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『楽園の泉』感想|リアリティと抒情のハーモニー 宇宙エレベーター建設を巡る壮大な物語

宇宙エレベーター構想。

強靭な素材で作られた長い紐を使って、宇宙空間と地上をエレベーターで繋ぐというアイデアです。

ロケットの高額な打ち上げ費用や、騒音などの環境汚染の問題を一挙に解決し、宇宙空間を身近にする、夢の建築物。

素材の開発や設計など、現在でも大学や建設会社の間で実現に向けた研究が続けられていることをご存知でしょうか。

今回ご紹介するのは、そんな宇宙エレベーター建築を夢見る科学者の物語です。

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『楽園の泉』の概要

出典:Amazon公式サイト

タイトル楽園の泉
著者アーサー・C・クラーク
出版社早川書房
出版日1979年8月31日
ジャンルSF

『2001年宇宙の旅』で知られるSF界の巨匠、アーサー・C・クラーク。

大学で物理学と数学を専攻し、現在のわたしたちの生活に欠かせない技術である静止軌道衛星のアイデアを世に広めた人物でもあります。

そんなクラークが、緻密な工学的知識と深い宗教観、歴史観を素地に、人類の豊かな一面を描いた一作です。

『楽園の泉』のあらすじ

本書の舞台となるタプロバニーは、クラークが過ごしたスリランカがモチーフになっています。

数々の名作SFを発表してきたクラークが、その筆力をいかんなく発揮し、科学の力強さや自然の美しさを描き出します。

カーリダーサの伝説

タプロバニーの王、カーリダーサはジャングルの奥にある巨石ヤッカガラの麓に、楽園ともいえる美しい庭園を構想し、創造しました。

あとはその頂きに天国を建てるだけ……。

血塗られた歴史をもつ楽園は、二千年後、観光名所となっていました。

技術者モーガンの来訪

宇宙エレベーター建築に適した土地は地球上でただ1か所。

それは三千年の歴史を持つ寺院に守られた霊山スリカンダの山頂でした。

技術者モーガンは土地を譲ってもらうためスリカンダを訪れますが、当然交渉は難航し……。

モーガンはどのようにこの難関を乗り越えるのでしょうか。

スターグライダーとの邂逅

小惑星ほどの大きさの恒星間宇宙探測機が太陽系内に侵入し、地球へ接近してきました。

詩人によって「スターグライダー」と名付けられた探査機、その目的は……?

巨大建造物の建築

ついにエレベーター建築に着手したモーガン。

天に向かって伸びる4万キロの塔など、これまで誰も作ったことがありません。

建築に伴うリスクや事故、費用、建設反対団体、そして迫りくる病魔……。

モーガンの行く手には数々の難題や危険が立ちはだかります。

スターホルム人

モーガンが生きた時代から15世紀間後、スターグライダーを作り出したスターホルム人が地球を訪れます。

そこには年若い種族が建築したものとしてはじつにみごとな、大建造物が聳え立っていました。

人類の星への道と相対し、スターホルム人は何を思うのでしょうか。

『楽園の泉』を読んだ感想

本作は、科学技術について詳細に描写する一方で、科学や工学と宗教・文化・神話の共存といったテーマについても扱っています。

随所に挟まれる情景描写は詩的で壮麗、人間模様の描写も豊かで、たいへん奥深い作品です。

宇宙エレベーターの魅力

本作で描かれている世界では、火星に人類が居住し、ヨーロッパとアフリカが橋で繋がっています。

作中では、作品世界を構成する科学技術や、宇宙エレベーター関する技術、加えて建設過程で想定される課題や事故がリアリティある描写で提示されます。

私たちと地続きの未来にこんな建築物が実現するかもしれない、そこではモーガンのような技術者たちの奮闘があるかもしれない。

そんな空想も頭をよぎります。

異星人とのコンタクト

SFで描かれる異星人との邂逅は、往々にして破滅的なものです。

しかし、本作で訪れる異星人スターホルム人は、人類を理解しようと思索し議論する、穏やかな存在として描かれています。

作中では、ユーモア、ファンタジー、神話といった概念を不可解とするスターホルム人が、宗教をどう捉えたか、またスターホルム人との出会いによって人類がどのように変化したかについても描写されます。

スケールの大きさ

宇宙エレベーターという建築物のもつ広大なイメージを軸に、古代から遥か未来まで、壮大な時系列の移動が行われます。

深遠な宇宙を仰ぎ見ているときのような、深く包み込まれるような心持になります。

『楽園の泉』はどんな人におすすめ?

『楽園の泉』はこのような方におすすめです。

  • SFが好き
  • 宇宙が好き
  • 海外SFに挑戦してみたい
  • 壮大な物語を読みたい

海外SFというと、難解な印象があるかもしれません。

耳慣れない人名、作中世界を構築するための固有名詞、独特の世界観……。

この作品も、抽象的なテーマも多く、時系列も複雑、話の転換も壮大で、一度で理解しようと思いながら読むと難しいものと感じられてしまうかもしれません。

まずは気軽に、作品に吹く豊かな風を感じながら、最後まで読んでみてください。

回数を重ねるにつれたくさんの伏線や緻密な世界観、多彩なモチーフ、深いメッセージに気づき、読めば読むほどおもしろくなる作品です。

宇宙エレベーターについて詳しくもなれる、宇宙開発が好きな人にはたまらない一冊でもあります。

おわりに

宇宙エレベーター建築は、重力との戦いでもあります。

作中で人類は、自然と戦い、あるときは自然に従い、太陽系に広がっていきます。

アーサー・C・クラークが描く珠玉の世界を、ぜひ味わってみてください。

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