「そろそろマイホームがほしいけど、何から手をつければいいかわからない」という人は多いのではないでしょうか。
また、「賃貸と持ち家、自分に合っているのは結局どっちなの?」という疑問を抱えている人もいらっしゃると思います。
今回紹介する「35歳、働き女子よ城を持て!」は、35歳の独身女性が都心でマイホームを手に入れるまでの実録エッセイです。
持ち家を検討している人、不動産の勉強をしたい人は、手に取ってみてはいかがでしょうか。
著:高殿 円, 監修:風呂内 亜矢
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『35歳、働き女子よ城を持て!』の概要
出典:Amazon公式サイト
タイトル | 35歳、働き女子よ城を持て! |
著者 | 高殿円 |
出版社 | 角川書店 |
出版日 | 2019年4月26日 |
ジャンル | エッセイ |
KADOKAWA勤務の契約社員・M村さん(35歳独身女性)が、作者の高殿円先生と取材を重ねつつ、都心に持ち家を購入するまでをつづったエッセイ。
物件の選び方やローンの組み方など、不動産について楽しく学ぶことができます。
図やイラストも豊富なので、不動産初心者の方も読みやすい一冊です。
『35歳、働き女子よ城を持て!』のあらすじ
筆者である高殿円さんは、KADOKAWAのM村さんと仕事の打ち合わせをした後、そのままプライベートな女子会に突入しました。
M村さんが「最近、漠然と持ち家が欲しいと思っている」と話すと、不動産売買経験の豊富な高殿先生は「買っちゃいなよ」と背中を押します。
「でも、東京の不動産は高いし、どうやって選べばいいかわからなくて不安……」というM村さんに対し、高殿先生は「持ち家は自分を褒めてくれる」と熱弁します。
高殿先生が持ち家をおすすめする理由は、自分自身の経験にありました。
先生は、20代のときに建売一軒家をローンで購入しています。
1人で孤独に執筆しているときも、家の天井を見上げて、「よく自力で家を建てたな、えらいな」と自己肯定できたとのこと。
高殿先生は「会社で辛いことがあっても、家があなたを受け入れてくれる。私は1人で生きる働き女子に、もっと簡単に褒められてほしいのだ」と語ります。
かくして、M村さんの理想の家探しが幕を開けました。
年収300万円台で、どんな家が買えるか
M村さんは年収300万円台の契約社員です。
実際、都心でどのレベルの家が買えるのでしょうか。
まずは、M村さんは不動産に求める条件を挙げていきます。
- 最低30平米
- バス・トイレは別
- 駅徒歩10分前後
- セキュリティ対策がしっかりしている
- いざというときに賃貸に出せる
など。
次に、予算を設定します。
月々の家賃を7.5万円と仮定すると、35年間で3,150万円になります。
この数字をベースに、予算を3,000万円前後に設定しました。
ところが、この条件で東京の新築マンションを検索すると、マイナーなディベロッパーが建てた郊外のマンションしかヒットしません。
やっぱり、年収300万円台の女性が都心で城を持つのは難しいのでしょうか。
M村さんと高殿先生は世知辛さを嘆きつつ、新築モデルルームや中古マンションなど、様々な場所へ取材へ赴きます。
どのように物件を選べばいいのか
条件が定まった2人は、とにかく物件を巡ります。
- 銀座のモデルルーム
- 板橋の新築マンション
- 白山の中古マンション
- 武蔵関のリノベーションマンション
などなど。
ただ物件を巡るだけでなく、各不動産会社の担当者やホームインスペクター(住宅診断士)など、専門家への取材もしっかり行っています。
取材を重ねるごとに、「物件の良し悪しをどのように判断すればよいか」、「自分は家に何を求めるのか」が徐々に明確になっていきました。
M村さんは、新築であることより立地を重視し、都心の中古マンションをターゲットに絞ります。
ついに家を買う
約1年間の取材を経て、M村さんはとうとう自分の城を手に入れました。
購入したのは、JR目黒駅から徒歩12分のところにある、築20年ほどの中古マンション。
とても便利な立地ですが、価格はなんと約1,600万円!
