周五郎賞、第153回直木三十五賞候補、...