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あなたは声なき声を聞いたことがありますか?
小説のタイトルにある52ヘルツのクジラとは、他のクジラには聞き取ることができない周波数で鳴く、世界に一頭しかいないクジラです。
海にはたくさんのクジラがいますが、その鳴き声が彼らに届くことはありません。
そのため、世界中で一番孤独なクジラと言われています。
物語に登場する人物たちは、そんな52ヘルツのクジラのように必死で声なき声を上げ続けたのでした。
出典:Amazon公式サイト
タイトル | 52ヘルツのクジラたち |
著者 | 町田そのこ |
出版社 | 中央公論新社 |
出版日 | 2020年4月18日 |
ジャンル | 日本文学 |
町田そのこは1980年生まれ、福岡県在住。
作品には、
本作は児童虐待やネグレクト、トランスジェンダーなど現代社会の問題が数多く扱われています。
もう誰とも関わり合いたくないと願い、東京から大分県の海辺町にある祖母が残した家へとやってきた貴瑚。
そこで虐待を受ける一人の少年と出会います。
少年を助け自分の過去を見つめ、少年とともに問題を乗り越えようとするのでした。
主人公の三島貴瑚(キナコ)は、母親に虐待されて育ち、大人になってからも義父の理不尽な介護をする毎日。
心が折れてしまい街をふらふらと歩いているとき、高校の同級生だった美晴とその上司、岡田安吾ことアンさんに出会います。
アンさんはキナコの心の叫びに寄り添い救い出してくれたのですが、その大切なアンさんを失ってしまいます。
キナコは悲しみを癒すために、MP3プレーヤーで52ヘルツのクジラの鳴き声を聞き、心を落ち着かせるのでした。
ある日、雨宿りをしていると一人の少年と出会います。
少年は母親の琴美から虐待を受け、体がアザだらけで話すことができません。
筆談で名前を聞くとムシと書き、家には帰りたくないと言います。
キナコは声なき声を上げるその少年のことを52と呼び、かつての自分と重ね合わせ助けたいと思うのでした。
52が昔お世話になったという父の妹、ちほちゃんが住む福岡を訪ねようと決めるキナコ。
そんなとき、東京からキナコを心配して美晴がやってきます。
三人で福岡へと向かうのですが、すでに叔母は亡くなっているのでした。
そして52が母から虐待を受け話すことができなくなったこと、本当の名前が愛(イトシ)であることを聞かされます。
美晴はアンさんの死についてキナコに訊ねます。
キナコは恋人、主税(チカラ)とのいきさつ。
そしてアンさんがもつ心の声を聞くことができず、救えなかった後悔を美晴に話すのでした。
大分へと戻ると祖父、品城が孫をキナコに誘拐されたと騒ぎたてます。
「僕が家に戻ればすむ」とイトシはあきらめます。
しかし、キナコは美晴と引っ越しで世話になり何かとを気にかけてくれる村中とともに、イトシを守るのでした。
品城の元妻で祖母である昌子を訪ね、イトシと一緒に住みたいと話しますが考えが甘いと一蹴されます。
そこには、ただ感情だけでは解決できない様々な壁があるのでした。
それは本当にキナコがイトシの後見人として、相応しい人物かどうかが問われることになるからです。
それでもキナコは一緒に生活する権利を得ることを誓うのでした。
声にならない声を聞き、その声に寄り添う。
現代を生きていると自分のことで精一杯になり、他人を思いやる気持ちがなかなか持てません。
けれど、他人もまた自分と同じように毎日を必死で生きているのです。
話を聞いてくれたり、そばに居てくれたりすることで人は救われるのではないでしょうか。
キナコは母に虐待されても、母が大好きでいつも愛してほしいと願っていました。
そして大人になっても母に優しくしてほしいと願い、ひどい仕打ちをされても生き抜いていきます。
体罰はもちろん心に負う傷は深く、いつまでも残り消えることはありません。
助けてほしくても声は届かずに、苦しさと怖さをひとりで抱えて生きる毎日。
そんな虐待を受けた子どもの心理に胸が詰まります。
世の中には、誰にも届かない叫びを上げている人たちがいます。
気づいたとき自分は助けるために行動できるか?
当事者を救うことは並大抵ではありません。
中途半端な優しさは、逆に本人を苦しめます。
でも、その声が確かに存在すると知るのが大きな一歩です。
そして、自分以外の人が発する助けを聞ける優しさを持つ。
キナコやアンさんのような覚悟で、行動するのは難しいかもしれません。
しかし、中途半端な優しさかもしれませんが、少しでも寄り添うことはできるのではないでしょうか。
この小説には、辛くて重いテーマが描かれ正直読み進めるのが苦しい場面もあります。
けれど、キナコの周りには美晴や村中といった気遣う人間がいて、物語を読んでいるとほんの少しだけ元気づけらます。
人の愛情に救われ、人の温もりで心が温かくなります。
「ひとには魂の番がいるんだって。愛を注ぎ注がれるような、たったひとりの魂の番のようなひと。あんたにも、絶対いるんだ」
『52ヘルツのクジラたち』237ページより引用
魂の番(つがい)という存在。
そんな愛情に満ち溢れる人間に、きっと出会えると信じたいです。
この小説は次のような人に手に取ってみてほしい一作です。
今、毎日を生きていて何か辛いことがある人にとっては、登場人物の気持ちが痛いほどわかるでしょう。
物語を読んでいると自分も苦しさに負けず、一歩前へと踏み出す勇気が湧いてくるのではないでしょうか。
また声なき声が届かずにいる人たちを、どうすれば救えるかと自問自答する作品です。
貴瑚や愛ほど悲惨な叫びではないかもしれません。
けれど人は誰しも「52ヘルツの声」を上げているのではないでしょうか。
心の叫びに気づき、少しでも寄り添える人間になりたいです。
みんなが他人に優しくなれたなら、きっと救われる人たちが増えると思います。
多くの人がこの小説を読んで、声なき声を上げている人たちの気持ちになって考えてみてほしい。
考えることで、微力かもしれないけれど救う力が生まれるのだと思います。
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