安さの秘密は、借地権物件であることと、リフォーム前の購入にありました。
借地権物件とは、地主から土地をレンタルして建てたマンションです。
M村さんの場合は30年の定期借地権であり、30年後には退去しなければならないため、破格で手に入れることができたのでした。
また、リフォーム前の物件を購入し、気になるところだけ自分で手を加えることで、コストダウンと住みやすさの両立に成功しています。
高殿先生も、「これまでの学習の成果が凝縮されている……!」と、M村さんの決断を大いに称えたのでした。
『35歳、働き女子よ城を持て!』を読んだ感想
本書は実録エッセイですが、ハウツー本でもあり、働く女子へのエールでもあります。
役に立つだけでなく、読んでいてパワーをもらえるという点で、稀有な本だと思いました。
以下は、「35歳、働き女子よ城を持て!」を読んで、特に心動かされたポイントです。
普通のシングル女子でも、都心に持ち家を買える
私は九州で生まれ、現在は仕事の都合で東京で暮らしています。
数年前、東京で賃貸マンションを探したとき、真っ先に感じたことは「東京はなんて不動産
が高いんだろう」ということです。
「東京で持ち家を持っている人は、先祖代々東京に住んでいる人か、億万長者に違いない」とも思いました。
本書の「普通の独身女子が目黒に城を持つ」というストーリーには親近感を感じましたし、大いに勇気づけられました。
家が欲しい!と思ったときに必要な知識が凝縮されている
多くの人にとって、家は人生で一番大きな買い物です。
失敗したり、後悔したりしたくないですよね。
この本には、家が欲しいと思ったときに必要な基礎知識が凝縮されています。
例えば、
- 安心して住める場所はどんな場所か?
- 新築と中古はどう違うか?
- 自分はいくらまでローンを組めるのか?
- 効率的に理想の家を探すには?
など、大まかなポイントは本書でカバーできます。
まずは本書を読んで、家を買うイメージを膨らませるといいのではないでしょうか。
会話形式で読みやすい
本書のほとんどは、M村さん+高殿先生(+取材先の人)の会話形式で書かれています。
素人が知りたいポイントを、M村さんと高殿先生が質問し、取材先の人が回答する形式なので、とても読みやすいです。
また、M村さんと高殿先生の信頼関係があってこそ成り立つ、ぶっちゃけトークも読みどころです。
「今すぐ不動産がほしい!」という人以外でも、純粋に読み物として楽しめる構成になっています。
『35歳、働き女子よ城を持て!』はどんな人におすすめ?
『35歳、働き女子よ城を持て!』は、特に以下のような人におすすめです。
- 都心で持ち家の購入を検討している人
- 初心者にもわかりやすい不動産の本を探している人
- 働くシングル女子
高殿先生は「私の周りには、男も子どもも必要ないという女子がたくさんいるが、家が必要じゃない人間はいない」と書いています。
当たり前の話ですが、改めて言葉にするとハッとしませんか。
家は誰しも必要なものです。
家について、もうちょっと真剣に考えてみようかなと思った人には、ぜひ読んでいただきたいと思います。
おわりに|家は働き女子の「居場所」そのもの
本書のそでには、
「女子が生きていくために大切なのは、自分だけのくつろげる居場所(=資産)を見つけること」
と書かれています。
最近、自己肯定感という言葉をよく聞きますが、大人になると、他人から褒められることはそれほど多くありません。
でも、自分の城を持つと、少なくとも家だけは自分を褒めてくれます。
家は物理的な意味だけでなく、精神的な意味でも「居場所」そのものなのです。
今よりも少し楽に生きていくために、家と向き合ってはいかがでしょうか。
著:高殿 円, 監修:風呂内 亜矢
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