国内小説– category –
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『名も無き世界のエンドロール』感想|純粋無垢で鮮烈な史上最大のプロポーズ大作戦
「一日あれば、世界は変わる。二日あったら、宇宙がなくなってもおかしくない」「怖いのは、存在を忘れられてしまうこと」 本作は、これらのフレーズをキーに、かけがえのない友情と愛情を描き、どうしようもない喪失感とまっすぐな想いを、サスペンス・ミ... -
『陽だまりの彼女』感想|読み終えたとき、大切な人に会いたくなる切なくも心温まる陽だまりの一冊
物語は、交通広告代理店の営業としてはたらく青年・奥田浩介が、中学の同級生だった女性・渡来真緒と再会するところから始まります。 分数の割り算で苦労するほど勉強が苦手だった彼女は、成長の著しい準大手ランジェリー・メーカー「ララ・オロール」の広... -
『神さまたちの遊ぶ庭』感想|北海道の壮大な大自然の中で過ごした暮らしの記録
『羊と鋼の森』で第13回本屋大賞を受賞した宮下奈都さんのエッセイ集です。 作者が実際に家族全員で北海道のトムラウシに移住して体験した貴重なエピソードの数々が宮下さんによりほっこりと伝わってきます。 トムラウシという地名は耳にしたことない人の... -
『元彼の遺言状』感想|「このミステリーがすごい!」大賞を受賞した痛快遺産相続ミステリー
『元彼の遺言状』は、第19回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作です。 テレビや雑誌、WEBニュースなどで話題になっているので、タイトルを見たことがある人も多いのではないでしょうか。 本書の主人公は、お金に目がない丸の内の大手弁護士事務所で働... -
『永い言い訳』感想|妻に先立たれた中年男の再生と家族の物語
『永い言い訳』は映画監督・脚本家でもある西川美和さんの長編小説です。 作家である主人公が関係の冷え切っていた妻に先立たれ、やがて家族の姿や愛を見つめ直していくという喪失と再生の物語です。 本作は第28回山本周五郎賞、第153回直木三十五賞候補、... -
『白いしるし』感想|自らのすべてを懸けた全力の恋、そのすえに掴むものとは
恋愛、というものに深く入り込める人はたくさん存在します。 私はそういったことにはとんと疎いのですが、この『白いしるし』は理解しようとじっくり読むほどつらくなっていきました。 恋愛を避けていた主人公が見つけた新しい想い人。 その人物に隠された... -
『六条御息所 源氏がたり』感想|世界最古の恋愛小説がより艶やかに甦る
『六条御息所 源氏がたり』は、紫式部の書いた世界最古の長編連恋愛小説を、奇抜な手法を用いて現代に甦らせた恋愛小説。 たくさんの方が、この紫式部の描いたこの物語に魅了され、現代語に訳されています。 その中でも、この『六条御息所 源氏がたり』は... -
『あのひとは蜘蛛を潰せない』感想|生きづらさを抱える人たちへ贈る、彩瀬まるからのメッセージとは
さざんか、という花をご存じですか? 初冬に咲く花で、漢字では山茶花と書きます。 花言葉はその花の色によって変わるものの、全体では『困難に打ち克つ』『理想の恋』などがあり、厳しい寒さのなか咲く花らしい言葉と言えるでしょう。 そして赤いさざんか... -
『しゃばけ』感想|病弱な若だんなと個性豊かな妖たちが難事件に挑む!
江戸を舞台にたくさんの妖が登場する、不思議で楽しいファンタジー時代小説『しゃばけ』。 妖が出てくる物語なんて怖い! と思う人もいるかもしれません。 しかしこの『しゃばけ』に出てくる妖は、親しみやすくて可愛らしい妖ばかりです。 主人公の若だん... -
『いつか陽のあたる場所で』感想|暗い過去を背負いながら新たな人生を歩もうとする女性たちの物語
人には、振り返りたくない過去があります。 決して消すことはできません。 辛い過去を抱えながら、どう生きていけばよいのでしょうか。 これは、前科という暗い過去を持つふたりの女性が、互いに支えあいながら、新たな人生を歩んでいこうとする物語です。...