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『冥途あり』感想|孤高の天才作家・長野まゆみが紡ぐ昭和ノスタルジー

長野まゆみという作家をご存じですか?

「少年アリス」、「野ばら」など少年をモチーフにした幻想的、耽美な作風に魅せられてしまう女性読者も多いかと思います。

私も子どもの頃からの大ファンです。

今回ご紹介する「冥途あり」は浮ついた時流に流されず、常に自分の美意識を追求し続ける作家、長野まゆみの泉鏡花文学賞、野間文芸賞をW受賞した秀作です。

普通の家族の生活のなかにひそむ不思議な異世界に皆様引き込まれると保証します。

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実直な父と敗戦した日本

下町育ちの穏やかな職人として天寿をまっとうした父。

実直な職人として妻と子ども2人を育て何の秘密もない生涯にみえた父のたどった第二次世界大戦と広島の8月6日運命の日。

独身娘の「私」は親戚の会話や母の思い出話にふれて父親の背負った戦争の雨をたどっていきます。

悲惨なだけでは終わらない、知らないはずの私たちにも過去への懐かしさを感じさせる。

確かにあったはずの昭和を旅する幻想ノスタルジー小説です。

長野まゆみが語る戦争

長野まゆみ先生の戦争を題材にした作品はほかにもありますが、清々しいまでの客観性を感じます。

他の戦争小説にありがちな悲惨さと押しつけがまったくありません。

哀れさを読者に押し付けません。

ただ、「ああ、原爆は落ちたのか」と冷静に日本の敗戦を受け止めることができます。

おそらく長野まゆみ先生は読者に託したのでしょう。

本を読んで悲しむのも納得するのも、感動するのもすべて読んだ人の感性にゆだねたのだと思います。

ご興味のある方はご一読ください。

八月六日上々天氣という作品です。

随所にちりばめられた長野ワールド

長野まゆみ作品には物語のキーワードとして登場するアイテムが多数あります。

この作品での大切なアイテムは硯と箪笥、そしてミステリアスな双子兄弟です。

物語を自由自在に泳ぐ「私」の従兄弟の双子兄弟。

少し、ハリーポッターに登場するフレッド&ジョージを思わせます。

まじめな「わたし」の目線から見ると彼らは多少いかがわしく、したたかで自由な存在です。

物語を読んでいるとこの双子はどこか人外の存在のような印象を受けます。

例えるのなら「あやかし」のような印象です。

この、トリックスターの双子が愛用しているのが硯です。

硯は書や絵をかくときに使用します。

当然、人の業が宿りやすいのです。昔の花嫁道具であった箪笥も同様です。

ファンの9割は女性!?

長野まゆみ先生は本屋大賞、芥川賞、直木賞など華々しい舞台には無縁の作家です。

先生自身が自分は無人島に暮らしているようだとブログに綴っています。

泉鏡花文学賞と野間文芸賞の受賞は珍しく無人島に人が尋ねてきたような感覚だと語っていました。

「少年アリス」で文藝賞を受賞していらい一貫して自らの美的センスで作品を世に送り続ける、ある意味では異色の天才作家です。

その独特の美の表現からファンは女性が大半ですが「冥途あり」はそんな垣根を飛び越えるような作品です。

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